アキの特殊スキル!
午前の授業が終わって、昼も食べ終わった午後の授業。
今回の内容は、魔法研究。
自分自身の魔法を知り、使いこなせ。
六時限目に先生相手にテストをするという内容だった。
テストってなんだろう……? という疑問はうまれてきたが、今は目の前の問題に取り組むことにした。
その問題とは……。
「いや~。今朝ぶりなのね!」
「今朝の逃げっぷりはすごかったよ~。まさかこのあたしが、逃がしてしまうなんて……」
「……それは自意識過剰」
と今朝の三人組|(約二名はなぜかやつれている)が目の前にいたからだ。
ちなみにボクはマナとレナと行動を共にしていた。
ボク以外全員女の子。
一人くらいは男の人が欲しくてキリを誘おうとしたのだが、どこにもいなかった……。
結果。
ボク、一人だけ男の子。
まわりから見たら全員女の子に見えるだろうけど……。
……ボクは男の子です。誰が何と言おうと男の子です! ってどこに向かって、ボクは言っているのだろう……。
「リクちゃん! リクちゃんの魔法見せて!!」
「いきなり!?」
「そういえば……わたくしも見せていただけるかしら? なのせ……あのセン……こほん。【一匹狼】を倒した魔法なのですから」
「うんうん! 私も見せてほしいのね!!」
なんで知ってるの……。昨日だよ……?
自問自答しても仕方ないので弱々しくであるが反抗してみた。
もちろん無意味に近かったけど。
「地味……だよ……?」
「……大丈夫。……私の方が地味」
「そういう問題!?」
「あの【一匹狼】を転入そうそう倒したというリクちゃんのまか不思議の魔法!! 来週の桜花魔学新聞に載せるの!! ついでにリクちゃんに聞いた質問を全部載せるわ!! 来週はリクちゃんで一杯になるわよ!!」
『まか』ってなに!? 不思議もいらないよね!?
しかも新聞!? アキって新聞関係の人なの!?
「やめてよ!! ボクの意思まるっきり無視じゃないですか!! やっぱり聞くけどボクがキリさんを倒したことなんで知ってるの!?」
「昨日、スペ組で騒いでいたのに【情報師】であるあたしが見逃すはず無いわ!!」
「……私たち、昨日……残ってた」
そ……そんなぁ……。
ここまで騒いでいると僕がまるで強いみたいじゃないですか……。
ボクは全然強くないのに……。
あれはルナの作戦勝ちであって、決してボクが勝ったわけじゃないのに……。
どんどん戻れなくなっていきそうな気がする……。
「リクちゃん。私は見せてもいいと思うけどな~。どうせ見せたってよくわからないと思うし。っていうかそれを今回の授業で完全に記憶して、テストで使ってみれば? きっと先生驚くよ~」
のんきに賛成をするマナ。
そうかな? というか驚かせる目的でやっていいのですか?
さらなる疑問にボクは、少し頭をうならせた。
でもよく考えたら〈鏡花水月〉は錯覚させる魔法だから普通には見えないだけであって、まわりから見たらなんか魔法使った?って反応になりそうだよね……。だったら少しぐらい見せたっていいかな。
「はぁ。わかりました。ルナ。出てき――」
「ちょっとまったーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「え!? ちょ、なに!?」
マナが前回もしたように腕を引っ張って、後ろを向き、小声で喋る。
「いい!? ここで一言呪文で喚ぶようなマネだけはしないで!!」
ボクは精霊を使っている訳じゃないから別に使っていいはずである。
何かマズイ事があるのだろうか?
「え? なんで……?」
「だ~か~ら~! 普通は無理だから!! フリだけでもちゃんとして!!」
「……はい」
今日のマナちゃん……。
なんか怖い……。
ボクのほうが普通なのに……。
「何しておるのじゃ? リクにマナ。そなたら騒いでおって、楽しいかのぅ?」
うん。ボクはわかってた。
ルナって言うだけでも出てくる神の断片なんだもん。いまさら……おそいよね。
マナは首をギギギ……とロボットのように声を聞こえた方……って言うかルナの方を向く。
ボクはもうわかりきっていたことなので特に見はしない。
そうしてマナは声を張り上げた。
「なんで出てくるの!?」
「い、いや……。呼ばれたから出てくるのは当然なんじゃが……。わ、悪かったかのぅ?」
ちなみにルナの場合、『呼ぶ』が正解であって。
『喚ぶ』は不正解である。
理由としては、すでにボクの中にいて、召喚された訳ではないから。と、ここで変な説明をしてみる。
無論、現実逃避だ。
「もうちょっと待っててよ!!」
「よ、よくわからんが、一旦帰った方がよさそうなのじゃが……リク。妾、もうちょっと遅かった方がよいのか?」
ボクの袖を弱々しくひっぱりながら、聞いてくるルナ。
「ううん。早いに越したことは無い……はずだから、そのままでいいよ」
いいはず……である。
マナちゃんが睨んでるけど気にしない。
ルナはボクの影に隠れながら、
「う、うむ。ということじゃマナ。すまんが妾はリクの言うことしかきかんのじゃ。そ、そう睨むでない! か、考えてやらんでもないぞ?」
慌ててマナに言葉を返している。
その顔はあきらかにマナを怖がっている顔。
口を大きく開けて唇を震わせて、涙目でマナを見ているからである。
口調だけを取ると、少し戸惑っているだけのように見えるのだが……。
表情まではごまかせる事が出来なかったようだ。
こういうとこばっか見るとホントに神様? って疑いたくなるけどね。
そしてここで問題が起きる。
三人で討論をしていたらもちろん他の余人が黙っているはずもなく。
「リクちゃん。その子だれ? いつの間にかそこにいたんだけど……」
よくわからないといったふうに首をかしげるアキ。
それは神の断片ですし……。
ボクが呼んだから当然だと思います。
「うんうん。いきなり光が現れたと思ったら光の中から出てきたって感じなのね!」
元気にアキの言葉に賛同するハナ。
まさしくその通りです。
もっと正確に言うならばボクの中にいました。
「……不思議」
あんまり顔の表情を変えていないが今まで変えたとこを見た事がないので内心では驚いているのだろう。
普通はこういう反応なんだね。改めて知りました。
「わたくしも教えていただきたいですわ」
教えてほしいって言ったって……。
詳しくは教えれないですよ。
放課後になったら教えられるかもしれませんが。
するとレナの質問にルナが、
「妾か? 妾はむぐッ!? むぐぐ――プハッ、何をするマナ!! 妾とて空気が無くては死んでしまうのじゃぞ!?」
自分の事を答える前にマナがルナの口を両手で塞いで自分の腕の中まで持ってきた後しっかりと捕まえている。
じたばたとルナは暴れているがしばらくして無理だと悟ったのかおとなしくなった。
ボクはそのうちになんとかごまかそうとする。
「えっと。ルナっていうの。たまにここに来るって言ってたよ!」
「へ~。そうなんだ~。で? 本当は? リクちゃんとどういう関係? リクちゃんと関わりが無い訳が無いってあたしの本能がそう言っているわ! 【情報師】であるあたしがこんなおいしいネタを逃すはずがないわ!」
そんな本能、頼らないでよ!
「ちなみにアキちゃんは10キロメートル内にある事件だけは簡単に聞こえちゃうからすっ飛んで行っちゃうのね!!」
どんな能力ですか!?
「……さらにアキは授業中でも跳んで行くからよく先生に怒られてる。……ホントに『跳』んでいくから……。……初級魔法〈ジャンプ〉で……」
えぇ!? 授業中でも!? ダメでしょ!?
しかも、魔法まで使いますか!?
ちなみに、魔法〈ジャンプ〉は使う人の魔力と跳躍力に比例して、速さと高さが変わる、跳ぶ魔法です。
「ふ……。二人とも。情報とは逃したらいけない者なんだよ……。情報だって生きてるんだから! モットーはいろんな情報をみんなに知らせる事よ! 街では人気者だから事件を記事にしたり、今週の占いとかを新聞にしてかなりの数を売っているのよ! ちなみにあたしが書いてる新聞は『桜花魔学新聞』と『文刊新聞』と『秋新聞~季節じゃないよ!~』よ! どれも100円! リクちゃんも言ってくれれば売るからね! 普通は家に来てもらうんだけど友達ならあたしが持ってくるわ! 初回は無料よ!」
ビシッと、どこかに向かって指をさすアキ。
この人ってホントに【情報師】って二つ名があっているような気がする……。っていうか思いっきり宣伝してますね。
ひとつおかしな名前の新聞があったけど。アキ自身が売ってたんだ……。
今度、試しに買ってみようかな?
注意:サブタイトルの様なスキルは存在しません。
簡単に言えば「こんな感じ」っていうだけです。
アキがおかしいんです。




