ガバッ
朝。
それは誰もが目覚める時間。
「ん……。ふぉわぁぁ……」
目を開けてあくびをする。
そしてベットから降りて背伸びをする。
「んん……はぁ。……よし!」
意識が完全に目覚めたボクは制服に着替え――たくなかったのでパジャマのまま、台所に向かった。
しかし、誰もいない。
どうしたんだろ……? と思い、今の方に向かっていくとそこには雑賀と妃鈴、母さんが居た。……って言うか寝てた。
仕方ないのでまず、一番起こしても無害そうな妃鈴を起こす。
決して起こしたらめんどくなる母さんを初めに起こすという事はしない。
「妃鈴さん、朝ですよ。起きてください」
それだけ言うと、パチリと目を開けて、上半身を起こしながらこちらを向いた。
「おはようございますリクちゃん。……ところで私はどうしてここで寝ているのでしょう?」
「昨日のことを忘れたのですか? 仕方ありませんね。同じ事を――」
「いや……今思い出しました。大丈夫です……」
そこで妃鈴は雑賀と母さんを交互に見て一言。
「天童さんは私が起こしますからリクちゃんは母君を起こしてもらえませんか?」
「わかりました。お願いします」
ボクは母さんに近づいて起こそうとした。
すると――ガバッ。
「へ!?」
「リクちゃん捕獲~♪」
「ちょ、何やっているんですか!? 母さん! 起きたなら今すぐ離してくださいよ!!」
「いや~♪」
とか言いながらくっついて、絶対に離れない。
なんとなく妃鈴の方を見ると。
「天童幹部。仕事中にお休みですか? 書類を倍々ゲームのごとく増やしていきま――」
ガバッ
「ふ。何を言っているのだ? 妃鈴秘書。俺は寝ていないではないか」
と、馬鹿言った後。
ドサッとまた横になった。
え?
なに?
いまの?
「おかしいですね。いつもならこれで起きるのですが……」
雑賀がどんな風に仕事をしているかわかったような気がします……。
「無理ね♪」
母さんがボクに抱きついたままドヤ顔で言った。
「ここは実家よ! 雑賀ちゃんにとって、仕事は唯一関係がない場所!」
「えっと……結局母さんは何がいいたいんですか?」
ボクから離れて、腰に手を当てて、言い放った。
「家では家なりの起こし方があるわ♪」
いつものごとく訳のわからない母であった。
「リクちゃん♪ ちょっと耳かして♪」
ボクは母さんに耳を貸すと母さんはとんでもないことを言ってきた。
「な、なんでそんな事、言わなきゃいけないんですか!?」
「まぁまぁ♪ そうすればちゃんと起きてくれるよ♪ だから頑張って♪」
「嫌です! 絶対に言いません!!」
「リクちゃんが嫌がることで、天童さんが起きること……。いったいなんでしょう? でも起きることにこしたことはありません。リクちゃん。私からもお願いします。このままでは仕事に遅れてしまいますので」
おそらく意識して棒読みで言っている妃鈴さん。
絶対わかってる! わかっててそんなこと言っても騙されませんよ!?
と言いつつ、時計を見る。
『6時55分』
……あれ?
学校って8時15分には教室にいなきゃいけなかったような……。
着替え15分。
髪を梳かすのに20分。
ご飯に10分。
ここから学校まで30分……。
計算すると……。学校着く時間、8時10分
ぎりぎりなんですけど!?
「お願いします、リクちゃん」
う……どうしたらここを回避できるか!!
痛みで起こすのはちょっとかわいそうだし。
だからといって母さんの言った言葉は絶対に嫌だ!
羞恥心か……学校か……。
「今6時58分よ~♪」
え!?
……うぅ!!
もうどうにでもなれ!!
ボクはヤケクソで母さんの言った言葉をそのまま口にした。
「お、お兄ちゃん! リクと遊んでくれないの……?///」
「!?」
ガバッ
「もちろん遊んであげるさ!!」
と言いながら抱きついてきた。
「うにゃあ!! 何するんですか!?」
顔を真っ赤にしながら渾身の一撃で雑賀の顎にお見舞いした。
身身体強化魔法を全開で……。
ズドォォォォォン!!!! パラパラパラ……。
「いたそうね♪」
「そ、そうですね……(天童さんが天井に刺さってる……)」
雑賀が天井に刺さるまでわずか数秒。
声も出させなかった。
だがボクはそんなことよりも恥ずかしさでいっぱいでそそくさと部屋に戻っていった。
その後ろで……。
「カナさん。ご協力ありがとうございます。おかげで良い写真が手に入りました」
「いや~♪ 私がしたのは時計の針を6時55分に見えさせることぐらいだもん♪」
…………。
時計を見る。
短い針はⅤを……。
長い針はⅦを……。
「現時刻は五時三十五分よ。リク君」
いつの間にか隣にいたソウナの言葉とともに、ボクは部屋の扉をパタンと閉めて、無言で髪を梳かし、服を制服に着替えた。
その後、鞄を持ち、部屋を出て、ソウナがあらかじめ雑賀の財布から野口さんを3枚取り出していたのでそれを渡され、家を出た。
「あらま♪」
「食べずに出て行きましたね……。向こうで買うのでしょうか?」
「そうね~♪ でも持っていくなら諭吉さん持っていけばよかったのに♪」
「さすがに諭吉さんを取る気は無かったわ」
「天童さんの財布から取り出した事についてはなにも言わないのですね……。さて……。私たちもそろそろ行かなくてはいけませんね」
「そっか~♪ 残念♪ って言っても私も仕事だから行かなきゃ♪」
そう会話して、カナは黒い車に乗って(昨日と同じ。運転手はルーガ)。
妃鈴は雑賀を天井から引きぬき、引きずるようにして家を出た。
「いってらっしゃい」
見送りはソウナ一人で手を振りながらしていたのだった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
朝の道は騒がしかった。原因は……。
「おい。あれが例の……」
「ああ。めちゃくちゃ可愛いだろ!?」
「小動物……食べちゃいたい」
ボクの何mか後ろにいる男子諸君である。(一部女子が混ざっている)
ボクはその騒がしい人達から逃げるため、昨夜覚えたばかりの身体強化魔法を使い。
走った。
全力で。
かなり遠くまで走ったので男子は聞こえなくなった。
振り返ってみると……。
「パンチラだと……!? ブハッ」
「志野村ぁぁぁぁぁぁ!!!! 誰か! 志野村が(鼻血の)出血多量で死んで――! ブハッ」
「俺は……もう死んでも……い……い……」
「しっかりしろ草羅! 傷は浅――! グハッ」
何やらみんなして倒れていたが、顔が嬉しそうだったのでボクは気にせず魔法を解いて、歩いて行った。
朝食を食べていないので、食堂で食べようと思ったからで、食堂はもうすぐそこだし、時間を確認しても朝のSHRには十分間に合うからだ。
サブタイトルは気にしないでください(笑)
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