表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第五章 自由という名の者による襲来
33/96

評価



 話を聞いた後、リクは。


「ハハハ……さすが母さん……」


 といってそこまで驚いていなかった。

 普通なら驚くところだろ……と思った。

 俺の場合だったら自分の親がいきなり都市伝説のような奴だと言われたらまず信じねぇ。

 信じられる要素が何個か出てきてやっと信じる。

 だがぜってぇリクみたいに一言で片付けられねぇだろ。

 リクってホントに適応力があるっつぅか、動揺しねぇって感じだな。


「そういえばキリさん」


 リクが俺に話しかけてくる。


「なんだ?」

「そろそろ家に帰らないといけない時間ではないですか?」


 時計を見る。そこにはまだ十九時となっている時計があるだけだ。

 十分な活動時間。問題無い。

 いつもそのぐらいまで外にいるしな。

 何をしてるかって言われれば別に何もしてない。

 普通にコンビニで立ち読みとか、からまれたら返り撃ちだな。


「大丈夫だ。俺は帰っても一人だからな」

「そういうことじゃなくて……。キリさん。これ以上いたってあんまり面白くないですよ?」


 たしかに、面白くない事ばかりかもしれない。

 だが別に俺はそれでもいいと思っていた。

 リクといるとなんか面白いのだ。胸が高鳴るというのだろうか?

 わからん。

 まずなんで高鳴るのかが、わからん。

 楽しいから? 

 いや、それはねぇな。

 俺はそんなこと一度も思ったことねぇからまず楽しいって事がわからん。

 小さなころは楽しく生きていたかもしれねぇけどな。っていうか一緒にいて楽しいとかなんだ?

 とりあえず適当に言っておく。


「別に、俺は居たいからいるだけだ。いいだろ?」

「……キリさんがそういうならいいけど……」


 リクが困ったようにそう言うと、カナがリクに近づいてきて言った。


「リクちゃん♪」

「はい? なんです?」

「少しはキリちゃんを察してあげなさい♪」

「はい?」


 それに続くように雑賀と妃鈴が言う。


「悪い芽は早いうちに摘んでおかないとな……」

「天童さん。それでは彼がかわいそうです」


 たく……さっきっから何言ってやがる。

 意味わかんねぇつぅの。


「リク君も、もう少し男の子の気持ちに……って男の子だったわね。じゃあただの鈍感かしら?」

「あの、ソウナさん。言ってる意味がちょっと……」

「気にしなくていいわ」


 まわりではリクがよく分からないといったような顔で。カナはニヤニヤしてやがる。雑賀は、今にも飛びかかってきそうだ。

 だが、その秘書とやらに抑えられている。

 ソウナはリクを優しい目で見ている。

 めんどくせぇ奴ら。


「うぅん。一体何なんでしょう……?」

「知らね」


 俺からのここにいる奴らの評価がこれで決まった。


 リク・まだよくわからんが、神を仕えている。


 ソウナ・こいつもよくわからん。


 カナ・自分勝手で子供みてぇな奴。


 雑賀・どうでもいい。


 妃鈴・雑賀のお目付け役。


 よし。これで十分。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「それにしてももうこんな時間か~♪ そろそろ行かなくちゃね~♪」

「え!? もう行っちゃうの!?」

「ええ♪ だって……」


 そう言うと後ろを見る母さん。

 後ろには女の人が控えてる。

 そしてその人の名前をボクは知っている。


「そういえば……ルーガさん。今日は母さんと一緒なんですね?」


 禅幣(ぜんぺい)ルーガ。長身な女性で、髪は後ろで束ねて腰下まであるポニーテール。かなりボーイッシュな性格。たまにカナと一緒に居て、なんだか上下関係があるなと思っていたけど、この場面を見ると、なんだか母さんの付き添いみたいに見える。


「そうですね。私も久々です。カナにこうやって付き添うのは。いつもは仕事場でカナの尻拭いなどですからね」

「あの……いつものような言葉使いで良いですよ?」

「そうか? じゃあ遠慮なく」


 表向きは丁寧な言葉使いだが、本当の言葉使いは男口調だ。

 何度もあったことのあるボクはそれを知っているからこそ、本人が堅苦しいと言っていた言葉使いをやめさせる。


「ルーガ? リクちゃん。知り合いなのか?」

「はい。母さんが、いつも世話になっている人です」

「それってどういう意味よ~」


 カナが頬を膨らませるが事実だ。


「だけど……フリーダムシルバーの世話をするって相当名の知れた奴……だったりしないのか?」

「どうなんでしょう?」


 ボクも疑問を持ち、ルーガに顔を向ける。


「悪いけど俺の二つ名は教えないよ。ほとんど個人情報だからな」

「まぁルーちゃんの場合、その二つ名が氏名みたいな物だもんね~♪」


 つまりルーガってかなり有名だって事かな……?

 そうすると必然的に強いって言うイメージが……。


「さて、今度こそ本気で行かなきゃね♪ 実はまだ仕事が残っているのよ~♪」


 軽く暴露する母さん。

 え? さっき終わったって言ってたはずなのに……。


「あ、そうだ♪ これ、ユウちゃんから聞いたんだけど欲しがってるそうね♪ あげるわ♪ これから爆弾発言するね♪」

「?」


 それって自分で言ったんじゃ意味がないんじゃ……。

 そう母さんが宣言した時だった。


「どっか~ん♪」


 ドカーン!!


 部屋の中で爆発が起きた。


「ゴホゴホ。――ッ。何しやがる!!」

「ゴホッゴホッ。リクちゃんの母様。いったいなにを!?」

「ごほごほ……煙たいです」

「母さん!? いきなり何するの!?」


 ボクたちの言葉にカナは……。


「爆弾発言するって言ったじゃな~い♪」

「「「そのまんまか!!」」」


「みんなさん……息ぴったりですね……」

「り、リク君はツッコまないのね……」

「ボクはもう慣れちゃったというか……」


 ポリポリと後ろ頭をかく。

 なんかもうね……母さんの魔法。

 自由魔法とか言われたら納得しそうです。


「だかさすが英名持ち」


 納得する雑賀に妃鈴も同意する。


「ええ。呪文詠唱も見られませんでしたし、そもそも魔力解放をいつしたかもわかりませんでした」

「…………」


 キリはボクの事……つまりルナを知っているので二人よりはこう思わなかったのか沈黙している。

 驚きで声が出ないってのもありそうだけどね。


「で? 母さん。爆破させた意味は……?」


 なに? と続けたかったけど爆発した時の煙がまだ立っていたがそれがおさまってくるとそこにはこの部屋には無いはずの石畳があり、その石畳には何かが彫られていた。

 円を描くようにから始まって、線がいろいろな方向に彫られている。


 しかし、それはなにか法則があるように並べてあるように見れる。

 あとは文字のようなものが線の書かれていないところに埋め尽くされていた。


「なんです? これ」


 キリに聞いてみる。


「知らねぇ。なんだ?」

「これはね~♪」


 母さんがもったいぶっていると、


「魔法で別の場所を映しているのか……?」


 雑賀が答えた。そして母さんに聞いてみた。


「むむむむ~~~♪ ぴんぽ~ん♪ 正解~♪」


 などと楽しく言ってきた。うん。ちょっと場違いだよね。

 ごめんなさい。

 これがボクの母さんなんです……。


「失礼ね~♪」


 だから思考を読まないでよ……。


「で。どこを映しだしているんだ?」


 雑賀は母さんの場違いな言葉を気にせず、言葉をつづけてきた。


「ジーダスの『開かずの扉』♪」

「『開かずの扉』? しかしあそこはかなりの防衛魔法がかけられていて中は絶対に見れないはずだが……。この魔法は何魔法だ? 感知された様子もない」

「ここにジーダスの裏の目的があるわ♪ でも私はもう行かなきゃいけないの♪ それじゃあね~♪」


 母さんはそれだけを残して玄関を出て行った。

 ルーガは後に続いて、母さんを車に乗せてから車を走らせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ