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ヒスティマⅠ(修正版)  作者: 長谷川 レン
第四章 一匹狼
22/96

質問攻め



「今日からこの桜花魔法学校で学ばせていただく、天童リクと言います。わからないところがたくさんあると思いますが、いろいろと教えてくれると助かります。よろしくお願いします」


 最後にペコリと頭を下げた。

 まわりの反応がない。

 頭を上げて様子を見てみるとみんなはちゃんとこちらを見ている。


(えっと……なにかマズイ事言っちゃったかな……?)


 自己紹介は良くできたと思う。と言っても昔からみんなの目が集っていたから緊張はそこまでしなかった。

 静寂。と、不意に静寂が破られた。


「「「「「「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」


 と、男子。雄叫びを上げ……


 「「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」」」


 と、女子。黄色い声を上げる。


「え? な、なに……?」


 その叫び声ともいえる声にボクは目を丸くする。


「おまえら~質問(、、)は後からな。さて席だが……マナの隣が開いてるな……よし。マナの隣に座れ」

「……え? あ! はい! わかりました」


 よくわからないままマナのとなりの席に移動する。


「大変だね。可愛いとなおさら。別に羨ましくは無いけど……。いや、やっぱ羨ましい……」


 呟いてきたマナの言葉にボクは「ヘ?」とよくわからないような感じに返すと。


「なるべく助けるよ~。勢いに押されて無理かもしれないけど」


 なんだかよくわからないが助けてくれるようだ。

 ボクは「よろしく」とだけ言って指定された席に荷物を置いて座る。


 そしてじきに先生の話が終わって、教室を出て行ったあと、マナの言葉の意味がよくわかりました……。


 ほんのちょっとしかたっていないのにまわりに人だかり。

 逃げ場がないのですが!?


「なぁっ!! リクさんって向こうではどこの学校に通っていたの!?」

「い、いちお赤砂学園かなぁ……」(いきなり名前で呼ぶんだ……いいけど)

「付き合ってください!!」

「はぁ!? お断りします!!」(僕は外見は女だけど心は男だ!!)


「好きな食べ物は!?」

「特にないけどあえて言うなら焼きそば……かな?」

「一生この俺に味噌汁を作ってくれ!!」

「へ!? どこから味噌汁でてきたの!?」


「趣味はなんですか!?」

「え、えっと……ジョギング?」(これって趣味なのかなぁ?)

「この私と一緒に愛の逃避行を!!」

「絶対ジョギング=走るから連想したよね!? そして女の子同士だよ!?」(まさか自分からこんな言葉使うなんて……)

「かまいません!! 妹にしたいんです!!」

「かまえ!! そして妹にはならないよ!!」


「何属性の精霊なんだ!?」

「いきなり!? た、たぶん光属性だと思う」

「俺と一緒だ……これはもう結婚するしかない!!」

「どんな法則(ルール)ですか!?」

「いや! この俺だ!! 光とは相性がいい!!」

「相性がいいからって結婚しません!!」

「なにを!? おまえ闇属性だろうが!!」

「全然相性良くなかった!! むしろ悪いほうじゃないの!?」


 なんかもうね……ツッコミ疲れました……。誰か助けて……。

 質問攻め怖い……とくに男の人。

 勢いありすぎです……。

 女の人の声なんてほとんど聞こえないです。(三人ぐらいしか聞こえないかった)


 助けてくれると言ったマナのいた方角をみる。

 人の間にちらほらと赤い髪がピョンピョン跳ねているのがわかるが、

 男がたくさん集まっているので見えなかった。


 ボクが座っているからというのも含まれているような気がするけど。

 立っても見えないと思うよ?

 だってボクの身長、マナよりも低いんだよ?

 立ってもまず男子や女子が周りにいてほとんどみんなのほうが大きいということだよ?

 男のときと今とはそんなに身長変わってないのに……。

 ハハハ……やだなぁ。泣いてないですよ。

 涙目なのは、ポケットに玉葱(たまねぎ)があったからですよ。

 ボクの身長って絶対母さんの遺伝だと思うんだよね。


 いまだに続く質問攻め。

 ボクはもはや勢いに負け、押されて答えることもままならなくなってしまった。

 お願いします。

 誰か助けて……などと考えていたら不意に手の鳴る音が鳴った。



「みなさん静かに。彼女怖がっているではありませんか」



 手を鳴らした本人らしき人が大きな声で呼びかける。

 人だかりが一斉にそちらを見る。

 人だかりがそこの部分だけいなくなったため、ボクもそちらを見る。


 長身で、ほっそりとした体。

 スラリとした足でモデルみたいな人だった。

 藍色の髪は肩下までストレートに伸びていた。

 その女の人はこちらに歩み寄って、ボクの目の前に立つ。


「初めまして。わたくしはレナ・ルクセル。父母、ともに外国人ですが、わたくしは日本育ちですので気にせず日本語で話してくださります? 二つ名は【泉】ですわ。精霊は水の象徴『ウィンディーネ』ですわ。以後、お見知りおきを」

「は、はぁ。えっと……よろしくお願いします」


 いきなり自己紹介(って普通か……)をしてきたので、返し方がふぬける。

 だが、とりあえず助けてもらったので礼を言った。


「その……ありがとうございます。助かりました。今度埋め合わせでも……」

「かまいませんわ。わたくしにとっても、少々うるさかったものですから。ついでですわ」


 現実に『ですわ』って使う人ほんとにたんだ……。


 キーンコーンカーンコーン


 チャイムが鳴る。みんな蜘蛛の子をちらすように自分の席に戻っていった。


「では天童さん」

「いいですよ。ボクの事はリクと呼んでくれてかまいません」

「そうですの? では……リクさん。何かわからない事がありましたらわたくしか、マナさんへ質問するといいですわ。見たところ、仲のよろしいようですし」

「そうですね。そうしておきます」


 レナは「それでは」と言うと、自分の席に戻って言った。教室の廊下側のようだ。ボクからは二席分離れている。

 そしてボクにとってのこの学校での初めての授業を受けた。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 終わりのチャイム。今日の午前の日課は特別で、2時限しかなかった。

 つまり、今は昼ごはん。


「リクちゃ~ん。昼ごはん食べ行こ。食堂さっき案内してなかったからそのついでで」

「うん。お腹空いたし、早くいこっか」

「りょうか~い。早く行かないと席なくなっちゃうからね」

「そういえばレナさんは……」


 ボクは質問攻めにあっていたときに助けてくれたレナに話をしてみようと思ってみるが、レナはもうすでに教室から出て行ってしまったいた。


「レナさんは他の教室の人三人を合わせて、よく四人でよくいるから今度混ざってみたらどうかな?」

「そうだね。今度言ってみる。じゃあ行こっか」


 そういうとマナがボクの手を引いて教室をあとにする。


「く!! リクちゃんは弁当じゃないのか!?」

「なぜ今日の俺の昼は弁当なんだ!?」

「俺は食堂で弁当を食べるぞ!!」

「やめろ!! 弁当をもって食堂に入ると『ヤツ』が来るぞ!!」

「なら俺は弁当をおいて――!!」

「何言ってやがる!! そんなことしても『ヤツ』の餌食になるぞ!!」

「それでも男にはいかなければいけない時が――!!」

「馬鹿野郎! 仲間をミスミス死なせるかよ!!」

「そうだ!! だからここは俺に任せて待っててくれ!」

「志野村! それは俺の役目だ! お前を殺させるかよ!!」

「ならばここは俺が!」

「草羅!? お前が死んだら誰がここを守るんだ!?」


 などと教室で騒いでいたが無視する。

 『ヤツ』って言うのは誰か気になるけど……。


「おい」

「?」


 廊下に出てさっそく呼び止められる。

 騒がしい教室から聞こえたものではない。

 声のした方向に振り向くと、黒髪黒瞳の男の人がいた。


「おまえ、天童って名字なんだな。天童雑賀となんか関係あんのか?」


 あきらかに敵意のある目線に、不審に思う。

 そしてなんとなくこの人とはうまくやっていくには何かハプニングがないとやっていけない気がする。

 ボクは男の人の質問に、決めている設定を口にした。


「天童雑賀はボクの義兄です。それがどうかしたんですか?」


 態度がちょっとむかついたので答えた後、同じように質問した。


「別に。今朝一緒に歩いていたのを門で見たからだよ。ついでに蹴るところもな」


 それだけ言って彼は背を向けて隣の教室に入っていった。

 その教室のプレートを確認しておく。


〈アーマメント〉


 と、そう書かれていた。


「マナ。さっきの人、知ってる?」


 なんとなく彼女に質問するが、彼女は何かに怯えたようにしてボクの後ろに隠れていた。


「う、うん。名前は仙道(せんどう)(きり)。今のところ一年生で一番強いの。でも彼あんな性格だから誰も近寄れないの。ウチもちょっと怖い。だから二つ名は【一匹狼】。本人もそう名乗ってる」

「ふ~ん。ありがと。さ! 食堂に行こっか!」


 特に興味なしに答え、礼を言っておく。

 うん、と頷いたマナをつれて食堂に向かった。


第四章が始まりましたよ~。


あれだね。一話千字だったのに三千字にするとこうも短かったんだなぁって思う自分がいる……。

まぁその分長いけどね。

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