視線と視線
「バイバイ。」
「うん、バイバイ・・・。」
不思議な空気を残したまま私たちはわかれた。
あれから10分ほどたったけど、一体何が起こったのかはわからなかった・・・。
きっと楓の気のせいだとは思うけど、なんだか怖い。
麻耶は1人暗くて細い道に入った。人通りは少なくて、今にもおばけが出てきそうな場所。
しかし、麻耶はこんな道は小さい頃から通っているので怖くはなかった、今日までは。
「さむ!」
冷たい風が麻耶の体の周りをかけめぐり、体温を下げていった。
木の葉がかさかさ動いていて気味が悪いと麻耶はかんじた。
無意識のうちに早足になり景色がいつもとと違うスピードで動いていく。
「はぁ・・・はぁ・・。」
何故か息が荒くなっていって、心臓が痛み始めた。
「おかしいな・・・部活で鍛えているはずなのに。」
麻耶は自分の胸を手で押さえ、痛みを和らげる。
「・・・?・・・・・!!!!!!・・はぁ・・・・はぁ・・・はぁ、はぁはぁ・・。」
麻耶の息が荒くなった原因は後ろからの音であった。
コツ・・コツ・・・。
だ、だれ!?
麻耶はあわてて後ろを振り返るが、誰もいなかった。
麻耶は気を落ち着かせて再び前を向いて歩く、しかし音はいまだにする。
「はぁ・・はぁ・・。」
コツコツコツ
麻耶の心臓の鼓動はピークを過ぎていた、さっきの出来事といい今日は何かが違う。
早足がもっと早足になりはじめた。
「う!!!!!」
背中に冷たい空気を感じた、今日はとても寒いがこれは普通の空気ではない。
麻耶は目をつぶる。
落ち着くんだ!!霊は怖いとおもっている子についてくるっていうではないか!!
怖くない怖くない怖くない怖くない・・・。
「うう・・・。」
この冷たい空気は視線だ・・・。
誰かに見られている・・・誰かに、だけど一体誰???
まさか!肉まんを楓に頼んだ奴?私になり済ましているのだとすれば・・殺される!!!!!!
視線がだんだん殺意のある視線にかわっていったような感じがする。
麻耶は一目散に逃げた、走って走って・・全力疾走。
「はぁ・・はぁ・・!!」
せめて明るい場所に逃げたい。
その思いだけで走りまくった、視線は強くなるばかりだ。
なにか、大きい目に追いかけられているような気分になった。
「嫌ああああああああああああああああああああああッッ!!!!!!!」
麻耶の声は夜の暗い道によく響いたが、人の耳には届かない。
視線が追いかけてくる、想像しただけでも恐怖なのに、実際体験をしたら心臓が止まる。
麻耶はそんな状況にいた。
悲しいことにこの道はかなり長い。
だけど、あと少しで家につくはずだ!家にはお母さんや妹の沙耶がいる。
麻耶は家族の顔を思い浮かべたがそれどころではないのですぐに消えた。
視線は少しずつだか、薄くなっていっている。
今のうちに逃げ切ればいい、麻耶は希望を持ったが。
「ま・・・って・・・。」
かすかにそんな声が聞こえた。
「待って」といっているということは・・まだ、追いかけて来ている(・・・・・・・・・)ということになる。
麻耶の顔は青白くなった、いや、すでになっていたから白色に近い状態かもしれない。
それでも逃げ続けた。
麻耶は無事に家に着いた。
今日の出来事はなかったことにした、麻耶。
「なん・・・・で?」
そんなこえは麻耶には届かない。




