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第十九話 麻衣と怜の溝

 宮木さんとひなたぼっこを楽しんだ日の放課後、僕は真由がいる図書館でいつもどおり仕事をしていた。でも、気になるのは宮木さんのあの言葉。

「麻衣が私や真由から遠のいているような気がして」そりゃ、どんな人でも彼氏彼女が出来れば少しは態度が変わるだろう。でも怜がいちいちそんなことを気にするだろうか。隣で手を動かしていた真由に声を掛ける。

「真由、今、麻衣は学校でどんな感じ?」

「別にいつもと変わり無いけど、それがどうしたの?」

「実は今日、宮木さんと会ったんだ。そしたら、麻衣が遠ざかって行くような気がするって」

 真由は表情をすこし曇らせて、数秒間黙り込む。

「麻衣はそこまで変わっていないよ、でも二人には大きな溝がある。だから怜からしたら、遠ざかるって感じだと思う」

「溝?」

「怜も先輩のこと好きだったんだよ、でも麻衣がそれを知らずに先手を取った」

「そっ、そんな」

二人の溝はあの告白の時から広がっていたなんて、でも、それよりも麻衣の告白は僕の突然変異に押された形だった。だから怜よりも早く告白出来たのだ。そう考えるとなんて残酷な事だろう。

「でも、先輩のこと好きなら、怜も応援してくれると思うよ。私だって、先輩がここを首にならないように手伝ってるし」

「二人の溝を埋める方法はないの?」

「時間と会話が必要なんじゃない?でも、麻衣にこの事をいうと気を使うと思うから、それだけは止めた方がいいよ」

 麻衣と怜の溝を埋めるにはどうしたらいいか、僕らは数分間、仕事をやめて考える。

「そうだ!私、今週誕生日なんだけど、パーティーで二人を盛り上げて 溝を埋めるのはどう?」

「いいね、麻衣に話してみることにするよ」

 真由と僕は止めていた手を動かして仕事を始めた。


 その夜、僕は麻衣に真由の誕生日パーティーの件を話す。麻衣は仕事が忙しいんだよ、と愚痴を言って二つ返事で承諾した。なんとかうまく行ったなと思い、ちらと、カレンダーを見る。そこには殴り書きで予定がぎっしりと詰まっていた。僕の事で忙しいのに、さらに迷惑をかけてしまったかもしれない。

「麻衣、今日の夕飯、僕が作るよ」

「いいの?じゃあ、お願いしようかな」

 彼女は僕に微笑む。にしても、さっきのカレンダー、なんてスケジュールなのだろう。空いている日がほとんどない。このまま何事もないまま計画が進展するといいけど・・・



  

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