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第十六話 弥生と狼

第一話の方も改稿してあります。

もしよければ、そちらの方も見ていってください。

 湿っぽい話の後、(麻衣と出会えた原因でもあるから一概にそうとは言えないが)

麻衣と僕は風呂を出て、寝る仕度をする。麻衣は真っ暗でないと眠れないというので、弥生さんの部屋で寝る。というわけで、弥生さんと僕はリビングで寝ることとなった。昼間の事も彼女は考慮していて、弥生さんに聞こえぬように「先輩に襲われないようにね」といい。先輩の部屋に布団を運んでいった。

 そういえば、弥生さんの銃はどうなったのだろう。机に置きっぱなしになっているならば、麻衣がその銃を回収しなければならない。もしかすると彼女はやむおえず弥生さんの部屋にて寝ると言ったのか。

 弥生さんは布団を敷き終えると、僕に喋りかける。

「寝る、それとも少し話す?」

時計を見れば、時刻はまだ、九時ちょっと過ぎだった。寝るにはまだ早い。だけど話していると麻衣に心配を掛けそうだし、弥生さんのテンションが上がって襲われる危険性がある。

「じゃあ、テレビでも見ようか」

しまった、麻衣に話しかける感じで話してしまった。

麻衣にとってみれば先輩だけど、僕からすれば同い年、大丈夫だろう。

「そうね、じゃあそうしようか」

彼女は上機嫌で答えた。僕はテレビのリモコンを探して、電源をつける。

今日は日曜日だけどなにがやっているのかな。ついたテレビ画面を二人で眺める。

「洋画だね・・」

弥生はぽろっと呟く。

「うん・・」

このシーンどっかで見たことあるような気がする。

「あっ、」

 しまった、と思ってついつい声が出てしまう。この映画の結末を知っているからだ。この映画は、主人公の恋人が冒頭で死に二人目の恋人を命がけで守るという物だ。僕はとんでもない外れくじを引いたかもしれない。もしも、弥生がこの映画に感化されたら・・

「どうしたの?」

「いや、これ見たことあってさ」

「どんなストーリーなの?」

嗚呼、もうだめだ、と思い観念して全部話す。

「おもしろそうだね。観よ!」といって彼女は画面に集中する。

 一時間たって、ストーリーが面白みを増してくる頃、彼女は僕の肩に寄り添ってきた。振り払う訳にもいかずそのままの姿勢で僕は映画を見続ける。全部見終わった時、僕が寄り添う彼女をちらと見ると彼女は寝息を立てて眠っていた。

 これでは彼女が僕を襲うのではなく、僕が彼女を襲う立場になってしまった。

 こうしてみるとクールでチャーミングなイメージのある弥生も可愛く思えてくる。暖かくて、鼻が高く小顔でとても整った、クールな顔立ちが、今やとても気持ち良さそうな顔をして目を閉じて頬を赤く染めている。しかもよだれまで垂らして。

 だが、そんな今の彼女の状況とは裏腹に彼女の黒く、しなやかで美しい髪は昼間のような狼の本性を残しているようだった。

 僕は弥生を起こさぬようそっと布団を掛け、部屋の明かりを消した。





弥生を寝かしつけた主人公。彼女の中に居る狼は今後、二人の生存競争にどのような変化を与えるのでしょうか。役者も揃い、物語は折り返し地点を過ぎました。

これからも次話投稿頑張ります。

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