第十四話 「ファーストキス」
弥生という恋敵が現れ、さらに主人公と麻衣の関係は進展していきます。
その後、麻衣と弥生は僕を部屋から追い出して話し合い、二人とも仲直りが出来たようだ。
彼女たちが話を終えた頃には日はすっかり落ちていた。
「じゃあ、二人とも此処に泊まっていかない?」
弥生は提案する。
「えっ、先輩いいんですか?」
麻衣は嬉しそうに聞いた。
「弥生先輩とお泊まりなんて、合宿以来ですね」
勝手に話が進行しているが、泊めて貰えるならとても楽だ。
「先輩、いいですよね」
麻衣は僕に聞く。
「僕なら、別に良いよ」
「そんな敷けた事、言わないで下さい!折角なんだから楽しみましょうよ」
やれやれと僕は重い腰を上げる。
「じゃあ、麻衣と私は料理をキミはお風呂掃除」
弥生さんの分担で、共同作業が始まった。
といっても僕は風呂掃除担当だが。
***
風呂の掃除もやっと終わり、僕は彼女たちと食事を取った。
「美味しい」と麻衣は呟く。
「よかった、久しぶりに作るから大丈夫かなって思ってたんだ」
「弥生さんは何時も何を食べているんですか」
僕は聞く、
「コンビニで買ったり簡単なものを作って済ましてるよ。部活で忙しいから」
今度は麻衣が聞いた。
「先輩まだ部活やってるんですか」
「今度は弓道部だけどね」
そんな話を交えつつ、僕らは夕食を取った。
夕食をとった後は食休みで、みんなでテレビを見たりしていた。
「じゃあ、お風呂どうする?」弥生は聞く。
「先輩が先で、私たちは後から入りますから」麻衣が言った。
「じゃあ、先入ってくるね」弥生はそういうと、お風呂へ行ってしまった。
部屋には、麻衣と僕だけが残っていた。
急にテレビの雑音が消えて、麻衣は僕に話しかける。
「先輩、今日は付き合ってくれてありがとうございました」
「いいよ、別に。楽しかったし」
「私、弥生先輩に怒られちゃいました。先輩を退屈させちゃだめだって・・」
「確か、彼女、僕にも聞いてきてたよ、そのこと・・」
一瞬、二人は黙り込む。
この部屋が少し、甘い緊張に包まれる。
その中で、彼女は僕に近づいてきて、僕の唇を奪った。
十秒にも、五秒にもみたないファーストキスだった。僕はなぜか戸惑いもせず、
彼女がその唇を離してくれるのを待っていた。
暖かな彼女の体温を感じながら。
彼女があの日、銃を僕の額に当てた時のあの冷たさを暖めるかのように、
その過去を清算していくかのように彼女の唇は動いた。
もしも、今、麻衣があの時のように、銃で僕を殺そうとしたとしても、僕はずっとこのままだろう。
彼女の温かみから、もう僕は逃れられないのだから。
麻衣とのファーストキスに成功した主人公。
弥生は今後、麻衣と主人公の関係にどう関わってくるのでしょうか。