第十一話 麻衣の為に稼ぐ
主人公は前回した麻衣との会話どおり、図書室にて、真由と落ち合います。
僕は昨日の打ち合わせ通りに真由と図書室にて会った。
「こんにちは、先輩。」
「こんにちは」僕は軽く会釈する。
「麻衣から聞きましたよ、バイトの事。先輩も以外とカッコいいですね、同居している彼女の為に稼ぐなんて」
「そう言われると、俄然やる気が出るよ、で求人あるの?」
「特に募集はしてないらしいんですけど、やる気さえあれば、良いって言ってましたよ」
助かった、これで何とか親父の条件はクリアした。
「じゃあ、今日、早速行ってみてきてもいい?」
「大丈夫ですよ」
「ありがとう、ホント助かった。ジュースでも奢るよ」
彼女は嬉しそうな顔をして僕に付いていく。
「コトン」
自動販売機から出たジュースを渡して外階段をゆっくり上る。
「彼女との夜はどうでしたか?」
ぷっ、と持っていた紙パックから吹いてしまった。
「君って、真面目そうに見えてそうじゃないんだね。まさか、いつも猫かぶってる?」
「全然そんなこと無いですよ、いつもからこんな感じですよ」真由は笑う。
「で、昨夜はどんなことしたんですか?」
「別に何もやってないよ」僕もなんだか笑えてきた。
でも、彼女は僕が何かして喜ぶだろうか、否、よろこぶ訳がない。
「君だったら、なにかしてくれる?」
「えっ、先輩にですか?」
「そう」
「えっと・・」彼女は言葉に詰まる。
「なにも出来ないだろ?」
「で、でも先輩なら」
彼女が言わんとする事を制止して、僕は話す。
「そばに居るだけで良いと思うんだ、付き合ってまだ二日だし」
真由はすこし考えた後、笑顔になってこう言った。
「じゃあ、私、先輩のこと応援しますね。あと、麻衣を飽きさせないでくださいね」
***
一週間後、採用も決まり、僕は本格的に近くの図書館でのアルバイトを始めた。
飲食店よりは楽だと思ったが、結構きつく、本の貸し出しから、整理、掃除などなど、やることは沢山あるのにも関わらず、休憩時間もほとんど無い。
作業、初めて数十分、僕はすこしへばってきた。
「思ったよりもきついね、この仕事」
「手が動いてませんよ、先輩」
「はーい」
整理中の本の題名を見る。「淘汰・・・」
そういえば、生物のコーナーを整理しているんだった。
えっと・・・
生物は皆、平等でなく、生存と繁殖の差があるのではないかと考えた・・・
生物は同じ種に属していたとしても、様々な変異が見られる。
変異の中には自身の生存確率や、次世代に残せる・・・
その、雄と雌の交配がよければ、強い品種になることもある。
弱ければ、生存競争と呼ばれる、自然に淘汰され消えていく
つまり、同じ生物内で、篩い分けの役割をするものである。
これは、現代、薬剤耐性菌などに見られる変化と同じものがあります・・
斜め読みだがなんとなく分かってきた。
「うわっ、」
視線を前に戻すと真由は本を本棚に戻していた。本を取り上げられたようだ。
「懲りないですね、先輩。」
「すみません・・」
四時間働いて、3600円。こんなので、生活持つかな?
疲れ切って家に帰る「ただいま」
「お疲れ様、どうだった?」
彼女は制服にエプロンをして玄関で迎えてくれた。なんか、夫婦みたいだ。
「ぼちぼちかな」
「夕食できてるから、食べよ」
「そうだね」
***
「仕事、やっぱり疲れる?」
「うん、でもやりがいが出てきたし、麻衣の為なら頑張れるよ」
そうだ、僕は彼女のために働いている、弱音など吐かずに頑張らねばならない。
もっと稼がなければ・・
「そうなんだ」
彼女は少しためてから、こう言う。
「明日、休日だけど空いてるよね」
「大丈夫だけど何?」
まさか、デートだろうか、僕は少し期待する。
「ちょっと仕事なんだ、付いて来て欲しくて」
少し落胆したが、彼女も忙しいのだと思う。しょうがない事だ。
それに、僕でよければ彼女の役に立ちたいとも思う。
今回は、真由からの承諾を受けて、今日すぐに行くと主人公は言っていました。昨日の考えもあるのでしょう。
でも、それとは裏腹に真由は麻衣との同居生活に興味があるようです。
主人公はその後、図書館アルバイトを始めるようになりますが、
仕事が思った以上にきつくなってきます。
その仕事中、彼は気になる本をみつけて、チラッと読みます。内容は自然淘汰について書かれているものでした。
主人公は斜め読みをしますが、それが新たな出会いに繋がっていきます。
その帰り、彼は家で麻衣に弱音を吐いてしまいます。
彼女は優しくしてくれますが、これではだめだと、自分の体に鞭打って働くことを決意します。
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