表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王都怪異事件簿――ネクロマンサーの不埒な恋を祓うには  作者: せりもも


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/44

28 キッチンでヤるのは男の夢

 無茶苦茶に抱きしめられ、所かまわずキスされる。俺の顔は、彼の涎でべたべただ。

「ヴァーツァ、」

息も絶え絶え、俺は言った。口を塞がれ、酸欠なのだ。

「ん? んんん」

やっと声が出た唇をまた塞がれる。

「だから、ヴァーツァ!」

 その場に押し倒そうとするから、突き飛ばした。

「キッチンでやるのは男の夢だ」

 めげずに彼は、俺を流しに押し付けようとする。

「ちょっと! カルダンヌ公!」

「ヴァーツァだ。わかった。ここがいやなら……」

 一向に諦める気配もない。エプロンをめくり上げようとする手を思いきり叩いた。

「そういうことじゃなくて!」

「君は俺のことが好きなんだろ? 俺のことをもっと知りたいと思ってるんだ」

「す、好きなんかじゃない……」


 だって、そう言うしかないじゃないか。この状況を回避するには。

 ヴァーツァは余裕の表情だ。


「はいはい。君の気持はわかってるって。だって、さっき告白したばかりだもんな」

「してない!」

「したよ。だが、安心しろ。俺は君を飽きたりしないから」

 低く笑った。

「君みたいな人を、飽きたりなんかするもんか!」

「……え?」

「君みたいな愉快な人間は初めてだ」

「……」


 微かに膨らんだ希望が急速にしぼんでいくのを感じた。やっぱりヴァーツァにとって俺は、一時的な退屈凌ぎにすぎないんだ。


「ああ、バタイユの監視を気にしているのだな」

 負けない男がのしかかって来た。

「急いでやれば大丈夫」

「そういうことじゃない!」

 思わず叫んでしまった。

 ヴァーツァの顔が曇る。

「そうだよな。こういうことは、急いではいけない。ゆっくりと時間をかけなくては。まったく、バタイユのやつ、いけすかない魔法をかけていきやがって……」


 ぶつぶつと文句を言っている。

 子どもの姿をしているが、バタイユの魔力はヴァーツァを凌ぐ。

「俺が()()()()をしていると、きっとあの子が現れるんだ。それが自分の寝室であろうと、娼館であろうと。双子って怖いな」

 絶句した。それは、いろいろまずい気がする。

「あの子に見られたんですか? そんな、あんな子どもに、あられもない姿を見られるなんて!」

「気にするな。ああ見えて、俺と同じ年齢だ。それに何度も見ていれば、耐性もついてくるというものだ」

「何度も!?」


 そりゃ、ヴァーツァくらいの美形なら、過去にそういう経験もあったかもしれないけど……何度も?

 エプロンを剥ぎ取り、シャツの下に侵入してきた手をぴしゃりと叩いた。


「無理です! 俺は無理!」

「仕方がない。無理強いはしない。俺は紳士なのだ」


 ネクロマンサーの紳士(ジェントルマン)。弟に濡れ場を見られても全然平気。しかも、何度も。

 なんかもう、いろいろ無理がありすぎる。

 ヴァーツァはむくれ、しぶしぶ手を引っ込めた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ