表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽系外からの訪問者  作者: HAL
辺境監視基地 
69/208

第03話 講義 辺境の守り方

 今日は、講義です。週1回 講義がある。

 討論形式で進める。毎回難しい。暗記は得意なんだがな。


 AI先生

 太陽系を守りるには、どうする?

 キム

 簡単に、ワープ境界の辺境に全てセンサーをばら撒けば、

 反応したら、即短距離ワープで囲んで殲滅ですよ。

 AI先生

 センサーは ワープ検知だけでいいのですね。

 キム

 ん? その言い方、なんかありそうだな。 

 ワープ以外か? 通常空間から来たらセンサーが反応するのが必要、

 えーと、センサーは、ワープも通常空間も異常検知可能とします。

 AI先生

 わかりましたね、

 なにを探すかが重要ですが、移動手段は無数にあるから、

 危険度から潰すのですよ。

 一方しか見ない考えは危険です。

 では、センサーを配置するとして、何個必要ですか?


 キム

 センサーは最新機器、デルタモデル最高品 

 100万立方カバーできるやつをつかいます。

 これをばら撒く。

 AI先生

 で? 何個?

 キム

 冥王星の距離は平均で約40天文単位。

 1天文単位は約1.5×10¹¹ mだから、半径はおよそ

 6×10¹² m。

 太陽を中心に「全級カバー」するなら球体。

 体積は (4/3)πr³ ≈ 4.2 × (6×10¹²)³ ≈ 9×10³⁸ m³。

 センサー1個がカバーできる体積が100万立方メートル=10⁶ m³。

 なので必要なセンサー数は 9×10³⁸ ÷ 10⁶ ≈ 9×10³² 個。

 つまり、 約10³³個(1の後ろに33個ゼロ)。


 あれ(汗)、これ積んだ。 


 AI先生

 はい、基礎学習はできているようでよかったです。

 無理ですよ。


 キム

 なら監視船が短距離ワープで監視して

 また移動する監視網なら可能ですよね。


 AI先生

 ・普段は低密度の広域センサー(重力・放射・光学)で異常兆候を拾う

 ・閾値を超えたら短距離ワープで現地に跳ぶ

 ・詳細観測してログ化

 ・また消える

 ただし限界もある。

 ・「完全ステルスで、低エネルギーで、短時間だけ存在する」対象は見逃す

 ・過去に遡ることはできない

 ・同時多発イベントが多すぎると取りこぼす


 今の監視パトロールですね。


 では、

 相手がワープして来たら、辺境ではワープしやすい。

 来たら反応して防御網展開する時間があるかな?

 太陽系内はワープは危険ですから、

 通常エンジンで移動するはず 移動する前に囲む、これ可能か?


 キム

 んーーーーー。

 ワープ直前・直後に起きがちなもの:

 ・局所的な時空歪み

 ・高エネルギー粒子の異常

 ・重力の瞬間変動


 つまり優秀な監視網があれば、

「出現と同時」ではなく「出現の数秒〜数分前」

 に兆候を掴める設定が成立する。

 この数分がすべてだから、

 防御側がやるべきことは三段構えになる。


 第一段階:即時ロック

 出現予測点を中心に、センサーと火器と妨害を向ける。

 ここでは撃破より「逃げ道を限定する」ことが目的。


 第二段階:ワープ封じ

 重力擾乱、空間ノイズ、人工的な「荒れた海」を作る。

 再ワープは危険、下手すると自滅。

 侵入者は通常航行を強いられる。


 第三段階:包囲

 通常エンジンは加速に時間がかかる。

 防御側はあらかじめ配置された迎撃ユニットを

 相手が行ける範囲に先回りさせる。

 完全に囲むというより、「選択肢を全部悪くする」。


 だから「移動する前に囲む」は、

 厳密には

「移動を始めた瞬間に、未来の位置を先に塞ぐ」

 が正確。

 ただし失敗条件もはっきりしている。

 ・侵入者がワープ後すぐ自爆的再ワープを敢行

 ・超高加速(人が耐えられないレベル)を使える

 ・防御側の予測モデルを逆手に取る囮侵入

 これができる相手なら、囲みは破られる。


 先読みが大事です。先生。


 AI先生

 そうです。

 では、 

 パトロールは自分の庭だから短距離ワープはできる

 反応したら移動するだけで秒は掛かるので、

 着いても相手は戦闘可能ですね?

 どうします?


 キム

 ・こちら:自分の庭なので短距離ワープ可

 ・相手:ワープアウト後、通常航行だが戦闘準備は整っている

 ・反応→判断→ワープ、でどうしても秒単位の遅れが出る


 この「数秒」は宇宙戦では致命的にも、無意味にもなり得る。

 鍵はその数秒で何が終わっているか。


 重要なのは、

 戦闘可能=有利ではない

 という点。


 相手がワープアウトした瞬間にできることは限られている。


 ・位置はほぼ確定している

 ・初速と加速限界もほぼ読める

 ・遮蔽物がない(辺境)

 ・再ワープは危険 or 不可


 つまり、こちらが到着した時点で相手は銃を構えているけど、

 立ち位置が最悪。


 ここでパトロール側が狙うのは撃破じゃない。

 ・射線を複数方向から通す

 ・通信とセンサーをまず殴る

 ・推進に干渉して「行きたい方向」を奪う

 ・ワープ不能領域を広げる


 こうすると、相手は

「撃てるけど、撃っても状況が良くならない」

 状態に落ちる。


 だから現実的な描写はこうなる。


 ・ワープ到着

 ・即座に相手の探知圏内

 ・数秒〜十数秒の張り詰めた対峙

 ・最初の一撃は同時、あるいはほぼ同時

 ・勝敗はその前に仕込まれた配置と制約で決まる


「移動するだけで秒かかる」問題も、設定的にはこう処理できる。

 ・完全即応は無理

 ・だからこそ、常に複数の予測位置に戦力が散っている

 ・反応ワープは仕上げで、主役は事前配置


 結果として、

 着いても相手は戦闘可能?

 → 可能。でも自由ではない。


 つまり、いかに先読みして相手を動きにくくするかが重要だな。


 です。 先生。


 AI先生

 そうですね。


 辺境は地形がない戦場です。遮蔽物も要塞線もない。

 どこからでもワープできる=どこから来るか分からない。

 だから最適配置という概念が崩れる。

 ここで勝敗を分けるのは、

 「正解を置く力」じゃなく、外れを引いた時に被害を最小化する力。

 完全に将棋ですね、ただし盤面が毎秒増殖する将棋。


 辺境の将官はこれを毎日自然にこなす。

 辺境の将官が切れ者になる理由も自然に説明できます。


 ・固定防衛に頼れない

 ・数で押すと補給が死ぬ

 ・一度の読み違いが星系レベルの損失になる


 だから生き残るのは、

 ・先読みができる者、

 ・相手の性格まで読む者、

 ・自分の誤りを即座に捨てられる者。


 辺境の名将は、未来を当てる人じゃない。

 未来が外れた時の逃げ道を、常に3通り持っている人。


 結果として、辺境=知性と度胸の戦争 です。

 ここにいる方達は、盤面が崩れる音を聞き分けられる。


 わかりましたか?


キム 

 先生、よくわかりました。

 退屈な任務と思っていましたが、とても重要なんですね。

 でも、先輩はバカですよ。ここだけのはなしですよ、いいですね。

 あの人が、知性と度胸を持つ辺境の名将だなんてしんじられませんよ。


 AI先生


 はいはい、言いませんよ。 

 あなたも、ここに赴任しているでしょう。

 知性と度胸を持つ辺境の名将の端くれ?訓練中?

 見込みがあるから、ここへ配属されたのです。

 頑張りなさい。


 今日は、これで終了です。


 3Dモデリングのホログラムが消えた。


 疲れた、思考訓練ばかりだ。

 ほんと、将棋とチェスとか先読みは無限にあるから、

 最適は選ばなくてもとは言っても、痛いのは嫌だから、

 いかに逃げるかだよな。

 そこは、先輩にお任せします。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ