第36章 皇女の目的
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
5日後、三人が見舞いに来た。
そこで、今回の騒動(多層次元怪物)を話した。
俺が半分人間辞めてる状態なので。
色々話し合って、
ジョン・カーソン:地球災害センター所長・実行委員長。
俺の説明を聞くなり、
「貸しだな。モルトウイスキー一本で手を打つ」
と、いつも通りの図太さだった。
今回の後始末、多層次元怪物による世界規模の異常現象の説明と、
世論が暴走しないよう調整する仕事は、ジョンに押しつけた。
「災害センターの仕事はお前の担当だろ」と言ったら、
「はいはい、引き受けたよ」と肩をすくめていた。
オリビア・ハアスト:情報と世論誘導を統括する女傑。
「ライトノベル形式で、小出しにして事件を世に出すわ」
と、まるでマーケティングのように事件を加工しはじめた。
真実の9割は伏せるが、物語としての事件は広めるつもりらしい。
マーサー・ヤワオロ:映像文化部門の責任者。
「地球版の制作を依頼したい。
本物のマーズに聞けばどうにかなるだろ」
と、本気で言っていた。
AI人格 マーズ は芸術方面にも秀でているらしい。
俺は、皇女の真の目的を探る。
時系列
災害で恒星バーストで惑星が死んだ。
民をつれて、住める星を探す。
道中 1000億人が亡くなる。
太陽系が移住条件に適していたので1年調査した。
太陽バースト、気象異常、災害の予兆を掴んだ。
地球へ知らせると同時に、移住交渉の切り札とする。
地球では対処できない事は、わかっていた。
予兆から、すでに、動いていた。
小出しの技術提供により、異星人の嫌悪感を消す。
決定的なのは、1億台のシエルターを3ヶ月で無償で提供した。
一気に、地球は木星以遠も全て、彼らの開発を許可。
太陽系は、強固な、防御体制を即座に進める。
X DAYにて、人類は助かった。
その後も、シエルターの改造で、住居を確保、
食料も、水も、エネルギーも災害は大きかったが、
異星人の技術で、短期間で戻せる(3ヶ月)。
DNA再生、孵化装置。動物、植物も15年で再生する。
前より、美しい地球が出来上がる。
スカイカー、宇宙船、転移ゲート、フードプロセッサー、人格AI
その他にも、教育機械、倫理デバイス、個人転移リング。
地球人が、銀河文明人へジャンプしている。
月、火星、地球 人の大移動。人口爆発、知識階層の増大。
犯罪をする環境ができない(不平等がない)
努力は報われる社会システム。
公のために仕事をする。
貨幣が必要ない。
魂の格を上げるのが人生目標。
あげれば、どれもこれも、先に先にと動いているのだ。
地球の政治システムでは、100年かけても成し遂げられない。
貨幣も法も、方便だよと、
民主主義という怠慢会議で、利権を貪る、政治システム、
すべて、消し去った。
太陽バーストで地球システムを作り変えた。
AIによる、情報取得、個人情報より、
公として必要な情報を全て取り込んで、最適な政策を瞬時に出す。
そして人類側と異星人側と価値観の違う事を踏まえた
2つの対案を委員会へだす。
公平で、事実でまとめる。
人の、ご機嫌取り、忖度、しがらみ、など一切無視する。
効率であるが、決定権は譲る。
全て、皇女のもたらしたもの。
『なぜ、そこまで地球人を保護する?』
合理的すぎる。
先回りしすぎている。
犠牲を払った民のためでも、政治のためでもない。
考えられる疑問は多い。
・敵が太陽系外から迫っているのか?
・1000億の民の死は本当に災害か?
・火星のテラフォーミングの速さは異常では?
・異星人と地球人のDNAがほぼ同じの意味は?
・皇女自身の個人的動機があるのか?
・妻の家系と皇女に関係があるのか?
特に最後の疑念。
妻の調査は、まるで皇女の視点に近い鋭さがあった。
「地球にこだわる理由に妻が関係しているのでは?」
皇女の行動パターンと、妻の能力の一致点が存在する。
皇女の周囲には、一貫して多層次元の気配がある。
・彼女の移民艦隊の航路
・技術の基準
・太陽系の事前調査
・俺への介入
・妻の能力に対する反応
すべてが、多層次元生命体の管理者の目線に近い。
俺は独りつぶやく。
「皇女……あなたは、何者なんだ?」
そして、
地球が選ばれた本当の理由を探る調査が始まる。




