第31章 シエルター5段活用術
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
南半球は元々、大都市規模の構造物が少なかった。
そのため、重力波で歪んだ大地の崩壊は北半球より遅く、
即座の救助が必要なほどの壊滅は起きなかった。
だからこそ、冷静に判断できた。
今の地球に残された、最大の資源は何か?
それは、異星人から提供されていたシエルター群だった。
耐震
耐火
高レベル宇宙線防御
完全密閉循環空気
100人が2週間生活可能な衣食住
これを使わない手はない。
俺は復旧チームに指示を出す。
「シエルターを住居に転用する。
壊れた家屋の設備を移設し、1家族単位に組み直せ。」
エアーカーがあれば輸送は問題ない。
リングがあれば、物資管理は瞬時だ。
あとはひたすら、量を回すだけ。
異星人の技術者に相談すると、
彼らはため息をつきながらも、即座に答えた。
「移動に時間をかけるのは非効率だ。
ユニット住宅設計書を渡してほしい。」
5LDK・車庫付き。地球基準の快適性そのまま。
設計データを受け取った技術者は、すぐに動いた。
シェルターを巨大ゲートへ投入
→ アステロイドベルト工場に転送
→ 一気に改造。
わずか数時間で、内部は完全な家庭用住宅に切り替わる。
災害対応経験が豊富なだけあり、
判断も作業優先も、正確すぎて怖いレベルだ。
3日目には、100棟のシエルター住宅が戻ってきた。
その後は1日200棟ペース。
もはや設置作業が追いつかない。
島々にまで住宅が送り込まれ、
人々は次々に新たな家を手にしていった。
食料、水、生活物資はすべて宇宙船で大量輸送。
リング管理AIが欠品ゼロの流通を維持する。
南半球は、わずか数日で復旧システムが起動した。
住民たちの士気は天井を突き抜けた。
北半球は崩壊が始まっていたが、
対応は同じくシエルター改造住宅の量産方式で行われた。
崩れかけた巨大構造物は容赦なく解体
工業ロボットが更地化
改造シェルター住宅を5段積みで建設
階段だけのシンプル構造(エレベータまでは手が回らない)
復旧部隊の指示、食料分配、資材移動。
すべてAIがリングを通じて最適化。
俺は、リングの能力を前に、言葉を失っていた。
これは災害時の最高のデバイスだ。
異星人は、間違いなく、最高の贈り物を地球人に託した。
ならば、俺たちも応えなければならない。
いつか。
必ず。
彼らが困ったとき、助けられる文明へ進化する。
技術と、力と、そして思いやりを持つ種族へ。
地球にはまだ問題が山積みだ。
だが、俺たちは生き残った。
地球を救う。
この星は……俺たちの故郷だ。




