第24章 皇女の強かさ
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
太陽バースト予測が地球に衝撃を与える一方、
異星側は黙って事態を見過ごしてはいなかった。
皇女は即座にアステロイドベルトの工場群へ、
通常ではあり得ない最優先指令を送った。
地球が避難宇宙船の生産に右往左往する横で、
皇女はすでに次の段階へ進んでいた。
大型宇宙船(1000人規模)× 1万隻
(地球側暴動・混乱対策、治安維持も兼ねる)
避難シェルター(100人規模)× 1億台
(物理的に転移ゲートで世界中に即時配置)
アステロイド帯の巨大工場群
地球の文明規模を遥かに超える自動生産システムが、
静かに、だが恐ろしい速度で稼働し始めた。
数日も経たぬうちに、
世界各地の都市・荒野・海岸・山岳地帯へ〈黒い箱〉
のような構造物が次々と転送されてきた。
その数、すでに人類が把握できる範囲を遥かに超える。
地球連邦は自国の努力を続けていたが、現実は残酷だ。
どれだけ頑張っても、もう間に合わない。
大統領はそれを知りながら、国民に説明する言葉を持てなかった。
大統領執務室。
皇女は椅子に腰を下ろし、
銀色の髪を揺らしながら、ゆったりと脚を組んだ。
皇女
「大統領……今回の件は 貸し ですよ。」
その声音は柔らかいが、逃げ場のない圧力を孕んでいた。
大統領は唇を噛んで頷くしかなかった。
地球が700万台の宇宙船を作ろうとしたその隣で、
異星側は1億台のシェルターを無言で配置したのだ。
人類だけでは、どうにもならなかった。
それを最も痛感していたのは、地球側の指導者だった。
全てを見越した上で、皇女は最後の本命を切り出した。
皇女
「大統領。
木星以遠の星々にも我々の移住と自治領形成を認めていただきたい。
もちろん、あなた方も共に開発しましょう。
きっと……素晴らしい未来になりますよ。」
柔らかく微笑みながらも、
その背後には計り知れない軍事力・技術力・政治力が存在する。
もはや拒否できる選択肢は地球にない。
地球の存続を救う代償として、銀河帝国の勢力は、
いよいよ太陽系の深部へと進出を始めようとしていた。




