第23章 非常事態宣言
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
地球連邦は、異星文明より正式に通知された
太陽バースト予測と被害想定を受け、
ついに非常事態宣言を発令した。
会議室の空気は、
歴史の分岐点に立ち会っていることを全員が理解していた。
発生日:12月24日 12:00(±2時間)
直撃位置:オーストラリア大陸上空
マーズ(AI)は淡々と、
だが全会一致で逃げられない重みを帯びながら言い切った。
「現在の推定出力は 50倍 ±20倍。
地球文明の通信・電力インフラは、ほぼ壊滅します。」
地球の誰も、反論できなかった。
1倍:宇宙空間の作業員に注意
2倍:通信インフラに軽微な障害
10倍:電力網半壊、衛星多数故障、地上の人間は防護可能
50倍:衛星全滅、電力網全滅、人類の宇宙船内部も危険
地上の人間は宇宙線で即死。
地下10mまたは宇宙船へ避難必須
100倍:半球規模の熱反応死滅・磁場崩壊。
地球生命圏そのものが消滅
時間は、もう残されていない。
最も危険な地域:
オーストラリア
ニュージーランド
南極圏
オセアニア諸島
地球連邦の緊急放送は世界中へと同時配信された。
「南半球に住む市民は、
宇宙船または地下10m以上のシェルターへ
避難準備を開始してください。
岩盤トンネルも有効です。」
特設Webサイト「****(仮)」では、3Dバーコードから
避難登録 → 最寄りの宇宙船 or 地下シェルターへ自動案内が行われる。
担当は押し付けられた形だが地球側のマーク主任。
皇女は肩をすくめた。
「……やっぱり地球連邦、判断がいちいち遅いね。」
避難対象:7000万人
必要宇宙船(乗用宇宙車):700万台(10人乗り)
地球全国家で緊急の24時間フルピッチ生産に切り替え。
工場ラインは軍事管制下に置かれ、「最優先物資」として扱われる。
マーク主任は書類を見ながら、ため息を漏らした。
「……3か月で700万台? はぁ……また無茶だ。」
だが誰も、逃げることは許されない。
X DAYまで、残り89日。
地球史上最大の避難計画が始まった。




