第83話 旅立ち
「なぁ、テト。
お前、何者だ?」
テトと俺、戦艦の共有スペースで雑談中。
多種種族銀河での任務の最中であるが、行政はマーズと配下が取り仕切り、
女王はほぼ、象徴レベルになっている。
光子種族の移住不満も大方片付いた。
銀河を超える商売は順調に伸びており、海賊と護衛の情報戦は活発なれど、
戦闘行為は禁忌であることが、
この宇宙の常識になりつつあり、俺たちの業務も、落ち着いてきた。
平和になるほど、商業活動は活発になり、
銀河級転移ゲートの建造は、超多忙で、博士達から文句が多い。
銀河級転移ゲートは、各銀河で作られているが、
そのエネルギー生成装置は、博士達がブラックボックス化して制作している。
このエネルギー装置は、
ジョン・カーソン、 バザ・ムクレ、 マフモ(テト)の高度な知識の塊で、
俺では、数式がさっぱりわからない。
マフモの純粋エネルギー変換の数式と論文と、実装設計図で、ほぼ占められている。
博士曰く、現代知識ではない、数世紀先の技術と知識であり、
現在の我々でも、手に余る。
公開は絶対できない。
猿に、核を与えるようなバカは、地球人で十分だ。
簡単に言えば、恒星エネルギーを使用しているらしい。
なので、安定した恒星で人のいないとこ=
住めない過酷な恒星系の近くに作られている。
取扱を間違えると、恒星系を消滅させるらしい。
最悪、恒星系が消滅しても良い場所ということらしい。
宇宙には、こんな恒星はいくらでもあるが、
地の利とか、航路制限とかがあり、適当に設置はできない。
侵略にも使えるので、銀河同士の信用が重要で、
この調停には、AI連邦が関与して、安全保障を結んでいる。
AI連邦は多種種族の銀河に造られており、AI連邦の代表はマーズが指揮している。
なので、相当な護衛艦隊も必要で、
転移シーケンスは量子暗号化して2重3重の対策をしている。
各銀河では、保安のための技術スタッフ、防衛要塞を用意している。
この銀河転移ゲートも巨大化しており、直径100Kmのゲートが今は主流だ。
商船団、艦隊、個人船、観光船、定期船、が決められた時間毎に出入りしている。
今、多種種族銀河と天の川銀河のゲートは、ひっきりなしに通行している。
いわゆる、交通渋滞が発生中である。
出口に出たら、即、空港へ移動するか、次の目的地へワープか、
巡航速度で移動する。
モタモタすると、ペナルティーで通行料金が10%上乗せされる。
料金は、各銀河への収入となる。
管理費、人件費、保守点検費とかかるからね。
製造は銀河毎に作成し、コアは供給している。
コアは太陽系の収入になる。
製造から販売システム構築もAI連邦が関与している。
かなりの儲けが出ているし、信頼も厚い。
俺たちの船は、次元潜航艇であり、実は、銀河転移ゲートは必要ない。
次元にも時空があることがわかり、かつ、次元には物質がないが、
物質以前はある、これが都合がいいのだ、
次元内の時空ワープは遮るものがないので、小エネルギーで
かつ、高速ワープが可能になった、移動することができることがわかった。
宇宙の端にも、秒で可能となる。
これは、彼ら三人の知識と実験で得られたものだ、これもマル秘で公開はできない。
話が、脱線しまくっているが、戻そう。
マフモ(テト)の知識はこの宇宙の理の外にある。
彼からすれば、宇宙は手の平上に置かれたレベル。
多少の知識は与えても、害はないからと我々に与えた。
マフモ(テト)の知識・技術・設計図は、この宇宙の無限の距離感を、
お隣さんレベルにまでした、これからは、銀河同士の連携も考える事になった。
銀河の個性を尊重しつつ、共存への道筋は、銀河経済システム理論に依存するのだろう。
粒子の集合体で魂も存在する。
自分で作り、そこに魂を入れた。
純粋エネルギー理論変換で、なんでもエネルギーに変えれる。
自在に、姿を変えれる。機械でも人間でも。
永遠という世界を肯定している。
自分で観測した次元で並行宇宙を作成し、遺伝子がばら撒かれた罪として、
永遠の監視者となるも、手は出さなかった。
見守るだけだったが、俺たちが、次元で活動し出したから、
そのレベルの種族ならと知恵をさずけた。
しっくりくるのは、精神生命体であり、宇宙の監視者である。
物質を超えた存在であり、わざわざ、物質の中に入り、
この宇宙を監視しつつ、生物の営みをたのしんでいる。
100億年監視する時間という概念さえ存在しない。
お前は、100億年にこの宇宙へ来た、監視者であるが、管理者でもあったのでは?
お前が、100億年前の管理者で、宇宙災害の元凶でもあったのでは?
お前が、罪を認めているから、監視だけになった。
お前の若気の至りで、この宇宙が停滞したことに対し、少し、手助けする。
俺たちが出てきたから、手助けするレベルと。
仮説と仮定ばかりでは、どうしょうもないが。
テトに聞くしかない。
「 お前は、何者だ? 」
テト
「我々は、精神生命体だ。
お前の思考は面白い、よくそこまで、たどり着けるものだな。
この宇宙の始まりと共に、この宇宙に来た、次元を監視したことで、
並行宇宙がひろがったのは、わしらの過ちだわ。
お前には、わからんだろうが、ここも、我々から見れば、並行宇宙なんだ。
わしは、ここで 監視していたが、文明が栄始め、惑星を超え、恒星を越え、
宇宙へと種族が増えてきていたが、極端すぎて、このままでは、
倫理的・価値観の衝突は避けられないと判断し、災害を与えた。
生命体は我の遺伝子の子孫だがな、躾のつもりだわ。
やりすぎは認めるが、100億年は停滞したとしても緩やかな安定であり、
物質の理と生命体の成長バランスは良くできていた。
そして、次元を理解するものが出てきたことで、わしらの出番は監視だけとした。
あとは、お前らに、任せて、この宇宙から<さようなら>したいが、
まだ、管理者になるには、赤子すぎて困るので、当分は見守り続けるわ。
これで、答えになるか?
」
「 聞かなかったら、よかったのかもな。
知った事で、お前から渡された、この宇宙は、いまだ、赤子であると、理解したわ。
俺たちは、よちよち歩き始めたばかり。
転びもするし、泣きもする、でも、あゆみは止めない。
管理者の保護はいらない。
どれだけの時間がかかるかもしれないが、お前が、見守り続けるだけの価値がある、
生命体として生きていく、その覚悟ができたわ。」
「そうか、なら、もう、わしらが、ここにいる必要はない。
赤子と思っていたが、急に成長したな。
子の成長は早い、楽しみがふえたな。
さらばだ。
」
テトが、物質が消えてゆく、非物質へ。
「 おい、 はやすぎるだろ。
赤子で立ったばかりで、巣立ちなの?
ライオンの親よりきびしすぎない?」
「 お前は、おもしろい.........。
また、どこかで、会えるだろう。
」
何も変わらないはずの共有スペースが、やけに広く感じられた。




