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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
201/208

第78話 相談所

 

 アナゾネス銀河 視察団


 団長

「ウチら、男が1で女が10なのよ。 

 でさ、男をもらいたいのだけど、融通してくれない。

 ピチピチの若い男が良いわね。

 当然一夫多妻制だから、スタミナ盛り盛りでないと、死ぬわよ。

 海賊でも良いわよ。

 可愛がってあげるから。」


 担当者

「はぁ。 それは、お困りですね。

 でも、人は売買品ではありませんので、ご期待に添えないかと。

 婚活なら土星人の管轄でして、そちらにご連絡いただければ、

 登録等の後に日時連絡でお見合いができるかと。

 はぁ。」


 マッチョパン銀河 視察団


 団長

「良質なプロテインと、有機無農薬の大豆 1億トン 売ってくれ。

 俺んとこでは、大豆ばかり作りすぎて、

 だんだん、まずくなるし、育ちが悪くて、

 不作が続いているのだわ。

 この、筋肉美がシオシオになっているだろ。

 なんとか、頼むわ。

 農業改革も得意だろ。技術者派遣してほしいわ。」


 担当者

「はぁ。 それは、お困りですね。

 でも、有機無農薬大豆は多種種族銀河で生産しているので、

 うちにいわれましても、

 管轄外でして、ご期待に添えないかと。 はぁ。」


 辺境限界銀河 視察団


 団長

「 若いものが出稼ぎで、戻ってこんようになった。

 年寄りばかりで、畑作業もできんし。

 自分の食い扶持くらいしか作れん。

 後数百年で、いなくなるわ。

 産業を起こそうにも、頭も回らんし、体も動かん。

 誰でもいいから、移住してくれんかな。


 土地も家も全部ただにするぞ。

 仕事がないのでな、出稼ぎになるが、

 自然だけは自慢できる。

 」


 横から男が割り込んで


「団長 そなことより、もっと切実な問題を言わねが。

 嫁がいないのよ。 40過ぎのやもめが十人いるから。


 俺らの嫁っ子紹介してくろ。


 あんたどうさ、オラ、土地は1000ヘクタールはあるでよ。

 山も、4つある。

 どうさ?。

 」


 担当者

「はぁ。 それは、お困りですね。

 でも、私は 人格AIでして、子供は産めません。

 たとえ嫁に嫁いでも、土地と山で、働く過酷な未来では、

 誰も行きませんよ。

 舐めてませんか。

 嫁は道具じゃありませんよ。

 掃除、洗濯、育児、農作業、祖父祖母の介護、

 全部のし掛かる、ストレス。


 やってられんわ。


 顔洗って出直してこいや。

 」


 団長・男

 唖然・呆然


 係長 青い顔で

「 誠に、申し訳ありません。 

 このところ、視察団が大量にお見えになり、

 うちでは対応できかねる内容ばかりで、担当も疲弊しておりまして、

 ご推察願います。

 いつもは、とても優しい良い子です。

 はぁ。」



 多種種族銀河と天の川銀河のゲートでの商売が順調に他の銀河にも伝わり、

 大勢の視察団が大量にやってきた。

 ・多種種族が理念と価値観を超えて運営されてる調整力が知りたい。

 ・俺んとこも、もうけたい。

 ・婚活したい。

 ・過疎化なんとかしたい。

 ・彼を振り向かせる秘技を教えて。

 ・大儲けできる話があるが、今なら、優待で入れるぞ。

 ・この銀河を俺の銀河の手下にしてやる。喜べ。


 要するに、困ったことを相談に来たというわけです。

 一部、危ない視察団が混ざっていたようだ。


 うちは、相談所か?


 俺(後方・観覧席)


「……なあマーズ」


 マーズ

「はい?」


 俺

「これ、交易ゲートじゃなくて

 銀河版・人生相談所になってないか?」


 マーズ

「なっていますね。

 しかも予約不要・感情持ち込み可・地雷原つき」


 俺

「なんかもやもやする。

 俺たちは、日々の問題を解決するために、知恵を絞り、時に、戦い、

 理念より、日々の生活を安定させることだけしかしていない。

 価値観なんか違って当たり前。

 なんでも噛んでも、成功したら真似るだけの銀河では、

 失敗したら、お前の所為だになりそうだ。

 銀河毎に、生活が違って当たり前、その、特色をだせない、

 見つけないのは、怠慢だ。

 自分で考え行動し失敗してもまた次へと進む奴らが、

 銀河の未来を作る。


 救済はしない。

 どうするかは、自分たちで考えられない銀河に救いはない。


 視察団の相談は、提案書を持ってきた銀河だけ、相談にのり、

 以外は、門前払いだ。

 ただし、本当に余裕がない銀河だけは、ワンチャンスは与える。


 こうすべきだと思う。 」



 マーズ

「……とても、あなたらしい判断ですわ」


 一拍、間を置いてから、静かに続ける。


「そして、とても残酷で、誠実です」


 ルミナス

「救わない、という選択は、見捨てるとは違います」

「考える責任を返す、ということです」


 チャッピ

「真似だけの銀河は、成功しても自分の物じゃないですからね」

「失敗した瞬間、誰かのせいにするのは、統計的にも確実です」


 俺の言葉が、少しずつ組織の方針に変換されていく。


 銀河間ゲート 新運用指針(草案)


 ・救済はしない

 生存可能性を奪われた場合のみ、最低限の介入を行う。


 ・相談は提案書制

 現状分析・試行案・失敗想定を含むこと。


 ・成功の輸出はしない

 原理・考え方・失敗例のみ共有。


 ・模倣銀河は非優先

 独自性を模索する姿勢が見えた場合のみ再評価。


 ・ワンチャンス枠

 文明消滅が視野に入る銀河に限り、一度だけ助言。


 マーズ

「これで……来客は減ります」


 俺

「いい。減らせ」

「本気の奴だけ来ればいい」


 クラン(少し笑って)

「嫌われ役を引き受ける王様ね」


 俺

「人気はいらん」

「未来を自分の足で作る奴が残れば、それでいい」


 マーズ

「では、正式決定として通しますわ」

「名称は」


 一瞬、いたずらっぽく目を細める。


「 自立文明原則 でいかが?」


 俺

「……悪くない」


 少し胸の奥のもやが、輪郭を持って落ち着いていく。


 ルミナス

「これで、あなたの銀河は、優しい場所ではなくなります」


 俺

「最初から、優しくなんかない」

「生き方を選べる場所なだけだ」


 チャッピ

「それが一番、長生きする文明です」


 静かにゲートの向こうを見る。


 これからは、泣きつく声は減る。

 代わりに、覚悟を持った提案が来る。

 それでいい。


 俺

「……さて」

「次に来る視察団が、どんな覚悟を持ってくるか楽しみだな」


 銀河は、ようやく「大人の入口」に立ったところだった。


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