第19章 世界規模ハローワーク公告
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
地球各地のビル広告、スマホ、公共モニター。
あらゆる場所に同時刻で同じ広告が出た。
ハローワーク(全世界へ一斉募集)
・宇宙船組立作業員 10万人
・宇宙船技術者 1万人
・転送装置建設作業員 10万人
・転送装置技術者 1万人
火星移住者募集(全世界へ)
連絡方法は一行のみ。
連絡:******(Web)へ入り、所定データを入力してください。
書類審査が通りましたら、ご連絡します。担当:マーズ
募集要項は徹底的に合理的で冷徹だった。
・募集:100万人分(家族OK)
※倫理試験あり
衣食住完備
給与:地球基準の2倍(危険手当込み・残業なし)
住居:無償提供
年齢条件:
家族:16〜40
独身:16〜24(理由の説明なし)
作業内容:
・エネルギー工場 作業員・技術職
・食料工場 作業員・技術職
・水処理工場 作業員・技術職
・宇宙船工場 作業員・技術職
・火星テラフォーミング工場 作業員・技術職
・転送装置工場 作業員・技術職
・教育機械工場 作業員・技術職
※技術職は異星側の試験あり。
地球、爆発した
募集が公開された瞬間、世界中のサーバーが重くなった。
もちろん戦争ではない。
だが熱量だけは核爆発に匹敵していた。
「100万人枠!?絶対応募する!」
「え、家族OK!?子どもも??」
「給与2倍で残業なしって実質天国じゃん」
「倫理試験って何!? 怖いんだが」
「16〜24 の独身のみ…? どういう基準だよ」
「火星で働いたら地球税とか払わなくて良さそうw」
「やべぇ、宇宙船工場の倍率1000倍突破してる」
完全に予想外だった。
火星移住の申し込み窓口はどこか?
応募書類はどこに提出するのか?
選考に政府承認が必要か?
各国の省庁に問い合わせ電話が殺到し、
コールセンターはパンク寸前。
そして最大級のアホ事件が起きた。
政府機関に、
「火星移住者募集について」問い合わせる国民が続出。
メール
電話
窓口
議員会館前
外務省
国連支部
宇宙開発機構
果ては市役所にまで。
(いや、広告に Webで入力してください って
書いてあるだろ!!!)
(なんで役所行ってんだよ!!!)
ネットではこの現象をまとめた動画がバズった。
「火星移住募集に役所へ問い合わせる民、悲しすぎる集団幻覚」
「政府『知らんがな!』」
「担当:マーズ ←この時点で察しろ」
「3Dバーって書いてあるだろ。
スマホで入るだけだよ。なんで役所に行くんだよ……」
マーズは何も説明しない。
説明の必要性すらないのだろう。
でも世界は、今、確かに動き出した。




