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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
198/208

第75話 最後の一手

 王都中枢・艦隊司令室


 開戦まで 12分


 巨大なホログラムに、両軍の配置が映る。

 王の艦隊は数で勝る。

 だが、陣形は歪だ。


 王

「余の先鋒艦隊を前へ。

 威圧だけで敵は下がる」


 将軍

「陛下、それでは補給線が」


 王

「黙れ。

 余は勝てる未来が見えている」


 空気が凍る。


 クラン

「陛下。

 一つだけ、最終確認を」


 王

「申せ」


 クランは、静かに指を振る。

 ホログラムが切り替わる。


 投影:過去3回の謎の敗北再生ログ


 補給艦が先に沈む

 敵は追撃しない

 生存者は必ず生かされて帰る


 クラン

「不思議ですわね。

 敵は、勝ちを拾っていない」


 王

「……だから何だ」


 クラン

「つまり

 彼らは戦果ではなく、観察をしている」


 将軍(小声)

「まさか……」


 クラン

「陛下。

 この戦い、勝っても負けても終わりません」


 王

「戯言だ」


 クラン

「いいえ。

 陛下が、どんな命令を出すか

 それ自体が、戦果なのです」


 王の手が、震えた。


 王

「……余が、試されていると?」


 クラン

「はい。

 裸であるかどうかを」


 司令室が、ざわめく。


 クランの最後の一手


 クラン

「ですから

 この命令を、全艦に公開しましょう」


 王

「なに?」


 クラン

「暗号化しない、全艦共通命令。

 陛下の声で」


 将軍

「それは……

 兵の士気が直に」


 クラン

「逃げ場をなくすのです」


 王

「……よかろう。

 余が直接、命じる」


 通信回線、全開放。


 王の命令(全艦同時)


「余の名において命ずる。

 先鋒は突撃。

 補給は顧みるな。

 恐怖する者は、置いていけ」


 沈黙。


 数秒。

 だが、確実に亀裂が走る。


 艦長A:通信を切る

 艦長B:命令確認を要求

 艦長C:動かない

 誰も、即応しない。


 クラン(内心)

(はい。これで完成)


 クラン

「陛下。

 今、艦隊は二つに割れました」


 王

「な……に……?」


 クラン

「王を信じる艦と、生きて帰りたい艦」


 同時刻・別宙域


 俺(通信を聞きながら)

「……やったな、クラン」


 チャッピ

「敵艦隊、指揮系統崩壊確認」


 ルミナス

「まだ斬ってないのに、折れましたわね」


 決定的な一言


 クラン(王に向かって、静かに)


「陛下。

 この戦いで、最も弱い存在が誰か

 もう、全員が理解しました」


 王は、言葉を失う。


 開戦まで 2分。


 だがもう、

 この艦隊に戦争を始める力は残っていなかった。

魔王 クラン 敵にしたらキムでも負ける。

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