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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
193/208

第70話 情報戦 初日

 銀河辺境惑星コドモ。

 上空から見ると、ただの岩と砂の塊だ。


 だが、降りてみると分かる。

 ここは金の匂いがする。


 港は三つ。

 正式なのは一つ。

 残り二つは、誰も管理していない。


 いや、正確には、管理している者が、名乗らないだけだ。


 カブト

「重力・大気・通信……全部、最低限ですね。

 監視網はありません。

 逆に言えば、何をやっても事故になります。」


 俺

「だから選んだ。」


 港に降りると、視線が一斉にこちらに向いた。


 掘削服、傭兵装備、見たこともない異種族。

 全員が、こちらの船の値段を計算している。


 クラン

「……見られてるわね。」

 

 チャッピ

「武装を数えてます。

 あ、もう積荷まで推測されてます。」


 ルミナス

「ふふ。

 歓迎されてるって事?」


 俺

「試されてるだけだ。」


 最初に近づいてきたのは、

 人間でも異星人でもない、

 分類不能の男だった。


 顔はマスク。

 声は合成。

 腰には、何世代も前のブラスター。


 マスク

「商人さんか?」


 俺

「そう見えるか?」


 マスク

「見えるとも。

 護衛が二隻。

 貨物船が一隻。

 そして、匂いがする。」


 ケン・ツマン

「鼻がいいな。」


 マスク

「ここでは、それが生き残る条件だ。」


 俺

「何の用だ。」


 マスク

「紹介だ。

 この星で話が早い連中をな。」


 俺

「タダか?」


 マスク

「まさか。

 だが高くもない。」


 ミン・フェスク

「金?」


 マスク

「いや。

 噂だ。」


 場の空気が、一段重くなる。


 俺

「どんな噂だ。」


 マスク

「最近、この星を経由してる船がある。

 登録なし。

 ギルドなし。

 保険も通さない。」


 チャッピ

「……完全にアウトですね。」


 マスク

「だが、金は落とす。

 しかも、血を混ぜてな。」


 俺

「船団襲撃か。」


 マスク

「そうだ。

 しかも、やり口が雑だ。」


 クラン

「雑?」 


 マスク

「殺しを楽しんでる。」


 その一言で、周囲の雑音が遠のいた。


 俺

「……どこの連中だ。」


 マスク

「知らん。

 だから、皆が困ってる。」


 ルミナス

「困ってる、のに?」


 マスク

「誰も手を出さない。

 面倒だからだ。」


 俺

「座標は?」


 マスク

「三つ。

 全部、ゲートの外側だ。」


 ケン・ツマン

「先生。」


(バカ。ここでの先生は用心棒と認識するから)


 俺

「分かってる。

 商会頭の命は契約通り守りますよ。

 その代わり、情報の10%は保証してくださいよ。」


 俺は、男に小さなデータチップを渡した。


 俺

「噂の続きを流せ。」


 マスク

「内容は?」


 俺

「この航路では、殺しが一番高くつく。」


 男は、一瞬だけ黙り、それから、笑った。


 マスク

「……いい噂だ。」


 男が去ると、ルミナスが肩をすくめた。


 ルミナス

「始まったわね。」


 チャッピ

「第一段階、完了です。」


 クラン

「まだ、誰も殴ってないのに。」


 俺

「情報戦だからな。」


 カブト

「……武器、使いませんか?」


 俺

「まだだ。」


 カブト

「……しょんぼり。」


 俺

「最後に、派手なのを任せる。」


 カブト

「本当ですか?」


 俺

「ああ。

 逃げ場を消す役だ。」


 カブト

「了解しました。

 楽しみに待機します。」


 その夜。

 コドモ星の闇市場に、一つの噂が流れ始めた。


 殺さずに、全てを奪う連中が来た。

 しかも、海賊だ。

 そして、噂を聞いた雑な海賊たちが、動き出す。



 俺

(あれ? バレてます? 商船のはずだけど)

 クラン

(あの船が特別製だとすぐわかるわ。

 商船の護衛レベルでもなし。

 なら、シマを荒らされて、黙っている海賊はいないから、

 そちら系がきたなとね。

 わかった?。ダーリン)


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