第17章 臨時ニュース
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
【臨時ニュース】
国連は先ほど、銀河帝国との暫定合意文書を
「国際社会に向けて公開した」と発表した。
だが公開されたのは、都合の良い部分だけである。
実に政治らしい。
発表された合意内容
・エネルギー問題の技術支援
・食料問題の技術支援
・水資源への技術支援
・宇宙船技術支援
・火星テラフォーミング技術支援
・転送装置技術支援
・教育機械の供与
そして、最後に小声で付け加えられた一文。
「見返りとして、木星圏への移住枠を認める」
会見場はざわめいたが、追加の説明は一切なかった。
質問も許可されなかった。
宇宙規模の契約の代償として差し出されたのは、
「木星へ行け」という曖昧な約束。
地球政府にとっては、人口削減のための都合の良い逃げ道なのか。
あるいは、もっと別の意図なのか。
誰も本当のことを言わないし、誰も本当のことを考えようともしない。
【地球市民の反応】
移住反対派:
「移住は認めない!異星人は出ていけ!」
「我々の太陽系を守れ!」
利得優先派:
「火星に住めるの?最高じゃん」
「教育機械で天才になれるってガチ?」
「通勤が転送になる時代キター」
「俺、宇宙へ行くわ」
「神よ感謝します(技術くれるなら誰でも)」
SNSはお祭り騒ぎだ。
遠い木星よりも、明日の便利さに飛びつく人類。
まるで、文明の終わりにセール品に群がる消費者そのもの。
地球がどうなるかより
「自分がどう得するか」だけが、人々の関心だった。




