第33話 第7宇宙
開口径、10mm。
維持時間、60秒。
装置中央に、糸を通す針穴のような歪みが生じた。
光は吸い込まれもせず、反射もせず、ただ「抜けている」。
博士
「第7層到達、安定している。
次元応力、想定値内。」
俺
「ドローン、投入。」
虫型ドローン10機。
翅をたたみ、順に滑り込む。
1機、2機……10機。
俺
「閉じてください。」
博士
「閉鎖。」
歪みは、音もなく消えた。
沈黙。
3分間。
ストップウォッチ開始。
1、2、3.........
待ち時間は長い。
全機無事帰ってくれ。
.......179,180
俺
「回収開始」
博士
「第7層到達、安定。
次元応力、想定値内。」
開口径、10mm。
維持時間、60秒。
開口と同時に、ドローンが次々と戻ってきた。
1機、2機……10機。
俺
「閉じてください。」
.......
ドローンデータを取り出し、解析装置へ入れる。
基地の100インチモニターに、ドローン視界が次々と展開される。
畑。
土道。
水車小屋。
高度差、風向、重力加速度。
大気組成は地球と誤差0.3%以内。
博士
「重力は……0.92G。
なるほど、ワイバーンが飛べるわけだ。」
俺
「文明レベルは?」
博士
「石橋、農地、治水。
中世初期……いや、封建前夜だな。」
全映像を3Dに加工した。
ぐるりと見てみると、
3分間でも、データは充分取れた。
地図は、限定されるが、全周が取れている。
距離は視差・速度から計算。
お城、城壁、街並みが30km先にある。
のどかな田園だ。
高度は50mほど。
日の影から夕方らしい。
荷馬車が城壁に向かっている。
前後に護衛らしき人々。
部族の権力争い時代だな。
方向は決まった。距離もわかった。高度もわかった。
あの城に潜入する。
こちらの座標そのまま、移動させる。
城壁外の あの木がポイント、あの中にトンネルを作る。
木なら隠れ蓑にできる。
虫だし、違和感はないだろう。
城壁近くの木だから、移動も見つけにくいはず。
こちらの位置は、30Km 176度 と、地図で線を引き、
30Kmの円の交点。
荒野になった。
ここへ、艦を移動させる。
実験機は、そのまま載せる。
エネルギーは博士のシステムを使う。
俺
「計算ではこのポイントだが、飛ばしてみないとわからない。」
博士
「では、開始する。」
装置が起動し、次元の穴が開いた。
10mmの穴。
虫ドローンを1匹とばす。
今回は、リアルに観測するから、穴は、維持する。
虫は、穴に入り。
向こうの映像をリアルにモニタへだす。
大木の10m高度から見た、直近の城だ。
とりあえず、塔のある場所で、光がさす所を目指す。
城壁内は、もう、グチャグチャだ、
荷馬車、馬小屋、物売り、粗末な衣服、
男も女も形で判断できるレベルだ。
でも、人々はけたたましく怒鳴り声で話している。
これだけ、人がいると、大きな声出ないと伝わらないのだろう。
高度をあげ、灯りの窓へ。
窓枠から内部を観察。
それほど明るくもない、城の中でも上位の住む部屋だろう。
ランプがある。
円卓がある。
汚い格好の親父みたいなやつ。
中世のゴテゴテした衣装の男、これが主人っぽい。
話はわからない。
城内は、農家だ、鶏、豚、馬、が人と同居している。
この場所でも、ちょっとましな、部屋である。
俺たちからすれば、商売する相手ではなさそうだ。
博士
「そろそろ、切れるから終わりにしよう。」
俺
「では、戻ります。」
窓から木まで飛び、トンネルへ。
リアルは流石にエネルギーを食らいすぎた。




