第31話 ピンホールカメラ
ムル・カース
博士の助手に収まった。
案の定ということだった。
博士
「ムル、次はこの試験をしてくれ。」
「ムル、コーヒー。」
「ムル、肩揉め。」
「ムル、次はこの試験をまとめろ。」
「ムル、お茶。」
「ムル、肩揉め。」
なんでムルはニコニコなのだ?
召使か奴隷じゃん。
「ムル、博士に文句言ったら?
召使じゃないって。」
「博士の実験とても楽しいし、理論から実験まで全て教えてくれる。
この前は、時空に穴を開けて、並行宇宙の風景を見せてくれました。
まだ、声までは、届かないのですが、ピンホールカメラの応用と
言ってました。
面白いですね。」
.......
「聞かなきゃよかった。
なぁ、ムル。
その実験は、超最高機密事項になるのだよ。
この太陽系でそれを知り得た段階で。
お前は、もう逃げれない。
目を離すと、これだ。
また、仕事が増えそうだ。
」
(ムルにはすまない。
博士は気にしないが、
これでムルの一生は監視されることになるから。)
翌日。
博士の研究室の前に、見慣れない警備が三重に張られていた。
ムル
「博士、今日は入り口が賑やかですね?」
博士
「気のせいだ。」
ムル
「昨日までは、ここ、扉一枚でしたよね?」
博士
「気のせいだ。」
ムル
「それと、廊下に
『バイオハザード:
これより先、関係者以外、立ち入り禁止』
って貼ってあります。」
博士
「気のせいだ。」
俺
まずは、実験は2人だけで行った。
資料は、ここ以外ない。
メイドは守秘義務命令で封じ込める。
後は、2人をなんとかする。
俺
「ムル すまないが、お前も、血の契約が必要になった。」
「殿下、お願いします。」
殿下
直ぐに、転移してきた。
そして、いつもの如く、軽いノリでムルの契約をすませ、さっさと帰る。
「忙しいから、後は任せる。」
........
俺
「丸投げかよ。」(はぁ)
気を取り直して。
俺
「博士、事前に知らせて欲しかったです。
次元に穴を開けたという事ですが、
ピンホールレベルであるとは、分かりました。
簡単に言えば、
こちらとあちらが繋がっているのですよね。
小さな穴=トンネルですか?
」
博士
「そうだ。
お前の資料が、次元潜航したデータが役に立った。
次元を畳めばいいのだなと、閃いたのだ。
並行宇宙の座標は、こちらの座標と並行しているから、
こちらの宇宙で移動して、この装置で次元を畳めば、
どこでも並行宇宙の観測ができる。
今は、1mmの穴しか維持できないがな。
」
俺
「それは、並行宇宙の時空とこちらの時空が1mmの穴で繋がる。
つまり、1mm以下の物質は交互に移動可能ですよね。
細菌も?」
博士
「だから、実験室のこの装置内は、完全気密にしてある。
原子一個も通りはしない。
で、実験後の装置内の分子、原子の異常値は観測されない。
そこは、穴を開ける前に、空気の分子を測定しておるよ。
空気のサンプルも取ってある。
分析したが、空中の分子分布は、地球とよく似ている。
そしてだな、化学物質がほとんど検知されなかった。
つまり、16世紀〜20世紀前ではないかと推測される。
」
俺
「実験した映像はなんでした?」
博士
「それが、な。 」
「前に、並行宇宙へ行った時には、星が見えたろ。」
「今回は、風景なんだ。」
俺
「はぁ、そんな事あるの?」
「博士、ここで実験したら、風景が見えたと?」
博士
「そうだ。」
「記録してあるからみるか?」
俺
「はい。見たい。」




