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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
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第30話 訓練終了

 今日は、訓練生6名の終了式。


 先輩

「ご苦労様でした

 訓練は、終了しました。


 銀河の基礎は、身に付けた、後は野となれ山となれ。

 異星人に迷惑をかけない事だけ、守れ。

 商人、護衛、旅人、なんでもいい、やりたい事みつけろ。


 解散。

 」



 訓練生 全員

「これだけ?」


 No.1ケン・ツマン

「あっと言う間に訓練は終わった。

 だけど、何もかも足りない事だけはわかる。

 知る程に、知らない事が増えていった。

 今ならわかる、少佐の言葉が。

 何もかも足りないんです、銀河へ出てもやれる自信がない。」


 知るから、怖くなる。

 こいつなら、なんでもできると思う。


 No.2ジュト・レスリ


 人の顔を伺うばかり、自信が持てないのだな。


 No.3ハロルド・サウラ

 No.5ワーケン・モウサ

「どうする?」

「どうしよう。」


 相変わらず、決めるのができない。

 性格は変わらないね。

 基礎はできたが、足が出ない。


 No.4ミン・フェスク

「何かあったら、取り敢えず、逃げ続ける。 

 でも、ひとりは無理だと思うから、誰がいいかな」


 冷静だな、悪くない。 


 No.6エド・ブザシ


「俺は、傭兵になる。

 どこかの、商人の専属にだ。」



 俺

「初級の基礎と艦の操作ができれば、逃げる事ができる。

 それで充分だ。

 後は、選んだ仕事の知識と経験でランクが上がっていくだろう。

 ただし、決定は、自分で決めろ。

 人の意見にしたがったから、と後で後悔しないためにな。


 最初は、若いだけの奴らと見ていたが、

 ここまで脱落せずにきたんだ。

 自信を持て、宇宙に出ても、

 知識と技術がお前を、命を守る。

 だが、技量はない、コースでわかったろう、

 逃げるのは、簡単なことではない。

 だから、その場面になった時点で、負け。

 常に、情報を仕入れろ。準備しろ。

 2手3手先を読め。

 一人が無理なら、仲間を作れ。

 烏合の衆ではだめだ。

 自分に足りないものを持つ相手だ。


 No.1ケン・ツマン


 お前は、知る事で、恐ろしいだろうな。

 だから、死なない。

 お前は、No1だ自信を持て。


 No.2ジュト・レスリ


 お前は、主人にはなれない、No2がお前の役割だ。

 サポート向きだな。

 主人を探せ。


 No.3ハロルド・サウラ

 No.5ワーケン・モウサ


 お前らは、決めれない。

 だから、商人・護衛には向かない。

 ギルドの職員として働くのがいいだろう。

 得た知識と技量で、新人の鼻をへし折る役だな。

 少し、悪役だが、いいだろう。

 どうだ?。

 正直、毎回受け入れるのは、任務の都合上無理なんだ。

 お前らが、ヒール役をしてくれるのがありがたい。

 商人ギルドと護衛ギルドを紹介できるぞ。


 No.4ミン・フェスク


 お前は、冷静であるが、痛いのが嫌なので、

 そういうのは任せるタイプ。

 誰かと組むのなら、能力を活かせるだろう。 


 No.6エド・ブザシ


 お前は、口は悪いが、手は抜かない。

 だが、一人ではむりだ。

 お前の操縦では、どれだけ努力しても、逃げれない。

 センスが全くないのだ。

 だから、護衛が向くと思うぞ。

 操縦だけはするな、船が壊れる。


 以上

 」


 辺境基地・終了式のあと


 静かだった。

 拍手も、ファンファーレもない。

 ただ、空気が一段軽くなっただけだ。


 訓練生たちは、その場に立ったまま動かない。

 終わった実感が、まだ追いついていない。

 それが普通だ。


「終わり」は、銀河ではいつも、

 次の不安と一緒にやって来る。


 先輩が一歩下がる。


 完全に、彼らの時間だ。


 誰かが、ぽつりと言った。


 No.3 ハロルド

「……これで、俺たち、自由ですか。」

 俺

「不自由だよ。」


 全員が、俺を見る。


 俺

「守られてないって意味でな。」

 No.5 ワーケン

「正直……もっと怒鳴られると思ってました。」

 俺

「もう怒鳴る理由がない。」

 No.1 ケン

「……それが、一番怖いです。」

 俺

「だろ。」


 俺は、少しだけ視線を落とす。


 俺

「お前ら、よく生き残ったな。」


 全員が息を呑む。


 俺

「才能があったとは言わない。

 だが、運だけでもない。」


 一人ずつ、目を見る。


 俺

「逃げる判断を、恥だと思わなかった。

 無理だと分かった時、立ち止まれた。

 それが出来ない奴が、銀河で一番多く死ぬ。」


 No.6 エドが、腕を組んだまま言う。


 エド

「……褒めてるんすか、それ。」

 俺

「最大級にな。」


 沈黙。


 No.2 ジュトが、意を決したように口を開く。


 ジュト

「……俺、誰かの後ろじゃないと、駄目ですか。」

 俺

「駄目じゃない。」


 一拍。


 俺

「役割だ。」


 ジュトは、少しだけ肩の力を抜いた。


 俺

「銀河じゃな、リーダーより、生き残るNo.2の方が希少だ。」


 先輩が、後ろで小さく頷いている。


 No.4 ミン

「……俺は、逃げ役でいいですか。」


 俺

「むしろ、誰もやりたがらない役を自覚してる奴は強い。」


 ミン

「……助かります。」


 俺は、全員を見回す。


 俺

「最後に、一つだけ言う。」


 全員が背筋を伸ばす。


 俺

「銀河でな、正解だったかどうかは、死ぬまで分からない。」


 一瞬、緊張が走る。


 俺

「だが、自分で選んだかどうかだけは、その瞬間に分かる。」


 No.1 ケンが、小さく笑った。


 ケン

「……だから、怖いままでいいんですね。」


 俺

「そうだ。」


 先輩が、咳払いをする。


 先輩

「これで本当に、解散だ。」


 一拍。


 先輩

「……また会えたら、生き残った証拠だな。」


 敬礼はなかった。

 ただ、それぞれが、それぞれの方向へ、一歩踏み出す。

 背中が、訓練初日より、ほんの少しだけ、遠くなった。

 俺は、先輩と並んで、彼らを見送る。


 俺

「……どう思います。」

 先輩

「十分だ。」

 俺

「甘くないですか。」

 先輩

「甘いさ。」


 一拍。


 先輩

「だが、甘さを自覚してる分、まだ救いがある。」


 風が吹く。

 辺境の、乾いた風だ。


 俺

(……行け。)

(生きろ。)

(それだけで、ここに来た意味は、ある。)


 訓練生6名の背中は、もう振り返らなかった。


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