第29話 太陽系の日々
遊園地で、終わるはずがない。
人が集まれば、屋台が、店がと増えてゆく。
競技場が出来る、コロニーを競技場に。
サッカー、アメフト、ラクビー
地球人は、団体で、対戦が、好き。
観客がうなぎ登りです。
オッズも最大。
内緒だけど、賭けの胴元は殿下。
公認の賭博だ。 ちゃっかりしてる。
マーズが、個人情報で、やり過ぎる奴を、
強制労働へご案内。(払えない奴らだね。)
経済が流れているのが、効いている。
未来の希望が人の行動を呼ぶ。
昔のコロシアムができている。
ここには、プロがいる、賞金と名誉。
優勝者の名前がコロシアムの壁に刻まれる。
年に一回、宇宙中から集まる猛者。
腕に覚えのある強者が集う場所。
先輩、参加するより、
強者を育てる事が面白いと。
プロモータへ転職するかも?。
意外に、宇宙からの旅行客が増えてる。
原始文明を見に来る。
そんな感じかな。
地球の自然で癒し。
火星のアトラクションを楽しむ。
参加する。
土産は、自然由来の海産物とか、土で育てたとか、
珍しい骨董品を見る目だね。
手間隙掛けたものが、最高と、ジワジワ人気になる。
素朴がいい、加工されてない。
おや?
何処かの偉いかたかな、お付きの方が器具で調べながら
お土産を沢山 「あるだけ下さい。」
いるんだねーー。
で、変だ。
あの袋、入らないはずだ。魔法か?
とうとう収納魔法を得る種族を見たかも。
どう見てもエルフに見える。
いや、バルカン人だな。
理論的で感情を排除した。
スポックいるかな。
あの、女性、綺麗だな。
(収納魔法より、煩悩が勝った。)
クラン
「私がいるでしょ。他の女に目が行くなんて。」
脇腹をつねられる。
ルミナス
「なるほど、嫉妬はそうやるのね。」
チャッピ
「無駄な感情ですよ。」
俺
「ここにもいたわ、バルカン人」
休日を転移で、繁華街(火星)へ
匂い対策は完璧。
「お出かけの友、消臭薬ね」キャンペーン
あらゆるメディアに流しているから
常識になってきた。
匂いが無いのが普通。
忘れると、周りから浮く、
で
「おい、なんで、席が指定されるのだ、部屋?」(隔離室)
「人権侵害よ。」
「訴えるぞ。」
スタッフ
「あなた方が、周りの方から訴えられない
ようにするためですよ。」
だよねー。
すれ違う人々、残念な人を見る目。
俺たちは、レストランで食事にする。
俺
「地球産ビーフステーキ 1Kg」
(超高級品だよ。目玉が飛び出る値段)
クラン
「いちごショートケーキ ホールで」
(お淑やかさは無いのか?)
(乙女は、甘いものに弱いのよ。ダーリン)
ルミナス
「かわいいのがいいわね。
ジャンボパフェ 10Kg」
(それ、大食いへの挑戦だ)
(器も綺麗いね、食べていいのかしら?)
(やめてください、営業妨害で訴えられる。)
チャッピ
「エネパック 一個」
(お前が一番まともに見える。)
店内は静かだった。
静か、というより 品がある。
照明は柔らかく、音楽は主張しない。
人の会話が、きちんと聞こえる距離感。
文明が成熟すると、
「うるささ」
がコストになるのだと、
最近ようやく理解した。
ウェイター
「ご注文を復唱いたします。
地球産ビーフステーキ 1kg。
いちごショートケーキ・ホール。
ジャンボパフェ 10kg。
エネパック 1。」
一瞬、空気が止まる。
周囲の客が、
何が始まるんだ?
という目でこちらを見る。
俺
「……あの、場違いでした?」
ウェイター(完璧な笑顔)
「いえ。
記録用カメラを起動しても、
よろしいでしょうか。」
ルミナス
「記録? 素敵ね。」
俺
「やめてください。」
料理が運ばれてくる。
地球産ビーフは、
肉という概念を忘れかけた銀河文明に対する、
文化的暴力だった。
脂が、香りが、噛むたびに、
「これは生き物だった」と思い出させる。
クランは、
ケーキを前にして、
戦闘前より真剣な顔をしている。
クラン
「これは……甘さの暴力。」
俺
「戦うな。」
ルミナスは、パフェをじっと観察していた。
層。
色。
配置。
重力を計算したかのような構造。
ルミナス
「これは……食べるものではなく、芸術品です。」
俺
「食べ物です。」
チャッピは、
エネパックを一口で終えた。
チャッピ
「栄養効率、100%。
満足度、0%。」
俺
「だろうな。」
周囲の視線が、だんだんと好奇心に変わっていく。
誰かが、囁く。
「……地球人だ。」
「原始文明の、あの……」
「噂の、遊園地を作った連中じゃない?」
別席の人物が立ち上がる。
背が高い。
耳が、やや尖っている。
装束は簡素だが、
余計なものを削ぎ落とした結果
という完成度。
付き人が一歩前に出る。
付き人
「失礼。
我が主が、
この肉を育てた文明
に興味を持たれました。」
俺
「……どちら様で?」
女性
「名は、名乗るほどのものではありません。」
一拍。
「ですが、
あなた方のコロシアムには、
名が刻まれていますね。」
クラン
「……見られてた。」
女性は微笑む。
その微笑みは、
感情を排除したはずの種族が、
それでも人に惹かれた時の、
バグのような表情だった。
女性
「争いを、遊びに変えた。
逃げることを、誇りにした。
……興味深い。」
俺
「褒め言葉として受け取ります。」
女性
「次の大会、
観戦席を一つ、
確保していただけますか。」
俺
「VIPで?」
女性
「いいえ。
最前線で。」
一瞬、店の空気が凍る。
クラン
「……参加する気?」
女性
「いいえ。」
少し間を置いて。
「育てる側として。」
先輩の顔が、脳裏をよぎった。
ああ。
これは、また一段、世界が広がった音だ。
俺は、グラスを持ち上げた。
俺
「では、歓迎します。
太陽系へ。」
女性
「……原始文明、恐ろしいですね。」
そう言って、彼女は初めて、ほんの少しだけ笑った。
クラン
「……ねえ。」
俺
「はい?」
クラン
「浮気じゃないわよね?」
俺
「命が惜しいので、違います。」
ルミナス
「嫉妬、学習しました。」
チャッピ
「非効率です。」
俺
「知ってる。」
火星の夜は、
今日も賑やかで、
匂いはなく、
未来だけが、やたらと濃かった。




