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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
149/208

第26話 訓練生 伝説コースへ

 

 結局、先輩とチャッピで3ヶ月、世話になる。

 俺、時々しか顔出せませんでした。


「先輩、どうですか、訓練生は」


「生き残ったし、脱落なく来たから、満点だよな。」


「ムル・カースは、人とのコミュニケーションは、トラウマなんだろうな。」

「自分だけなら、正常な判断ができるが、

 人が絡むと、どう接触していいかわからなくなっているな。」

「観察力は抜群だ。でも商人には向かないな。」

「お前から、引導をわたしたほうがいいだろ。」

「個人で、できる職業は..... 学者、研究職 だな。」


(よく見てる、さすが先輩。 俺と同じ意見だ。)


「後の奴らは、普通だよ。

 個性は豊かだし、若いだけの無謀もあるが、当たり前だよな。 

 俺の時なら、もっと尖っていたし。」


(さすが先輩、ありがとうございます。)


「ムル・カースは俺が預かります。」

「後の6名は チャッピと先輩で扱いてください。

 準実戦投入ですね。」

「あのコースクリアできますかね。」


「出来た奴は、お前だけ。

 無理だろ。

 それに、俺のプライドに賭けて、さらに、レベル上げたし、

 お前の、あの時の戦闘記録を参考にしたから、

 伝説級のコースになるぞ。」


「俺の名前は出さないでくださいよ。

 目立つのは嫌なので。」


「わかっているさ。 

 K・W 海賊迎撃作戦 だ。 

 いいだろ。」


「...... ばれそうなんですが、K・W  外してくださいよ。」


「これが、ブランドだからだめだ。

 それに、中央の了承をえたから、手遅れ。」


「練習艦持つかな、あいつらの体持つかな。」


「時速1000Kmでカイパーベルトをくぐり、ターゲットの標的1mの円球を

 艦の外装ですれ違い(1m)で当てる。

 ワクワクするだろ。

 お前が、デモンストレーションしろよ。」


「無茶言いますね。

 5m ..... 4 ...... 3 これで勘弁してくださいよ。

 速度は 500 でお願いします。

 その代わり、大佐の仲を考えますから。

 演習なんだから、艦壊したら又査問委員会ですよ。」 


「よし 

 大佐とのデートができたら、 500 3m にしてやる。

 できなかったら、 1000 1m  だ。」



 先輩

「交渉成立だな。」

 ニヤリ、と悪い顔。


 俺

「……それ、賭けの条件が不平等すぎませんか。」


 先輩

「教官はな、理不尽を合理化するのが仕事なんだ。」


 チャッピ

(横から淡々と)

「なお、大佐は合理性よりも、

 勝率と結果を評価する傾向があります。

 デート成功率は」


 俺

「言うな。」


 チャッピ

「23.4%です。」


 俺

「低っ。」


 先輩

「十分だろ。

 俺の時代なら、10%切ってた。」


 俺

「基準がおかしい。」




 訓練場・観測デッキ


 6名の訓練生が、ガラス越しにコース図を見ている。

 誰も声を出さない。


 ムル・カースだけが、一歩下がって、静かに全体を見ていた。


 ムル

「……あれは、

 回避じゃなくて、接触を要求している。」


 俺

「正解。」


 ムル

「しかも、艦を当てる側が柔らかい。

 標的のほうが、相対的に硬い。」


 俺

「満点回答。」


 先輩

「だから言っただろ。

 観察力は化け物級だって。」


 ムル

「……でも、

 誰かと一緒にやると、

 正解がわからなくなります。」


 俺

「それでいい。」


 ムル

「え?」


 俺

「正解を出すのは、

 お前の仕事じゃない。

 現象を正しく見るのが仕事だ。」


 ムル

「……」


 チャッピ

「研究職向き、ですね。」


 ムル

「……はい?。」


 少しだけ、肩の力が抜けた。


 先輩

「さて、

 伝説級コースの前に、

 伝説本人に説明してもらうか。」


 俺

「……」


 巨大スクリーンに、

「K・W 海賊迎撃作戦」

 の文字が表示される。


 俺

「……ほんとに、名前外せなかったんですね。」


 先輩

「安心しろ。

 K・W が誰か、誰も知らん。

 知ってるのは、

 『頭のおかしい設計者がいる』

 ってことだけだ。」


 俺

「自分を誉てます?」


 先輩

「どんな奴でも攻略不可能(無理ゲー)、最高だろ。」




 俺、前に出る。


 俺

「いいか。

 このコースは、

 勇気を試す場所じゃない。

 判断を遅らせない練習場だ。」


 訓練生たち、背筋が伸びる。


 俺

「当てるな。

 すれ違え。

 当たった時点で、

 お前は死んでいる。」


 沈黙。


 俺

「怖いなら、

 その感覚を捨てるな。

 怖さを無視したやつから、死ぬ。」


 先輩

(小声)

「……相変わらず、

 教官向いてない喋りだな。」


 チャッピ

「ですが、

 生存率は上がります。」


 先輩

「じゃあ、デモだ。」


 俺

「……はいはい。」


 俺、ヘルメットをかぶる。


 俺

「速度500。

 距離3m。

 これで勘弁ですよ。」


 先輩

「記録、残しとけ。」


 チャッピ

「はい。

 後世の教材になりますので。」


 俺

「やめろ。」


 艦が動き出す。


 カイパーベルト。

 秒速ではなく、

 感覚が引き剥がされる速度。


 俺

(……懐かしいな。)


 艦と同期する、まだまだ、ずれる。

 操作に、遅れる艦、補正、操作

 艦が手足の様に反応しだす。


(では、いきますか。)


 標的。

 1m球。

 白い円。


 俺

(見るな。

 感じろ。)


 ――すれ違い。


 コン。


 軽い音。


 艦体、無傷。


 速度ログ:500km/h

 最短距離:3.02m


 観測デッキ、静まり返る。


 先輩

「……」


 チャッピ

「成功です。」


 訓練生

「……」


 No1

「……人間、ですよね?」 驚愕


 俺

「ふう、ぎりぎりだな。」ニッコリ


 先輩

「よし。

 これを超えたい奴だけ、残れ。」


 誰も動かない。


 ……一人を除いて。


 イルマ

「……楽しそうじゃない。」


 俺

「お前、やめとけ。」


 イルマ

「無理。」


(すごいな、命知らずか。

 あの鋭角をスライドで流すとは。

 護衛ギルド ランク上 

 伊達ではない 

 俺が普通なんでよかった。)


 側から見たら、二人とも異次元だが、当人にはわからない。 


 先輩

「合格。」


 俺

(……伝説上塗りで俺が消えたな。含み笑い)


 先輩

(肩を叩いて)

「逃げ道だけは残す男だな。」


 俺

「……それが、俺の特技ですよ。」


 先輩

「それでいい。」


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