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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
偽装商船団
131/208

第08話 マッチング 先輩

 ルイ

「あなた達は、本気で相手を探していませんよね。」

「そんな方達は、登録できても、マッチングしませんよ。」

「キム、求めすぎでしょ。」


「見てください、これが見本として最優秀です。」


 氏名:ヨハン・クランベリー  29歳

 178cm  82Kg


 職業: 辺境基地 監視部隊240隊 軍曹


 趣味:体術  


 相手: 共に生き、最後の時は、笑ってくれる人。

 誠実で、正直な人。

 住居は土星のコロニーを考えています。

 住宅ローンは必要ですから、共働きになります。

 子供は2人程で、楽しい毎日。

 通勤は、転移ですので、単身赴任ではありません。


 体を使うのは得意ですが、頭脳戦はからっきしダメです。

 でも、家族は絶対守りますし。

 絶対、生きてかえります。


 希望年齢は20〜30歳




「これですよ。」

「申込が、1000人ですよ。」


 俺

「...........」

 クラン

「素敵 応募したいわ。」

 ルミナス

「誠実で優しい、安心できる人」

 チャッピ

「 文才 あるわね さすが、あのラブレターだわ。」

(ここで出すとは、まだまだ修行が足らんな。)

 大佐

「たしかに、人柄が滲み出る。

 家族のイメージが浮かんでくる。」

「ラブレターって何の事?」

 俺

「人は見かけによらない。

 野蛮人が、よきパパに見える。」



 大佐

「ねぇ、ラブレターって何の事よ?」


 全員 スルー。


 大佐

「キム少佐、命令です。説明しなさい。」




 俺(こんな事で権力使わなくても。)

「....... おどろかないでくださいね。」

 かくかくしかじか

「 です。 ことの起こりは先輩ですよ。」

「 原因は、大佐です。」


 大佐 顔が真っ赤。 

「..... いや、 そんな  でも  どうしたら..... 」


 俺

「お二人のことですから、俺は何も言いません。」

「先輩は、本気です」


 ルイ

「私に、お任せください。」

「大佐の登録は少し指導し、今日中に登録しますから、

 1週間後の婚活の日程に入ります。」 

「さあ、大佐、頑張りましょ。」

「誠意ある方には、誠意を見せないといけませんよね。」


 俺

(墓穴を掘る なるほど ルイ 役者やのう)


 大佐

「……キム少佐」


 俺

「はい」


「その……

 誠実さというのは……

 どの程度、正直に書けばいいの?」


 全員

(来た)


 ルイ

「逃げ場のない正直さです」


 大佐

「……」


 ルイ

「たとえば」


 タブレットを操作する。


 ・階級を使って威圧したことがある

 ・でも、本当は孤独が苦手

 ・強い人間だと思われたい

 ・だけど、一人で食事をすると味がしない

 」


 大佐

「待ちなさい!!

 なぜそんな個人情報を!」


 ルイ

「刺さります」


 チャッピ

「刺さるわね」


 ルミナス

「これは……応募殺到タイプ」


 クラン

「強い人ほど、弱さを許してほしいもの」


 大佐

「……」


 俺

(完全包囲)


 ルイ

「大佐」


「婚活は戦争ではありません」

「勝つものではなく、生き残るものです」


 大佐

「……」

「……キム少佐」


 俺

「はい」


「……先輩として、一つだけ聞かせて」


「私……

 本当に、登録しても……大丈夫かしら」


 俺(少し真面目に)

「大丈夫です」

「少なくとも、ヨハン軍曹の文章を読んで、笑える人なら」


「大佐の弱さを、武器だとは思いません」

「人間だと思います」


 大佐

「……」


 ルイ

「では、登録完了です」


 端末が静かに光る。


 ルイ

「申込数」


 一瞬、間。


「……もう、3件来てます」


 大佐

「は?」


 全員

「は?」


 ルイ

「やはり……

 正直な強者は、需要が高いですね」


 俺

(宇宙は広い)

(婚活も、銀河規模だ)



 俺

(……何で、俺のはダメなんだ?)


(正直だろ?

 嘘は一切書いてない)


(危険な任務が多いことも

 帰って来れない可能性も

 全部、書いた)


(家族を守る覚悟も

 約束できない未来も

 正直に)


(……なのに)


 ルイ

「正直と伝わるは、違います」


 俺

(心を読んだな)


 ルイ

「あなたの文章は」

「責任感は満点です」

「でも」


 画面を指す。


「誰が、あなたと生きるのかが、見えない」


 俺

(……)


 ルイ

「あなたは」

「守る、耐える、背負う、ばかり書いています」


「笑うがない」

「弱音がない」

「帰ったら、何をするかがない」


 俺

(戦場では、そんなこと考えない)


 ルイ

「だからです」


「婚活は、戦場じゃない」

「共に倒れる覚悟より」

「共に起きる朝を見せる場所です」


 チャッピ

「うわ、刺さる」


 クラン

「キムは……

 一緒に苦労しそうなのよね」


 俺

(フォローになってない)


 ルミナス

「でも」

「だから、友達としては最高」


 俺

(追い打ち)


 ルイ

「書き直しましょう」

「一文だけでいい」

「無事に帰れた日は、何をしたいですか?」


 俺

(……)

(……考えたこと、なかった)


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