第12章 あれから一年後
この物語は、我々の世界とよく似た、別の世界の話である。
あれから一年後。
彼らは、再び姿を現した。
今回は、予兆すらなかった。
木星の外縁部に突如として巨大な陰が現れ、
空間がひしゃげるような光が走った。
ワープそう呼ぶしかなかった。
その直後、世界中の通信端末に同時に一通のメールが届く。
「久しぶりだね、諸君」
「我々の検討結果を以下にまとめている」
・地球以外の惑星は、我々が開発する。
・木星と火星は、我々の住居とする。
・アステロイドベルトの資源は、地球へも輸出可能。
・現在供出している技術は、木星と火星の交換として無償提供する。
・太陽系外への進出技術も提供する。
・半年後、太陽フレアで地球は滅亡する。
脱出には我々の技術が必要だ。
資源はアステロイドベルトを使う。
「この太陽系は、
我々の文明にもっとも近く、最も落ち着ける空間だ。
是非とも協力をお願いしたい」
地球は散々国連で無駄な会議をして、結局、アメリカの強権を通し、
その応答を担ったのは、アメリカ大統領が人類を代表したのだった。
周りの側近が、まとめた回答書を読み上げた。
「地球を代表して、アメリカ大統領がお答えします」
地球は太陽系の唯一の知的生命体が探査・研究している場所であり、
外部からの一方的な宣言を承認することはできません。
火星は地球人の退避先であり、
すでに居住地を構えているため、譲渡できません。
技術提供の申し出には感謝します。
貴文明の避難民の数は不明ですが、
木星は重力・距離ともに不適であるため、
そちらへ譲渡する代わりに今後の技術交流の継続を求めます。
ただし火星は拒否します。
現状、優先すべきは地球人の退避です。
協力いただけるのであれば、
木星はそちらの居住地として問題ありません。
太陽フレアによる滅亡については、
まだ地球側では確認されていません。
地球人に向けた説明を求めます。
「地球はあなた方の一部技術によって急速に変革しつつあります。
しかし、母なる星を捨てる決断は未だ困難です。
我々の未来を切り開くため、どうか支援をお願いします。」
側近の苦労が偲ばれる。
「明日、地球の国際連盟本部の前へ、15時に伺う。
周囲1kmの火器類を全て排除せよ。
検知した場合、すべて破壊する」
この通告は瞬時に世界へ流された。
テロ組織
「1キロ外なんて余裕だろ。
ドローン飛ばしてドカンだぜ。
核でも誘導でもぶっ放してやる!」
某国首脳A
「我々の力を示す時が来た。
害虫は駆除だ。
弾道ミサイルを準備せよ」
某国首脳B
「記者に偽装して接触……毒殺でいい。
やるべきことは決まっている」
一般国民
「宇宙人が来るってマジ?
これはTVで生中継だろ……
明日、有休入れとこ」
米国首脳
「なぜ全世界に流す!?
ニューヨークは24時間封鎖!
人の移動は全部停止!
空海陸軍、全戦力スタンバイ!
ヤツらが何で来ても止めるぞ!」
SPのつぶやき
「1km四方の火器排除? 無理だって……」
どの国も、六番目の通告、
半年後の地球滅亡を真剣に考えていない。
火星になんとか行けてしまう
宇宙車のおかげで、危機感が麻痺していた。




