第54話 士気向上(婚活)
最近、秘密任務ばかりでストレスが貯まる。
見えない相手を探す、勘でもいい、軍人には最も遠い場所です。
隊員も艦隊演習で負けて、凹んでるし。
士気が下がり、空気も悪いし。
陽気な喧嘩が、陰湿になる。
人の感情は、揺れる。
脆い。
それが、人間だ。
心が、素直すぎて、宇宙へ行けるのか心配になる。
隊のみんなも分かってはいる。
が、どうするという案もない。
なんか、ないかな。
「ルミナス、
隊員の士気が駄々下りで、
なんか面白い企画ないか?」
ルミナス
「 辺境艦隊の活躍で、辺境隊員の人気は鰻登りですよ。
リライフ社会で、人生をやりなおす、かたも
増えて、活気があふれていますね。
地球の元気をもらう企画はどうですか?
」
「元気をもらう企画?」
「たとえば、辺境と地球の交流会。
辺境の独身男性と地球・火星・異星人・土星人
の女性たちとの
合コン。
婚活パーティー。
基地は流石にダメですが、辺境隊員に個人転移が認められれば、
火星か、土星のコロニーに愛の巣を作る。
人口増加。
今 地球人 60億で 異星人 300億
アンバランスは、色々不満のもとですし。
婚活ダメでも、交流できるだけで、
隊員の方々のやる気は、10倍になるでしょう。
」
俺
「 お前、仲人会社、やらないか。 俺金出すわ。」
ぐへへ 金の匂いがする。
クラン
「......ほっとこ。
それ、参加したいから、男性も入れてよ。
渋めの男の方ね。
隊員はだめ、素性がバレて、ひっかからない。
色気で落とせないの。
つまんない。」
チャッピ
「あのーーー。
人格AIも参加したい。
私と話の合う人格AIがいたら、
結婚して子供をつくるの。
博士ができるといっていたから。」
大佐
「私は 遠慮するわ。」
俺
「だめ、強制参加。
花がないと、男が来ない。
広告塔です。」
皇女
(私も参加する。)
地獄耳か!。
俺
(だめでしょ。
格が違いすぎて、みんなビビるわ。)
マーズ
(私も参加する。)
皇女
(あんたは、地球防衛で忙しいでしょ。
それに、動けないし。)
マーズ
(ルミナスができるなら、
私はルミナスを超えてみせますよ。)
ルミナス
(あーーん、 やんのか!。)
いきなりヤンキー娘。
どこの辞書?ヤンキー辞書、さいですか。
俺
(.........俺逃げたい。)
(俺は、隊員の士気をあげたかっただけで、
なんで、こんなにおおごとになるの?)
(いまだに、揉めてるし。)
(女は3人で姦しい)
(3人以上で嵐だ、おさまらん。)
(ご亭主様、尊敬します。)
後日談
この企画、ボツにはならなかった。
だが、俺の手は完全に離れた。
助かった。
本当に。
そして、仲人会社ができた。
場所は、土星。
土星婚活管理機構(非公式名称)
独身・二十歳以上であれば
地球人・異星人(旧銀河帝国系・土星人)・人格AI
誰でも会員登録可能。
ただし、
水性人・妖精・火炎人など、物理的接触が不可能な種族は不可。
登録後は、
自己プロフィールと希望条件を入力。
マッチすれば、合コンまたは婚活の日程が通知される。
転移で土星へ。
日帰り/一泊二日の選択制。
合理的で、完璧で、
何より止めようがなかった。
ルイの申し出
運営費用は、すべて土星側が負担。
その代わり
カイパーベルト外縁への戦艦配置を承認してほしい
俺
「……なんで?」
ルイ
「この星には、
最も危険で、最も重要な姫が二人おられます」
「何があっても、守らねばなりません」
「宇宙の鍵が二つ。
そして
もう一つ、存在する可能性がある」
空気が変わった。
ルイ
「これは神話級の話です」
「太古の言い伝えとして、私たちは迷信扱いしていました」
「ですが、事実が二つ、すでに存在した」
「三つ目が無いとは、言い切れません」
「
原初の石板の記録
『鍵が三つ揃う時、宇宙は消える』
原初の石板は、かつて私たちの銀河に存在した。
恒星爆発で、主星系が絶滅。
周辺の恒星系も破壊の嵐で絶滅。
」
「銀河は光と共に消えました。」
「 似ているのです。皇女の夢の話。」
「 不明、不鮮明、であることはわかっています、
私たちも、迷信程度にしか考えていませんでした。」
「あの二人が話した時、思考の高位、
もっと高い所に共鳴波が観測されました。
伝説が事実と証明されたのです。」
「ですから、隠さないといけません。」
「全力で防御体制を構築します。」
「護衛艦隊を展開します。」
俺
「........本気か?」
ルイ
「はい」
「念のため、
お二人が会話することは避けてください」
「一緒にいることも危険です」
「灯台になりかねません」
「調べれば詳細は分かるでしょう」
「ですが、調査は禁止されています」
「推測ですが、確率は八割以上」
「見つかれば、
二人は 攫われるかも。」
「分からないことばかりです」
「だからこそ、防衛は最悪から始める」
(殿下 聞こえてるでしょ。)
(許可しますね。)
(できれば、健康診断として
お二人とも土星で検査を)
(事実確認が必要です)
(旦那もマーズも嫌がるでしょうが)
(俺が先にやります)
(大佐も巻き込みます)
(太陽系の命運がかかる話になって、
申し訳ありません。)
俺
婚活から始まって、
神話級の防衛線か。
……ほんと、宇宙は容赦ない。
おれは、疫病神なのかも。




