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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
辺境監視基地 
115/208

第49話 自立する女性

 鏡の前で、彼女は立ち尽くす。


 肌に張りがある。

 目が、前を向いている。


(……戻れる?)


 そう思った瞬間、胸の奥で、何かが静かに否定した。


 地球では、「三十を過ぎた女」は、待つ存在だった。


 昇進は後回し。

 恋は妥協。

 未来は「現状維持」。


 それが、当たり前だと教え込まれてきた。


 でも今は違う。


(私、まだ……始めてない。)


 彼女の思考は、現実的だった


 帰る?

 どこへ?


 売った家はもうない。

 職場は、若い子が座っている。


「おかえり」と言うのは、親だけ。


 それも、あと何年?


(ねえ、明日からどうするの?)


 皇女の言葉が、遅れて効いてくる。


 情報端末を開く


 火星:若年層多い 給与高

 危険度:中

 成長率:高


 土星:人口少 渋い男多め

 安定

 医療・再生研究拠点


(……選べる。)


 それに、また若返れる。


 期限付き。

 回数制限付き。

 だからこそ、無駄にはできない。


 気づいてしまったこと


 若さは、「可愛がられるため」じゃない。

 時間を投資するための資本だ。


(火星で働く。稼ぐ。経験する。もう一度、若返る。)

(その時に……本当に隣にいてほしい人を選ぶ。)


 ふと笑う。


(あれ? 思考が……若い。)


 感情だけじゃない。

 判断が軽やかだ。


 遠くで、管理者たちがこの変化を観測している


 ルミナスの予測線が、わずかに揺れた。


 数値は合っている。

 行動も想定内。


 だが

「理由」が、予測されていない。


 皇女

(……救済は、寿命を延ばすことじゃない。)

(「明日を選ぶ力」を返すこと。)


 この日、第一世代の女性たちは、

 誰にも命じられずに動き始めた。


 帰らない者。

 働く者。

 恋を選ばない者。

 すべてを楽しむ者。


 そして、彼女たちは共通していた。


 最後は、二人でいたい。


 それだけは、誰にも奪われなかった。


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