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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
辺境監視基地 
113/208

第47話 土星圏コロニー建設現場

 配属初日

 山岸は、作業服の袖を通しながら思った。


(……若返ったのに、

 やることが、岩運びなのか。)


 周囲には、同年代と思しき男たちが並んでいる。

 五十代。

 六十代。

 七十代。

 全員、若返り処置済み。

 顔は若い。

 腰は、正直。


 現場責任者

 土星人監督官

 ルイ(ルワ・カレバイ)。

 外見年齢、二十五歳。

 実年齢、三十。

 体幹、鬼。


「よし諸君!本日の作業内容は」


 背後のホログラムに表示される。


 第7居住区

 ・基礎岩盤整形

 ・浮遊資材搬入

 ・重力安定柱設置


 山岸、心の声。


(……若返り五年じゃ、足りねぇ。)


 作業開始・30分後


「……はぁ……」


「おい、山岸さん、大丈夫か?」


「……昔は、これくらい……」


 ズキッ。


 二人同時に腰を押さえる。

 その様子を見ていた若返り三回目の男が言う。


「だから言ったろ。最初から外骨格借りろって。」

「だって、プライドが……」


「プライドは、腰より脆い。」


 名言が生まれた瞬間だった。


 土星人トレーナー登場


 ぴょん、と軽やかに着地。

「フォームが違います。」

「フォーム?」

「そう。

 地球人は、力で持ち上げる。

 我々は」


 スッ。


 岩(2トン)が、浮いた。


「……重力制御補助です。」


 男たち、一斉に叫ぶ。


「反則だろ!!」


 昼休憩


 簡易食堂。


 栄養スープをすすりながら、会話が始まる。


「なあ、聞いたか?

 女性区画の話。」


「聞いた聞いた。」


「……平均年齢、下がりすぎだろ。」


「俺の嫁、

 『二十代に戻った』って写真送ってきた。」


 沈黙。


「……」


「……」


「……頑張ろうな。」


 男同士、固く握手。


 午後・事故発生


「ぎゃあああ!!」


「どうした!?」


「筋肉痛が、突然来た!!」


 救護ドローン、即出動。


「診断:

 張り切りすぎ。」


 現場全員、納得。


 夕方・日報


 ルイが、端末を見ながら言う。


「本日の成果 予定の70%。」


 男たち、うなだれる。


「ですが。」


 ルイ、にやり。


「地球人基準では、奇跡的。」


 一瞬、静寂。


 次の瞬間。


「「「うおおおお!!!」」」


 謎の一体感。


 夜・仮設宿舎


 山岸、ベッドに倒れ込む。


(……きつい。)


(……でも。)


 壁に貼られた家族写真。


(働けてる。)


 隣の部屋から声。


「山岸さん!

 明日、筋トレやるらしいですよ!」


「……殺す気か。」


 笑い声。


 翌朝


 全員、出勤。


 腰に湿布。

 膝にサポーター。

 心に希望。


 ルミナスの記録。

 男性労働者群:

 生存率 100%

 文句 300%

 定着率 98%


 チャッピ。

「人類男性、矛盾した生物です。」


 クラン。

「だが、嫌いではない。」


 ナレーション(俺)

 救済は、楽園ではない。

 だが

 もう一度、役に立てる地獄は、

 案外、悪くなかった。


 天気晴朗なれど波高し。


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