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太陽系外からの訪問者  作者: HAL
辺境監視基地 
112/208

第46話 女性襲来

 到着


 ゲートが開く。


 光。

 温度。

 湿度。

 完璧に調整された空気。


「……え?」


 最初の来訪女性

 佐伯・真理子(35)。


 鏡に映る自分を見て、言葉を失う。


 肌。

 髪。

 目。


 二十五歳の自分が、そこにいた。


 天国


「ようこそ、土星圏美容・再生区画へ。」


 土星人スタッフの声は穏やかだ。


「初回施術後、

 身体年齢は約10年巻き戻されます。」


「副作用は?」


「嫉妬です。」


 真理子、笑う。


「そんなもの、地球で慣れてます。」


 その言葉が、地獄の扉だった。


 施術後


 部屋を出る。


 廊下は、花園。


 歩く女性、全員


 美しい。


 二十代。

 三十代。

 四十代。


 だが、視線が交錯する。


 値踏み。

 比較。

 確認。


 真理子、理解する。


(……戻ったのは年齢だけ。)


 サロン


「あなた、何回目?」


「初回。」


「……いいわね。」


 声は柔らかい。

 目は鋭い。


「私は三回目。

 もう、次は五年待ち。」


「……そうですか。」


「でもね。」


 女は微笑む。


「初回が一番、地獄なの。」


 ランチテーブル


 料理は完璧。

 栄養、味、香り。


 会話は


「旦那、土星で働いてるの?」


「ええ。現場。」


「……大変そう。」


 同情という名のマウント。


 別の卓。


「地球の友達、

 もう会いたくないわ。」


「わかる。

 写真送るだけで、恨まれる。」


 幸福は、共有できない。


 初めての修羅


 事件は、三日目。


 施術スケジュール掲示板。


 次回若返り

 ・Aブロック:5年後

 ・Bブロック:7年後

 ・Cブロック:10年後


 静寂。


 次の瞬間。


「……どういうこと?」


「私は、B?」


「年収、同じよね?」


 空気が凍る。


 土星人職員、淡々と。


「社会的安定度、

 精神耐性、

 対人衝突率を総合評価しました。」


 女たち、理解する。


 ここは天国ではない。

 評価社会だ。


 真理子の夜


 個室。

 大きな窓。


 土星の環が見える。


 真理子、独り言。


「……若返ったのに。」


 涙は出ない。


 涙腺も、若返りすぎた。


 翌日


 ヨガ。

 語学。

 心理安定プログラム。


 表面は、平和。


 裏では


 視線。

 噂。

 無言の排除。


 修羅は、声を出さない。


 ルミナス記録


 女性区画

 ・満足度:92%

 ・衝突件数:地球比 1.8倍

 ・自殺衝動:0

 ・復讐願望:検出中


 チャッピ。

「女性社会、極めて高度です。」


 クラン。

「刃を見せぬ戦場。」


 皇女の一言

「……予想通り。」

「女性は、幸せになると戦うの。」


 ナレーション(俺)

 若さは、救いだ。

 だが

 平等な若さは、

 最も残酷な公平だった。



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