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ひとつ、鏡は嘘をつかない

彼女と鏡のひみつがよく分かる第2話

さいごまで読んで頂けると幸いで御座います

私は段々と視界がぼやけていくのを感じ、何者かに手を掴まれ、足掻く術もなく吸い込まれていった。






***

家に帰ってきた私は、靴をそそくさに脱いで家に上がる。


ただいま、と声を上げても返事は帰ってこなく、自分の今にも消えそうな声が余韻を残す。

リビングを覗いても、誰も姿を見せずささやかな寂しさだけが胸に残る。


その日は、とても太陽が顔を出していた。暖かな日差しに誘われて、ふかふかしたお日様の良い匂いのするものが私をおおいに包み込む。


このままずっとここに居て、跡形もなく沈んでいってしまいたい。そう思った。

「はあ…」

私の虚しい独り言が部屋に響き渡る。そして情けない自分の顔が鏡に映った。


「…私って、ほんとうに一人なのね」

鏡に話しかけるよう言葉を放つ。


ここ、私の部屋にも鏡がある。まるでここは私の領地だ、と言わんばかりに。

わが家には、随分と前から鏡が大広間にあった。


それも普通の家庭にある鏡ではない、私の身長の何十倍もある鏡。天井にまでも届くこの巨大な鏡は、この家全体、そして私全体を広く映し出し、本心をさらけ出してくれるの。


この家はとても古いけど御先祖様が代々丁寧に受け継いできたもので、鏡もそう。でも流石に段々と劣化は進んできているものよ。小綺麗に汚さないよう使ってきているのだろうけど、使用感はあるの。


けれど、私は近頃ふしぎに思っている。家は段々とくすみを帯び、塗装が剥がれ、存在が薄まってきている。確実に古くなってきているのだ。だが、私が思っていることはそれじゃない。


鏡。


あの大広間の鏡。


あの鏡だけは、長い間、姿を変えていない。




周りが時間が経つにつれ衰えていくにも関わらず、その鏡だけは、傷一つなく手垢もなにもない。


鏡そのものから放たれる金色の光は、何百年も何百年もの月日を超え一層強くなり、主とこの家の姿を映し出している。


生まれてから鏡と一緒に生きてきた私なので、この見上げて首が痛くなるほどの大きな鏡に疑問はもたなかった。分かっている事だけれど、私も家も年をとっている。


でも、私の人生の成長を一番近くで見届けていたその鏡は、一向に姿が変わっていないのはなぜだろうか。




私はそっと鏡に寄り添う。鏡も私のきもちに気づいてくれたかしら。


鏡は、太陽の光を精一杯浴びて近くにある鏡や硝子に光を当て自身を輝かせた。その思いに答えるように、私は指先を出して、そっと触れてみる。



その瞬間、何でかしら。


周囲がまたたく間に光だした。


光は一層強くなり、私の感情、姿、実体、信念、虚しさ全てを飲み込んでいく。


そして、私の指に、水滴を染み込ませるよう一瞬にして視界から消えてしまったわ。



人差し指がほんのり赤みを帯び、細胞に色素が浸透していくように煙を出しながら薄まっていく。


今まで鏡に手を触れたことはなかった。


鏡は、私達が思っていた以上に芯が強かったみたい。


人間を惑わして引きずり込む力もあったようでね。鏡は色々な可能性を秘めているの。

自分にとって幸運なことが舞い降りる事もある。それも、良い事ばかりじゃないのよ。


何か鏡にとって適さない人間が触れてしまうと、引きずり込まれて永遠に闇の中にね...最悪の場合。鏡は触れたモノの心や本性に反映される影響がある。その人間次第ってことだわ。


だがその時は何故か、私は自然と手が前に伸びていった。何故かは今でも分からない。


これは運命を感じたとでも言うのかしら。


なんだろう、鏡の向こうに手を伸ばしたくなったというのかしら。


鏡の向こう側に何かが視えたのかしら。

その時の記憶は曖昧でよく思い出せなくて霧がかかってるみたい。なぜであるか知っているのはあの鏡だけ。


だって、鏡は嘘をつかないもの。何時(いつ)だって鏡はそのもの自体の本質を見出すものであり、本当の自分をさらけ出すことが出来る。




とにかく、私にとっての鏡はもうパートナーみたいなものだったってこと。それはほんとうなのよ。

今、私が話せている事も、パートナーのお陰って事かしらね。






いかがだったでしょう彼女自身の事、鏡の秘密、、

得られた事が沢山あるんじゃないでしょうか。次回は内容が大きく変化するのでぜひ

そして、お時間御座いましたらポイントをいただけると幸いです

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