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そこに在った私を映し出すもの

少女が鏡を通じて己の感情と向き合う、壮大で漆黒で美しいファンタジー物語が始まる!!

授業がおわり、教科書やノートを片付けようと一息つく。


教室の窓からは、はやくと促すように鎮座する太陽が煌びやかに輝いている。だがそんな風景とは裏腹に、クラスメイトたちは早々この私しか残っていない、寂しくオレンジ色に照らされた教室を去っていく。


そう、私は1人で孤独に生きている。私が何をしようとしまいと誰1人私の存在を認知しようとしない。

私は子供の頃から、悪口を言われるのでもなく気遣われるのでもなく、ただ「居ない存在」としてこの世に存在していた。


死のうとすれば止められるわけでもなく、肯定されるのでもない、いつでも死ねる状態。周りに居る人間達は、私をまるで目に見えない空気のように、透かした眼差しでみていた。


彼らは、空は軽やかな群青でまだ芽生えたばかりの命をもった駒鳥が空をめいいっぱい飛んでいる。そんな場所をみていた。


でも私はそうじゃない。


彼らとは程遠い、暗い土砂塗れの地面で、少しでも気を抜いたら蟻地獄に巻き込まれて出れなくなる地面。私を安心させようとするフリをして容赦なく振り下ろし私を動かせなくするの。


はまってしまったらもう出れることはない、永遠の牢獄。彼らが羨ましかった。


羽があるのにも関わらず、飛べないの。いくら飛ぼうとしても、汚らわしくて今にも飲み込まれそうな地面に私は縛られて「もういい?」って脳内に釘が暴れているように痛く痛く痛く語りかけてくる。


羽があるのに使えないのはないのに変わりないじゃない。



***

生活をしている上でもそうだった。


私は「居るけど居ない存在」だから羽がないのとおんなじ。居ない存在として授業が進み、私は魂が上にす〜っと抜けてしまうような霧に囲まれた虚無感に漂われる。


けど私はそんな通常の人間だったら耐えられないようなこの空間に慣れている。頼れるのは自分だけ、信用できるのは自分だけ。と毎日自分に言い聞かせながら永遠に孤独というものに鞭を撃って暮らしているに。


相談できる人間なんて居ないのよ。頼ることができるのは自分自身だけだから。そう自分に言い聞かせてきたのは自分を落ち着かせる為だっけ。今思い出すとこの頃私は巨大な、いわば怪物。のような残酷な世界で生きていくのに必死だった。


けど私が、絶壁に這いつくばって生きていこうと血走っているのは誰も知らない。誰も見てくれない。だって1人なんだもの。何回も言ったじゃない。


誰も私のことを見れやしないわ、というかそもそも私は周りの人とは違ったのかもしれない。自覚はしてなかったけどね。








***

私は幼い頃から、孤独に向き合ってきたわ。嫌なほどにね。


両親は日本だけでなく海外にまでにも進出するほどの企業者で社長で。

だから、いつも家になんか居る訳なかった。家にも中々帰ってこない。帰ってきたとしても口も聞かなかったし両親は私をみようとしなかった。


ほとんど家に私1人しか居ないくせに、家の(あるじ)ですら元いた場所まで帰って来れなそうなだだっ広い家だったわ。


玄関には一般家庭にはそうそう手に入れることができない海外限定のブランドの靴がずらりと整頓してあり、床は汚れひとつ無い規則正しく並べられている薔薇色のタイルにガラス張り。


玄関を抜けると、すぐに私では一向に届かない天井に、ようこそとその壮大な身をきらきらと揺らす輝かしいシャンデリア。


ほんと、何処かの西洋の映画にでもありそうな家。


壁には有名なメリアスキャンベリーの絵画。他にも数えきれない程の絵画や肖像画が私のことを睨んでいた。


家の中は迷路のようで、広くて広くて広くて。


私の孤独をより一層感じさせたものだった。生涯孤独の私は、寂しいけど寂しくない、そんな自分を覆い隠すような思いと私は生きていた。


そういえば、私の家には確実に何処に居ても、視界に鏡が在った。

幼い頃から鏡と隣り合わせに生きていたので、そのせいか鏡をみると不思議に気分が落ち着くのだった。


いつだって鏡は正直に居てくれた。私に順応し従い本心を映し出す鏡。鏡は、私そのものと言っても過言ではなかった。鏡は、私自身唯一の味方でもあったの。


私が命令をすればすぐに従い己の心の中身を映し出す鏡がだいすきだった。


いつも私の味方でいてくれる鏡がだいすきだった。


長い時間頭を働かせた末、私は教室を見送って出た。


⋯私の昔話、そんなに退屈だったかしら?


次回のエピソードでは、鏡が深く関係する話になります

ひとつひとつ、丁寧に話を掘り下げるつもりですので、読んでいただけると幸いです

そして、お時間が御座いましたらポイントを下さると投稿者、とても嬉しいです

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