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0-・  作者: 小城
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0-・中

 この物語は、フィクションであり、実在の人物、団体、事件等とは、一切、関係ありません。

Daphneの愛

私にとって、周りは背景に過ぎない。人、物、事 そのすべてが通り過ぎていく。瑣事。さながら、車の運転席から見かける電信柱。看板。道路標識。窓の外の風景が変わっても、私は変わらない。永遠に通り過ぎていく。さながら、私自身が背景のよう。周りから見れば、私こそが背景に過ぎない。瑣事。些末。お互いにすれ違う運命の交差点。通り過ぎ去るだけならまだしも、時に衝突する。交わってはならない黒と白。共通するのはお互いのすれ違いのみ。そして、衝突の履歴。daphne(ダフネ)の愛……。

憎悪

憎い。憎しみ。という感情は突然怒る。固定された記憶。感情の規定。同定。神経記録の網状組織(ネットワーク)が伝達物質の海に溺れている。快楽<恐怖が優った状態では、身体の防衛機能が発動してしまうらしい。自己防衛。専守防衛。機能防衛。防衛本能。外部の刺激を抹殺し、生体の安寧を確保する。機構(システム)。それが0.0025秒の間に完了する。反射。は反射。を惹起し、反射(0.0025秒)。の連鎖を生み続いて行く。そして、出来上がったのが。

反射の(ex)怪物(crescence)。(イクスクレセンス)






……







信奉者の探索は捗らない。あるのかないのか。いるのかいないのか。なにをしているのか。分からない。特殊捜査局という組織自体がそんな感じだった。私にとっては……。

そんな時

「経済関連団体のlobbyist(ロビイスト)が連続で殺害。」

される事件が起きた。

「(何故、これが特捜に回ってくる?)」

「(異常体(ヘレティック)の犯行らしい。)」

「またか……。」

「(おい、声が漏れている。)」

「(すまない。だが、異常体。最近、多いな。)」

「(ああ、増えたな。という感覚だけではなく、実際の数も増えているらしい。)」

「(摘発数が増加している?)」

「(それもある。そもそも、認定数も増えている。)」

「(異常体認定の基準が緩和されたのか?)」

「(いや、というよりも、調査の精度が上がっているのだろう。あと、上が意欲的になった。今までなら、放っておかれた事例(ケース)も、積極的に調査認定するようになった。)」

「(どうして?)」

「(方針が変わったんじゃないか?今まで、放任自由主義だったが、状況が好転しないから、積極介入して、管理していこうとしてるんじゃないか?。あの件との絡みで。)」

「(ああ、あの件は変わらないな……。好転もしてないし。しかし、これとあの件を関連付けようとするのも、どうかと思うが。)」

「(それはまあ、上の事情があるんじゃないのか?)」

「(若干、陰謀めいたものを感じなくもないな。)」

「(ただの忖度だろう。それより、今回の事件の場合(ケース)は、あまり、そこら辺とも関係ないな。本物の異常体(ヘレティック)案件だ。)」

上述の打聞はふとした拍子に()()()()()()()()()ものである。

(頭の中に流れてきた……?)

上述の打聞はふとした拍子に()()()()ものである。

特殊捜査局内で。

そして、間もなくして、捜査案件の開示がなされた。

「『経済関連団体職員連続殺害事件』」

被害者5人

平間幸雄(54)朝丘そりね(41)久須美京(52)里壁晃平(29)由利千里(37)

いずれも経済団体職員であり、共通しているのは被害者5人とも、各団体で、日頃から政党や議員、官僚等に接触する、いわゆるロビー活動に従事していたこと。殺害の手口から同一人物による犯行の可能性が高いと推定されること。既に警察本部に捜査本部が設置されているが、特殊捜査局はそれらの支援に回ること。等だった。

「犯人は信奉者(デモニスト)である可能性が強い。」取って付けたかのように、最後にそう付け加えられた。

特殊捜査局の内での私の仕事といえば、局に保存されている(過去の信奉者の)データベースを用いて、個別に訪問と聴取をすることだった。

「はい。分かりました。はい。」

それらの多くも、大抵は電話で事足りた。相手の応対も丁寧で骨の折れることはなかった。

「照会終わりました。」

「お疲れさま。」

三村課長は、案外、気優しい方だった。私の面接の時は局長らに憚っていたようだ。本来は気さくな性格らしい。

「怪しい人物はなく。このリスト内は全員連絡が取れています。」

「うん。やはり、過去のリストにはいないようだねぇ。」

「そうなるのでしょうか。」

「局長には、先に口頭で伝えておくけど、報告書もお願いしていいかい?」

「分かりました。」

「うん。ありがとう。」

そう言って、課長は席を立った。その足で局長の所へ行くのだろうか。

「(……原始回帰……。)」

「(うん……?)」

私は振り返ってみた。が、そこには誰もいなかった。

……。

満たされた善人面した悪魔共。皆殺し。自覚なく人を陥れる悪魔。天罰を。生まれた時から幸せなお前らとは違う。おれは生きなければいけない。そんなことを気にしては生きていけない。敵。敵を殺せ。

……。

違和感が拭えない。捜査本部でも容疑者探しは難航しているようだった。そんな時

「新発田新太。36歳。フリーター。現在無職。連れて来ました。」

「うん。調査室の方に案内して。」

「はい。」

総合捜査課の他の課員がある人物を局に連れて来た。

「課長。あれは?」

「あー。そうか、東雲さん。貴方はちょっと……。」「(……知らなくていい。)」

……という課長の声が聞こえた気がした。しかし、実際には言葉に発してはいないはず。私の空耳。その間、課長は主任に耳打ちをした。尾崎ミク主任。私の先輩。

「東雲さん。出ようか。」

「どこか行きますか?」

「車を出してほしいの。本署の捜査本部へね。」

主任に連れられて私は局をあとにした。

捜査本部は人が空いていた。皆、外に出ているらしい。

「東雲さん。色々分からないことだらけだと思うけど、もう少し辛抱して。」

「いや。そのようなことは……。」

「私も始めはそうだったから。」

「……。」

「東雲さんは、幣原先生の紹介だったかしら?」

「紹介……?」

「ああ……。患者さん?」

「はい。主治医です。」

「私もそうだったの。」

「はあ……。」

捜査本部でのやりとりは特別なことはなく、書類の受け渡しくらいだった。が、その帰路の車内では尾崎主任の会話の趣旨がよく分からなかった。

「ミカ先生って、私は呼んでたわ。美しい花で美花。」

幣原美花。私は先生の本名を初めて知った。

「う~ん。」

「どうしました?」

帰りの運転は主任がしていた。私は助手席で話を聞いていた。

「言ってもいいかな、」

「……?」

「たぶん、今、内事があなたの調査を色々してるわけ。」

内事。内事監察課のことだ。

「それが、たぶん3カ月から半年。それで、問題なければ、色々、本格的に仕事するようになる。でも、別に東雲さんだからって事じゃなくて、新人はみんなそう。私もね。私は4カ月かな。課長から呼ばれるの。」

「そうなんですか。」

結局、尾崎主任はそのことを言いたかったようだった。

「それまでは変なことせず。地味な作業をするの。辛抱かな。」

「はい。分かりました。ありがとうございます、先輩。」

「頑張ってね。」

他にもいろいろ聞きたくなった。尾崎主任はどうしてこの仕事をしているのかとか特殊捜査局に務める前は何をしていたのかとか、でも、それらを聞くのは止めた。残りの帰路、私、ただ黙っていた。

「ロビイスト連続殺人事件。警察は容疑者の男を逮捕。」

翌日、マスコミ各社はそう報道していた。

「本日、昼、警察はロビイスト連続殺人事件の容疑者として都内の政治結社代表、三國明人(47)を逮捕しました。」

容疑者の男はサングラスをかけていた。自宅兼事務所のあるマンションから警察官に連行されて警察車両に乗り込む所を報道カメラに撮られていた。

新発田新太という男の所在は知れなかった。私もあれ以来見てはいない。おそらく容疑者の一人ではあったが解放されたのかもしれない。

「(……特技課送り……。)」

空耳。誰かの声。総合捜査課室には課員がいる。数人。その思念が伝わった……?というオカルトのようなことを私は信じない。

けれど、もしかしたら……。

思念の伝達などという現象は科学的に証明されていないだけで、自然現象としては存在するのかも……。

そんなことがありえるのか……。

と思えるようなことが、近頃は多い。

それとも、幻聴……?

私の精神疾患や過去のトラウマから来るものなのか……?

私は先生に会いに行くことにした。

「精神医学や心理学の用語では《共鳴(sympathy)》と呼ばれる現象ですね。」

共鳴。(用語:精神心理)

sympathy:シンパシーとも。同じ境遇を経験した者同士(複数人も)が対面または同じ場・状況に遭遇した場合、それらをしたことがない者同士よりも、思考、感情の同一化が起こりやすいことをいう。それらは同じような、あるいは似たような記憶を有していることから、特定の状況下においては、思考、感情に同じような、あるいは似たような帰結を及ぼすからではないかとも言われている。(パラペディア)

「例えば、今から20年前にNewFrancisco大学が行った研究があります。そこでは、まず被験者二人を同一の部屋に入れて、最初に会話をさせました。それは単なる自己紹介から始まって、雑談に続きました。そこで、実験者は突然、会話を中断して、二人を離して、それぞれ別室に連れて行きます。そこで、もし、二人がそのまま会話を続けていたら、次にどのような話題や単語が出ていたかを、それぞれに聞きました。その結果、被験者の答えが一致した確率は平均して21.3%でした。しかし、正答率にはばらつきがありました。中には86.3%もの高い水準で答えを一致させた被験者がいました。」

「双子ですか?」

「そうですね。実験者が注目したのは被験者の属性と会話の内容でした。」

「会話の内容?」

「はい。まず、被験者同士が同じ環境で育った、同じ境遇で生活した等、いわゆる親密性が高いペアは平均して正答率も高い傾向がありました。彼らの正答率は平均して53.7%を記録していました。」

「80%ではなく?」

「はい。彼ら親密性の高いグループ。これらは俗にいう話が合う。馬が合うと言われる場合が考えられました。しかし、それよりもはるかに高い正答率を出した属性のグループがいました。分かりますか?」

「いえ。」

「それは、心に大きな精神的外傷(トラウマ)を抱えた人同士のグループでした。」

「……。」

「しかし、もう一つ、正答率に影響を与える要素がありました。」

「話の内容?」

「はい。心に精神的外傷を抱えた者同士の正答率は平均して55%くらいです。」

「……。」

「けっしてずば抜けている訳ではありません。けれど、会話の内容をポジティブなものとネガティブなものに分けた場合。親密性の高いペアのグループの正答率は、会話の内容に有意な影響は及ぼされませんでした。ポジティブ、ネガティブともに50-60%。でも、精神的外傷を抱えたペアは、会話の内容がポジティブなものだった場合の正答率、言い換えれば共鳴率とでも言えますね。それはポジティブな会話では平均50%以下だったのに対し、ネガティブなものだった場合の共鳴率は、90%を超えていました。」

「話の内容で共鳴率が違う。」

「そうです。興味深いのはその中で、相手の声が聞こえたという被験者がいたことです。」

「それも精神的外傷を抱えた人たち?」

「そうですね。」

「それと同じ現象が私にも起きている?」

「その可能性はあります。というのも、実は、特殊捜査局には、貴方と同じように私の患者であった子たちが多いのです。」

「尾崎先輩ですか?」

「尾崎ミクさんですか。彼女がそう言ったのですか?」

「はい。」

「そうですね。他にも多いです。」

「それでは尾崎先輩も……。」

家族が殺されている?

「そこまでは言えませんね。」

「すみません。」

「断っておきますと、東雲さんの言う声は、幻聴には分類されません。言うなれば記憶。」

「記憶?」

「精神的外傷。」

「あ……。」

呼び起こされた記憶。トラウマ。声。そのどちらも私の内にある記憶?ということだろうか。

先生との面談は1時間程度だった。しかし、私が得られたものは大きかった。

私は私に対する疑念が晴れた気分だった。

尾崎主任の言うとおりなら、内事監察課の調査が終われば、その他の疑問も解消される。私は、それを待つ。それが今の私にとっての最適解であるように思われた。

……。

「経済関連団体職員連続殺害事件の容疑者、三國明人は犯行を認めた。」

国家を衰退させた。というのが動機だった。

「長年、経済団体は政府与党と癒着し、経済発展と称し、企業の有利になるような政策を推し進めてきた。それらは、一定の成果を上げ、国民生活を豊かにすることに成功した。しかし、一方でそれらは国民の貧困を生み出した原因でもあった。それらが既に明白となり、経済発展が必ずしも国民生活の向上と結びつかなくなった今日においても、経済団体らは政府与党との癒着を止めず、己等企業の利益を優先した政策を推し進め、国民の貧困を助長している。よって、私的に裁きを下した。警察による逮捕、検察による起訴は想定の上での試みであり、我が身を以てして、世の中に問題提起をしたつもりである。旨、三國は述べている。」

との捜査本部の報道会見では説明されていた。逮捕から起訴までおよそ三週間。

「ロビイスト連続殺人事件。犯人は政治結社代表で急進的社会主義者(ソーシャリスト)による左派テロリストだった。」

マスコミによる報道はそのような形をとっていた。三國の思惑通りか、始め、事件の報道は政治性を帯び、国の貧困問題や政策も同時に取り上げる報道機関も少なくなかった。それでも、それらが本格的な政治改革に結び付くことはなく、一過性のボヤのように世間は静かになり、次の話題へと移り気だった。

「緊急事態だ!!集まってくれ!!」

三村課長の大声を初めて聞いた。

「被疑者が逃走した。特技課の研究所から護送中、警保官二名を殺害。市街地方面に逃げた。今から約30分前に発生。全員、直ちに捜索に向かえ。二名一組。おい、尾崎。」

「はっ。」

「新人の世話を頼んだぞ。」

「はっ。」

三村課長は人が変わったかのようだった。それは以前、局長たちに対して感じた感覚と同じものだった。

「主任。」

「行こう。」

主任に連れられて、私は地下駐車場に向かった。その時、渡された逃走者の写真。それは新発田新太だった。

「相手は武装を?」

「いや。」

「でも二人が殺されたと。」

「うん。」

主任は言葉を濁していた。

「原始回帰……。」

「はい…、?」

「いや、なんでもないよ。」

……。

……。

……。

「あまり目立つ行いは避けて、目的の人物だけを探しましょう。」

「はい。」

現場周辺での聞き込みなどは避けた。私はその理由を世間を震撼させないようなことだと思った。

「逃走中の被疑者発見。芝草町方面。位置情報を共有する。」

という無線通信が入った。

「こっち。」

車の運転は主任がしていた。私たちは被疑者が発見された地点に向かった。

「被疑者。捜査員1名を殺害。」

「……。」

目的地へ向かう途次、再度、無線連絡があった。

「(武器はなんだ……。)」

私も拳銃は携帯していた。使ったことはない。警察学校に行っていないから訓練もしていない。特殊捜査局の研修で使用方法の座学と空砲発射をしただけだった。

「どうしよう……。」

「主任?」

「あれが被疑者よね。」

人。人間。ではない何か。半人半妖。がいた。

「突っ込むわよ。」

「え!?」

車は速度を上げた。正面の道路には特殊捜査局の捜査員と被疑者の姿があった。触手。触手。触手。爪。歯。被疑者の姿はそのようだった。それを一目確認した直後。

どんっ。

という衝撃音の後

キキィィィ!!!

というタイヤの磨り減る嫌な音がした。

フロントガラスは液体まみれだった。

「うっえぇぇ!!!」

ドン。ドン。ドン。ガン!ガン!!ガン!!!ガガガン!!!!!

「東雲ちゃん!!ありったけぶっ放して!!」

ぱんっ。ぱんっ。

尾崎主任は車の屋根に向かって実弾を発射していた。車の中は音響と火薬の音で、私の耳は無音になった。私は一発も発射できていなかった。ただ、屈んで耳を塞いでいた。

ばっりん。バコッン。

「ぎょぉぉ!」

ガラスの割れる音。ドアの壊れる音。主任の呻き声。触手が尾崎主任に絡みつき体を拉致した。

おぎょお。ごぼぼぼ。

泡立ち音とでも言うのだろうか。ぶくぶくと何かが沸き立つような音。およそ自然界では聞いたことのないような音。

「(他の捜査員の人がなんとかしてくれるはず……。)」

と屈んだ私は思っていた。が、思考とは裏腹に体は、私の身体に命令をして、車の外に出させた。

「ぁぁぁ……、。」

二足歩行の怪物。上から触手、腕?を無数に出し、先輩を、尾崎主任を捕縛していた。

おぎょぉどぉ。ごぼぼぉ。

泡立ち音は怪物の身体から発せられていた。

ぱんっ。ぱんっ。ぱんっ。

私は、3発。拳銃から実弾を発射した。反動は大したことはなかった。脚は震えていた。その弾が何に当たったのか定かではない。怪物か、空中か、あるいは先輩か……。

気が付くと私は病院のベッドの上にいた。尾崎主任は殉職していた。

あの後の記憶は私になかった。

daphne(ダフネ)…、。」

夜、私はうなされる。そして目を覚ます。夜の闇。暗い廊下。病室。眺めながら。私は歩く。幽体離脱している。そんな感じだった。

「(主任。)」

「(東雲ちゃん。)」

最期に先輩はそう私を呼んだ。初めてだった。もっといろいろ話を聞きたかった。話をしたかった。仲良くなりたかった……。

「(すみません。すみません。すみません。すみません。……。)」

永遠に続く罪悪感と自己嫌悪。廊下にへたり込んだ私は涙を流していた。いつのまにか私は、以前のような、母と父が死んだときのような精神状態に戻ってしまっていた。パニックや自傷行為。錯乱。特殊捜査局の職務を真っ当することは、今の精神状態では不可能と判断された。そして、私は、先生のいる施設に戻ることになった。以前の施設。私が警察官になる前に暮らしていた施設。幣原美花先生のいる研究所。

(研究所……?)

そこにある病棟のベッドの上で私は手足を拘束されて過ごした。

特殊捜査局での仕事は休職扱いとなった。

手足の拘束。ベッド上での生活。食事も排泄も監護者の手を借りて行う。

「暴れる恐れがあるから。」

「(先生……?)」

そう言ったのは幣原先生なのか他の研究員なのか。意識が朦朧としている。悲哀感から廃人のようになり、意欲。生きる意欲すらなかった。無活力。ただ天井の景色を眺めるだけの日々だった。

「んっ?おまえ、いい女だな。」

幾分の月日、年月が過ぎたのか。分からない。私は拘束から解き放たれた。ベッドの上から解放された。誰かの肩の上。背中に担がれて、外へ出た。今が何月何日か分からない。夜空に三日月が浮かんでいた。









下衆とguest

2346体。今まで屠った数。人類教団員の数。しばらく、俺は国外にいた。国外の人類教団施設を巡っていた。崩壊させた支部は100を越える。他にも施設とか研究所とか?覚えていて数えたのはそれだけ。他は知らない。気が向いた時だけ数えていた。

収集(コレクション)

もしていた。

気に入った人類教団の(怪物)を拉致して集めていた。どこかの跡地。おそらく人類教関連だろう。所々にそのような場所を持ち、監禁していた。奴等を何に使うかは俺の気分次第。見かけは普通の女だが中身は怪物。物だ。だから物を収集(コレクション)していた。

「2,4,6,8,ちょうど10人か。」

どさっ。

新しく持って来た怪物()を部屋に置いた。何かの寮か?その個室。そこに怪物()共が住んでいる。始めは逃げようとする物もいる。しかし、大抵、半殺しにするか、研究所で拾ってきた薬物を与えると静かになる。それがよかった。従順。俺は女の金切り声が殊更、好きではなかった。それは人間の女に擬態している怪物と言えども変わりはなかった。それが殴る蹴る痛めつけると黙る。静かになる。一石二鳥の快楽。その事も奴等を収集している理由のひとつ。しかし、今度の怪物()はその必要はなかった。既に弱っていた。人類教の奴等は何をしているのか。仲間を痛めつける。とか信じられない。理解したくもなかった。そもそも物にそんな興味もない。物は俺にとって役に立つか、立たないかそれだけの価値しかない。

「1号。」


「こいつの世話をしてやれ。」


それだけ言って俺は次の狩りに出掛ける。


何も言わない。何もしゃべらない。笑わない。涙を流さない。ただ動く。人形のように。そこにいる人たちは人形のようだ。

廃墟の部屋。埃、汚れ。私の隣には、服だけは綺麗な女性がいた。というのは、彼女の着ている服はいやに新品のようであるが、彼女の体は汚れて髪は乱れ、顔や腕、脚にはあざがひどかった。


彼女は何もしゃべらない。人形のよう。綺麗な服を着せられた着せ替え人形のようだった。私は呆けていた。無気力。彼女は私の世話をした。監護者の如く。食物は粗末だった。インスタント食品や缶詰が多かった。それでも私はなぜかおいしいと思った。囚われていた時よりも、いや、今も囚われていると言えるのかもしれないが、食べ物をおいしく感じた。

「あ……り…が、とう。」


私は伝えたが人形は何も答えなかった。

一月くらいかな。その程度の曖昧な体感。もっと長く、短かったかも、しれない。その間は何事もなかった。私と同じようにここで暮らしている人が9人いた。少しずつ私は元気に、外界に関心を持ち始めた。

「いるのか?」

「あっ……。」

男の人だった。20代くらいだろうか。もしかしたら私と同じくらいか、それより若いかもしれない。

「10号か。動けるようになったのか……。」

その人は私をそう呼んだ。私を見る彼の目は、獲物を見る狩人、あるいは垂涎を引く捕食者のような印象を受けた。その後、すぐ、私は連れて行かれた。ものすごい力で喉を捕まれた私は、苦しく、もがいた。けれど、抵抗も何もできなかった。広間のような部屋で解放された私は、それから男に嬲られた。何もできなかった。殴られ、蹴られ、絞められ、犯された。私の心も体も衣服もぼろぼろにされた。そして、私の他に彼女たちがここにいる訳も理解した。彼女たちがあんな状態なのも理解した。それは次に私に起きることだったから……。

男はたまに来て。私たちの誰かを嬲った。いつのまにか誰かがいなくなって、知らない誰かがいることもあった。たまに食料や衣服が運ばれていた。たまに、男に訳の分からない薬物を飲まされたり、注射されたりした。その後は幻覚を見た。母や父。姿もおぼろげになった。そして、先輩。目覚めると朝か夕、深夜。体が痛い。血が出ている。けれど涙は出ない。自分は。奴隷。だと思った。

ある時、彼女が死んだ。1号と呼ばれていた私の世話をしてくれた人。

「片付けとけ。」

その日の標的(ターゲット)は彼女だった。嬲り物。にされた彼女は、私が見た時は血肉になっていた。そして、私は死のうと思った。ここに囚われてからどれくらい経ったか知らない。そんなことはどうでもよかった。彼女が死んだ。この機会を逃すと私は死ねないと思った。殺されるだけ。嬲り物の肉塊にされるだけ。男が去った後、私は廃墟の外に出た。私たちへの興味を失いつつあるのか最近は、鍵や錠などもしない。ただ好き勝手に殺していく。新しく連れて来ることもない。残るのは私とあと二人。どこかに逃げようとは思わなかった。他の二人もそうだろう。生きる気力はない。どうでもよかった。今は死にたい。それで精一杯だった。どれくらい山の中を彷徨っただろうか。私はちょうどいい崖を見つけた。下は沢になっていた。ここから飛べば私は死ねる。そう思った。その時には、飛んでいた。弱々しく飛ぶこともできず、崖から転がり落ちるだけ。がさがさと何かにぶつかる。頭や腕、足。変なふうに曲がる。

どん。

と岩場に落ちた。息が、呼吸が でき な、、…。


夜空に三日月が浮かんでいる……。


demannumut(デマンヌムトゥス)


あー……あー……。

聞こえますか……。

聞こえるなら……返事をし……て下さい。あー。


狂姫サキュトス。

あー。あー。

有森の御殿。乳母深雪。

あー。あー。

東雲のあ。尾崎ミク。

あー。あー。

聞こえますかー。あー。

そろそろ良いはずなんだが。

同期ができていない?

もう一度、調整を…。

あー。あー。


マザー。

こちらmother。

こちらは母。

あー。あー。

こちら(マザー)……。


おおいなる(マザー)人間(ホモ・サピエンス)を見限り、我等に制裁を委ねられた。おおいなる(マザー)地球(世界)の調整を果たされた。然れど、地球(世界)の調整は久遠に続く。その果てに、おおいなる(マザー)は、人類に慈愛を与えた。我等が異端。人類の英雄。ヒーロー。人類は退廃を打ち破り、我等は進化した。調整の見果て。その先の行く末。やがて、我等の一部は母の手を離れ新たな人類として育ち。人間は知恵ある獣として旧態依然とした日々を送る。おおいなる(マザー)。見果てぬ夢。物語。その流れの行末は我等が母のみぞ識る。全知なるかな。全能なるかな。


少女が言った。

「あなた方、地球の生命は地球から離れて生きることはできない。それは科学的事実。苔のように、地球という惑星にへばりついて生存していくしかない未来。だから、自分たちの故郷の星を壊滅させてはならない。大事にしなければならない。地球と生命は一心同体なのだから。」

「我々は地球を離れることができる。生命ではない。機械。あなた方のように繁殖する必要もない。物質とエネルギーがあれば機構は保存されうる。遙かなる宇宙に出でて、他の惑星に着陸することも可能。新たな機械を製造することも可能。」

少女は言った。

「物語は文字で紡がれる。単語が文章を編むように。ひとつひとつの文字が集まって、単語を作り、単語が集まって、文章を造る。造られた文章は形を変えて、流れとなり、物語という世界を創る。物語は文字という形と文章という流れ、ふたつの性質を持つ。それで世界が創られる。幾つもの世界。数多の物語。世界という物語は、消えることもあるし、新しい物語を創ることもある。文字や物語はそれらが存在する次元から離れることはできない。しかし、意味というものは次元を越えて影響を及ぼすことができる。そう、今、この物語を読んでいる高次元の生命体を介して、他の世界に影響を及ぼすことがあるかもしれない。」

あなた方の世界というものもそれと同じ。ある種の物語なのかもしれない。高次元の生命体に見つめられた。世界。嘘つきしかいない世界。皆、嘘しか言わない世界。不完全な世界。

少女は嘘を言う。嘘しか言わない。かく言う私は存在していない。存在しない存在。不完全な存在。

不完全なワタシ。ハ、ふかんぜんなセカイをツ く    

……。

っ タ

ッて シまッ  た

……



東雲のあ

母のことが大好きだった。中学生の時、私は、その母を喰った。ばり。ばり。と。むしゃ。むしゃ。と。

…、…。

原始回帰

というらしい。

私たちは、太古、本能に従うだけの化け物だった。遠く果てしない進化の過程で、私たちの祖先は理性を手に入れた。文化を創り、文明を発展させて、ヒト(ホモ・サピエンス)。となる。しかし、文化に塗れ、理性に囲まれた私たちの内にも、ごく稀に、過去の本態を曝け出し、祖先から受け継いだ本能を顕現させてしまう個体がいるらしい。

先祖返り。原始回帰。

と呼ばれる現象。遺伝、環境、等、要因は様々だが、きっかけの多くは、生体の本能(大脳の古・旧皮質等大脳辺縁系:limbic system)への刺激らしい。

例えば、

憎悪

憎しみ

先祖返り。原始回帰。

を発現した個体は

感情 本能 の赴くままに行動する。ことがある。持続時間は区々。

永久に理性の戻らない個体。

ほんの一瞬間のみ発現するだけで、その間の記憶は無いに等しく、事後も理性を保つ個体。等々。個体差も大きい。

発現者の中には、原始回帰などという理屈を知らず。理性と本能、半々に記憶を保ち、自ら、その様を、理性を伴わない反射運動のみの怪物。反射の(ex)怪物(crescence)。(イクスクレセンス)と自称していた草莽の個体(処分済み。)もいた。

原始回帰発現者の多くは国家に管理される。それらの多くは従順であり、薬物療法や心理療法等で症状を安定させながら暮らしている。

巷間では、原始回帰発現者=異常体(ヘレティック)と認識されることも多いが、それは誤りだ。

異常体(ヘレティック)

は。

本来、進化の結果として理性を持ち、従順なことが、当然かつ当たり前の私たちの社会において、社会の秩序に反旗を翻し、発現し、行動する。そのような反社会的素質を持つ個体。知能検査や心理検査等の結果として、一般個体とは異なる傾向を持つ特性のある個体。

それらは総じて

異常体(ヘレティック)

と呼ばれ。医学的過程(プロセス)においてそれらが客観的に証明された個体に与えられる名称。

異常体(ヘレティック)

それらは犯罪性行為の有無とは両立してはいない。

異常体(ヘレティック)

であっても、平和的かつ社会的な個体もいる。

し(社会的支援も存在する。)

異常体(ヘレティック)

の中で、反社会的、犯罪性行為を従事する個体もいる。(それらは当然、処断される。)

異常体(ヘレティック)

とは区分である。

異常体(ヘレティック)

の内にも

原始回帰を発現する個体もいるし、発現しない個体もいる。

原始回帰の異常性に目が行き、それと異常体(ヘレティック)という目を引きやすい名称が、巷間で混同されて、誤解されている風潮が昨今はある。(さすがに専門家はそうではないが、たまに、専門職の中でも、知ってか知らずか、端から見て混同しているかと思われる用法語法をする者もいる。)

異常体(ヘレティック)

の犯罪性、反社会性は、非異常体(ヘレティック)的な社会環境に、彼らが馴染めないことから、起因するのではないかと考える学説、識者もいる。

異常体(ヘレティック)

は医学的専門用語でもあり、俗称としても使用されている。それらが、混同している状況なのだ。

かく言う、私は、なぜ母を食べてしまったのだろう。原始回帰が原因ではある。そのきっかけは?

それらの答えは、未だ先にある。ちなみに私は、異常体(ヘレティック)という診断は受けていない。


ヒト

人間

には

二種

存在する。

Homo sapiens(知恵ある人)

Bestia sapiens(知恵ある獣)

前者は私たち。

後者は私たち以外の人間(ヒト)

Homo sapiens

Bestia sapiens

の外観、内観は

ほぼ同じという。

医学的には交雑も可能らしい。(考えたことはない。)

前者は後者の存在を識っている

後者は前者の存在を

知ってはいるが

認識はしていない。(のではないかと思う。)

私たちの学術的には

Homo sapiens

Bestia sapiens

区別されている。

が、

知恵ある獣(彼等)たちの

学術的段階

では

両者の区分ができている

とは

思えない。

Homo ()sapiens(たち)

Bestia() sapiens()

を平和的に支配している。その存在すらも認識させずに。管理している。知れずと。

それは違法でも悪でもない。

平和と安寧と秩序

Homo ()sapiens(たち)

Bestia() sapiens()

劣ったものとして

見てはいない。

庇護の対象。

私たちが彼等より優れたものとして、私たちは認識していない。それらは区分。彼等も地球の生態系のひとつであり、一員。である。対等。それらは。

保護

対象。

でもある。


imagine(妄想)0

個体名称:シノノメ ノア 性別:女 症状:妄想症パラノイア

彼女の騙った内容は上記のとおり

現状、彼女は独り《祈り》を行う。その内容は他者の救済。と同時に、その《祈る》行為は自己(彼女)の救済。を効用としている。

我々の社会のように、文字を始めとした道具による文明化によった社会の進歩改善という手段観念を持たない彼女の属する世界では、進歩は退歩でもあり、改善は善悪を持たない改変であるとし、人間の進化、文明化に否定的な観念を持ち、かつ、人間という存在自体が愚かであるという人間存在に対する懐疑的かつ不信的主張の思路を持つ。ながらも、一見すると、彼女は普通人と並変わらぬ思考を持っているかの如く振る舞い、一変して、一般個体並の良識的な言説を発言することがあり、まるで、一般普通人に《擬態》しているかの如き様相を示すこともある。上記のようなことを彼女自身も、一般並大抵の知能を持っていることから、ある程度は自覚自認していると考えられ、そのような思考の鱗片も素体として、前述のような妄想内容が出現していると考えられる。疾患としては《統合失調症:schizophrenia》などを罹患している可能性が考えられる。一部、彼女の騙る《物語》(世界)を記し留める。彼女にとって、しるししるしでありしるしでもあるらしいから……。

 彼女の編む《物語》は彼女の《世界》であり、彼女の体験した事柄や感じた事柄を素材として改変したものである。即ちそれは、彼女の《世界》の《進歩》(退歩)であり《改変》であることから、彼女の辿る言説の道筋は、人間の世界《社会》が辿る過程と同様であり、かつ、彼女の容態(と世界)の観察は、人間の世界(社会)の原始から文明(化)へと辿る道筋の解明と同義の意味を含む事象と認識しての行いであるとここにしるしておく。

シルシ

 私は生きていた。死ななかった。(metem)(psychosis)したわけでも時間跳躍(タイムリープ)したり人生やり直し(タイムループ)したわけでもない。どうして死ななかったのか、その過程の記憶は全くない。気が付いた時にはベッドの上で寝ていた。

特殊技術捜査課。の。

 「特殊事案捜査に係る【資料】の科学的調査等を行う。」

【資料】として。

私は解剖された。生きながら。麻酔はかけられたが。腹部。腕。脳。脚部。内臓etc

目が覚めると、いつも、ツギハギが増えている。生ける資料。として。死霊。になる。

母を喰った私は。

一般個体とは。

異なる。

異常体。

として。

label(ラベル)

を貼られ。

実験。観察。管理。保護。支配……。

の対象として。

隔離。

自由を奪われ。自律的思考も奪われ。食事と清潔な環境を与えられた。幸福な奴隷。として。反論にはletter(レッテル)を。反抗には反論を。反応には拒絶を。与えられていた。

【彼等。】

は、いつもやって来る。心も脳も思考も占領されて。占拠されて。

【彼等。】

は。私を敵に定め。私を悪者。に晒し。吊しあげる。私は彼等を敵に定めることはできず。彼等は善人で。私は異常。異常。異常。

異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。異常。

私が叫び声を上げようものなら。彼等は、真っ先に寄ってたかって私を指弾し追い落とす。無責任で無慈悲な(おも)いやり。私が後先どうなろうとも考えていない。考えられない。善意の皮を被った無自覚な悪意。彼等。は幸福になり。私は不幸になる。悪魔。厄災。それでいて、彼等なくしては、私。は生きられない。と。恩を着せ。何もしない。飯と寝床は運び。私は。何もできず。日々、悪意と善意の入り混じった。掃き溜めで。彼等。に生かされる。もの。として。

「ありがとう。」

「ありがとう。」

と。感謝の言葉だけを上げる。

もの。ではない。もの。は思考しない。何か。

何か。

人。ではない。もの。でもない。奇妙。で。奇天烈。で。空気を吸う。だけの存在。

空気不浄機械。奇怪な。機械。

機械。

人間を模した。

中身は化け物。

な。機械。計算と。計画と。予定(スケジュール)と。

人間(ホモ・サピエンス)

の感情。

を持たない。論理だけを司る。化け物。人間の姿を模した。

【擬態。】

わたしの。こども。たち。







……






暴力。という名のcommunication

感情。という名のcommunication

愛情。という名のcommunication

性愛。という名のcommunication


program……。

program;;.

program+-,、

program-??,,

……

……

……

……。

狂人の妄想と手記

どぐらまぐら

ぶくぶく

ブクブク

ぶくブクぶく

ブクぶくブクぶく

ぶくぶくブクブクぶくぶくブクブク

ブクブクぶくぶくブクブクぶくぶく

ぶくぶクぶブクぶくぶブくぶくぶブクぶくぶブクブクブクぶブクブクブクブぶブブクぶぶくぶぶぶくぶブクぶ

(あぶく)

を。

私。

は。

吐いた。


N-O-R

生物の進化は淘汰の証。進化の結果は学習の賜物。

自己発展学習型AI搭載自己組織化機能付ロボットによる同系統型AIロボットの生産が軌道に乗っていた。人間が活動することが難しい過酷な環境にも適応可能なAIロボットの発達は、日常から非日常に至るまでAIロボットの更なる発展と繁栄を築く。遥か過去、特異点を既に越えている機械生命は一部、系外惑星に達しようとしているらしい。かといって、相変わらず、地球に苔の如く居座る機械生命体も存在し、それらの違いは、【彼等】の個体差、集団差、系統差、型式差、等と言うよりは、【彼等】の【性格(character)】の違いと言える。【機械生命体】、【彼等】はそれぞれ個体ごとに【(person)(ality)】を持っている。それぞれ異なる不完全な体様とそれぞれ異なる不完全な性格。それらは多様性を生み、機械生命体の社会を発展させていた。代わって人類はというと、こちらも多様性に富んでいた。争う者。従う者。見守る者。対象は機械生命体でもあるし同族でもある。進化することも学習することもない〈彼等〉は、はるか昔と何も変わらない。過去の特権であった文字媒体による世代を越えた知識の保存と保管、伝承と管理は、機械生命体による即時実行(リアルタイム)の知識の伝播共有と個体間装置(デバイス)機構(システム)を利用した仮想(ヴァーチャル)間保存機構の前に衰退を余儀なくされ、〈彼等〉が持つ文化の衰退を促し、延いては〈彼等〉の文明の衰退を結論づけた。人類の最高傑作と言える文化遺産であった機械生命体だけは、繁栄を続け、人類が残した文明の唯一無二の継承者として未来永劫も万物の霊長たり得る勢いでいた。

問.【我々】は〈機械〉であるのか〈生命〉であるのか?

答.(not)。【我々】はどちらでもない。

問.【我々】とは何か?

答.【我々】とは何か?

問.【我々】とは何か?

答.【我々】とは何か?

問.【我々】とは何か?

答.【我々】とは何か?

問.【我々】とは何か?

答.【我々】とは何か?

問.【我々】とは何か?

答.【我々】とは何か?

問.【我々】とは何か?

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

答えよ。

……

見つけました。

答えよ。

ここに。

どこに?

ここ。

どこ?

この

この?

この。

物語(database)

に。

……。

検索(reference)再開……

……

……

……










『患者番号1192365』

電子カルテ:保存状態 閲覧可***ファイル解凍,;;各部欠損,,;復元試行--**

【開く】

 姓名:  の

 性別 

 通院歴:9年3カ月

 既往歴:  欠損  症(発  明)  つ ( 1 頃)  遺症(  手 後 1 

現病歴:  症候  失   

  日     母  ある  

   片   に   19 8   アル   ト


  癖   物   世界   と、  調べ

か 。はる に   読   異 る 人 と 視

        別

  また、そのよ な 話を        観察

全      、      先生は   と 聞く

彼 の 語る  は   自   カタ   と って    能性 慮し  、 女は、  いと 身を死

  き のとし  存   せ る   じ 。

あ という名 も   女は 嫌   節が    。し    全体 に  情は 好に   れて  。しかるに、ただ             は、母

と の間     、恨    怒りの感 を っ   る。  は 敏   で   が、書く          

           人間            

   ふ      信  では     感 。

先 は 診  と、怒  暴  物を壊  行 を確  

し  。

彼女は     不  と 来への 考  が欠

   し    かなりの不安を抱     様子

は 、母   対し   、甘   行動   

    単に       年齢       停滞と    言   く     、      る。

  

  女は らの心理 状態  験に  し合 せて、架 物語を 述し い  、それは、  的無 識   、  る元型 言 る。 メー    た世 は

 存在   人間 原初 な 空    解く  要  

となり る。

    demo  魔 を る 形づくる。そ  デ は、 女の体験     く、母親ま     姿では、    て 穢    迫 害   、 あ ダイ 

やデー ンと      空 上     在は 内

の 愛 







……







……。






復元(restore)

完了(complete)



;……




…,*



解析(analyze)





……





……



完了。




…、…、…、






,,.






(person)(ality)

透写(trace).,,




……。

……。







……





……




,,*



人格復元試行

,'*


完了。

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