密室の二人 〜一緒に閉じ込められたのは、クラスで一番カワイイあの子〜
ここは、都内某所にある高校の理科準部室。
俺は今、美少女と名高い清宮さんと二人っきりで、ここに閉じ込められている。
俺の名前は屋良島睦理。
俺はこの名前のせいで、今までの人生でモテた試しが一度もない。
一方の清宮さんは、クラスの男子たちの憧れランキングナンバーワン。
美人であるだけでなく、性格がとても良いと評判の女子だ。
今日、俺と清宮さんは日直だった。
だから、理科室での授業終了後、俺達は先生から教材を準備室に片付けておくよう頼まれたのだ。
無言で片付けを終えた俺達。
それじゃあ、準備室から退出しようかと思ったところ……
鍵が壊れているのか、ドアが開かないのだ。
そんな訳で俺は今、超絶美少女清宮さんと二人きりなんだけど……
おかしい。
なぜか清宮さんが頬を染めているのだ。
清宮さんが恥ずかしそうに口を開いた。
「近くに誰もいないから、思い切って言っちゃおうかな……」
あれ? こ、これはもしかして……
「あのね。私、屋良島くんに、言おうと思ってたことがあるの……」
これは…… ひょっとして、こここ、告白ってヤツなのか!?
「こんなこと私に言われても、嫌な気持ちになるかも知れないけど……」
そんなこと、あるわけないじゃないですか!
「じ、じゃあ、思い切って言うよ!」
お、お願いします!
俺に幸せが訪れると思った、まさにその瞬間!
「おい、準備室の中に誰かいるのか? あれ、なんだ、鍵が壊れてるのか?」
そう言って、ドアノブをガチャガチャ回す理科の先生。
あっ、ドアが開いた。
「おっ、直ったみたいだ。じゃあ、お前達もう自分の教室に帰っていいぞ」
そう言うと、理科の先生はサッサとその場から立ち去った。
テメェー! 余計なことするんじゃネエよ!!!
ああ…… なんか変な空気になっちゃった。
清宮さん、そそくさと準備室から出て行っちゃうし。
しかし!
清宮さんは、まるで意を決したように振り返り、そして俺を見つめて言葉を放った!
「さ、さっきの話の続きだけど、やっぱり思い切って言うね!!!」
なんと! 神はまだ俺を見捨ててはいなかったのか!
改めまして、お願いします!
「や、屋良島くんの…… ズ、ズボンのファスナー、あいてるよ!!!」
そう言うと、清宮さんは顔を赤らめ、ダッシュで俺の前から消えて行った……
ホントだ…… 俺のズボンのチャックが全開だよ。
ハァ…… だから清宮さんは、恥ずかしそうにしてたのか。
清宮さんが走って行った反対の方角を見ると……
理科の先生が爆笑していた。