プロローグ
皆の寝静まる暗い街の中、月の明かりだけで照らされていた。
誰一人、街の中を歩いている者は居ない。
ある者達以外は…。
この世界には、人間と吸血鬼がすんでいる。
二つの生き物が共存する為に、吸血行為は吸血鬼最高級の違法に当たり、直ぐ様処刑される。
ドンッドンッという銃声が静かな暗闇の中に響いている。
1人の少女が2丁の銃を持ち、男に向かって撃っていた。
「ヒヒッお前ハ今デノの人間トは違うナ。早ク、早くオ前の血ヲ飲マセてくレなイカ?ヒヒッ」
ニヤリと不気味に笑う口からは人間とは思えない長い牙を覗かせていた。
飢えた獣の様にその口からは止めどなく唾液が出たままだった。
この男は吸血鬼であり、抑えられない本能により吸血行為をしてしまい、既に理性を失っていた。
「五月蝿い。今すぐ楽にしてやる」
少女が無表情のまま言うと、男の頭を狙い銃を撃った。
男は声にならない悲鳴を上げ、撃たれた頭を抑えた。
「あ、熱い熱イあツイアつイアツい!助ケ…!」
目から涙を流し、少女に手を差し伸べた。
しかしその手を受け取るはずもなく、ただじっと男を見下ろすだけだった。
頭が割れるような激痛が走った瞬間、突然身体から火が出てきて焼け死んだ。
男は真っ黒な灰となり姿形が無くなった。
風が吹き、灰が風と共に飛んで行った。
その場には初めから少女1人しか居なかったように一気に静まり返った。
「…ミッション終了」