第二話 チョコレートとケーキ
「チョコレート、何でもいいですよね?」
「うん。酔ったら、甘いもの欲しくなっちゃって」
男の人は酔うと、好きなものが欲しくなると聞いたことがある。
多分クイズ番組かなんかで。
ということは、甘いものが好きなのかな?
「甘党……ですか?」
「まぁね……でも、フルーツの方が好きなんだけど」
フルーツは結構甘いもの合うもんね。
「今度フルーツタルトでも作りますか?」
お菓子作りはほぼ唯一の趣味兼特技だ。
友達とかにはよく作っている。
「甘めでお願いします……」
「着きましたよ? ちょっとは酔い、落ち着きました?」
「うん。ありがと。じゃあお菓子買って帰ろうか」
本当に大丈夫かな? と思うほどふらふらだけど。
「そうですね。あんまり遅くなると怒られそう」
お菓子を適当に買って帰ることにした。頼まれたおつまみも含めて。
「ただいまぁ」
「あー! 来た来たっ! 買ってきた?」
蒼が駆け寄ってくる。
「うん。こんなもんでいいかな?」
買ってきた袋を渡すと、蒼がそこからいくつか取り出した。
「ねぇ、愛葉さぁ。ケーキ焼くんだったらどのくらいで出来る? 材料は基本的にはあるから」
「2時間くらいで出来るんじゃないかな」
生地も簡単になら1時間半ぐらいでできる。
焼いている間に他のものも用意すれば2時間ぐらいでできる。
「じゃあよろしく! 超重要なケーキ忘れてたんだって。ありえなくない?」
ふてくされたように言う。ぶつぶつ文句を言いながらも楽しんでるみたい。
「はいはい。じゃあ、キッチン借りるね」
「ごめん。よろしくねっ」
キッチンを勝手にあさり、必要最低限のものを出す。
いや、勝手にってわけじゃないんだけど。
「っと。これでOKかな。あとはデコレーションすれば……」
「愛葉ちゃん?」
和希さんがいきなりキッチンに来たのでびっくりしてしまった。
ギリギリで指を切らずに済んだ。包丁で切ったら痛い……
「あっ、ごめん。脅かした?」
「大丈夫ですよ。もうすぐできます」
ケーキのデコレーションはあと苺をのせて完成だ。
「蒼?切り分けちゃっていい?」
すぐに返事は返ってきた。ただし、悠真さんから。
「いいぉー!」
いいや。切っちゃおう。と思い、人数分に切り分ける。
念のため上のフルーツは同じくらいの量になるように気をつけながら。
「はい。できたよ。飲み物は自分で考えてください」
「あーい!いたらきまぁす」
泥酔している悠真さんと陸さんはすぐに食べ始めた。
蒼は飲み物を取りに行き、和希さんはケーキを眺めていた。
「食べないんですか?」
「食べるよ。すごい上手いから写真でも撮っとこうかなって思ってたんだ」
お世辞でもそんなことを言われればだれだってうれしくなる。
「やめてください。そんなに上手くないです。早く食べちゃった方がいいですよ。悠真さん人のにまで手ぇ出しますから」
これは本当だ。事実ドーナツの3分の1は食べられたことがある。
「そっか。十分上手いと思うんだけど……タルト楽しみだな」
さっきの約束は覚えてるらしいので、作るのは確定だな。
他の人のもあった方がいいかな?
「わかりました。楽しみにしててもいいですけど、変でも知りませんよ?」
「大丈夫だよ!愛葉超上手いもん!ねぇ?」
蒼が話に突っ込んでくる。
「あ!蒼の残ってる!もらっ「ダメ!」
「和希さんも食べた方がいいですよ?ああなります」
「うん。これは急いだ方がよさそうだな」
って感じで、ケーキを食べ終わったころ……
「じゃあ王様ゲーム!!」
「はぁ?何考えてんの?あたしはやんないから!」
兄弟げんかが始まった。
「まあまあ。いいじゃん?せっかくのクリスマスだし。ね?」
止めたのは、和希さんだった。
蒼は納得いかないみたいだけど、結局やることになった。