第7話
……今日は、疲れたな。ルームメイトになった先輩は、とってもいい人で、逆に怖いくらいだけど。それでも、誰かと一緒の時間を過ごすのは、思ったより、心に負荷をかけるみたい。
ご飯を食べるついでに洗濯も付き合ってくれて、さすがに出るタイミングまでは違ったけど、お風呂も一緒に入ってくれて。さすがに、一緒にいすぎかな。一緒にいなかった時のほうを数えたほうが早いかもってくらい。
「おやすみ、一華ちゃん」
「おやすみなさい、先輩」
疲れただろうからって、洗面台も先に使わせてくれて、待たないでベッドに入ることも許してくれる。至れり尽くせりすぎて、しばらくしたら取って食べられるんじゃないかって、ありもしない想像が頭に浮かぶほど。
午前中にお昼寝したけど、いい感じに落ちれそうな眠気が頭の奥にかかる。
「明日、何時くらいに起きたい?」
「ん……、じゃあ、九時くらい、かな。……多分、寝てるけど」
いくらでも寝てられそうだし、昨日までは平気で昼くらいまで寝てた。新学期までに、ちょっとは朝に起きるの慣れないとな。それに、いくら何でもそれくらいまで寝てるとこを見せるのは、何となく恥ずかしいような。
「わかった、いろいろ慣れたいもんね」
「そういうこと。……じゃあ」
「わたしも休みだとついつい寝ちゃうからなぁ、起こせなかったらごめんね?」
「……ありがと、でも無理に起こそうとしなくていいから、多分寝てるし」
「ふふ、今日はお疲れ様だもんね、……わたしももう寝ちゃおっかな」
相変わらずゆったりした声に、あくびが混ざる。良くも悪くも、先輩っぽくないな。……優しいとこ以外は。
寝っ転がったままメッセージだけチェックして、……やっぱり、何もない。そういや、先輩とはまだ繋がってなかったっけな。……まあ、いっか。しばらくは、多分一緒にいるだろうし。
「電気、どれくらい点けとく?」
「あ、先輩に合わせいいから、……あたし、あんま気にならないから」
「そう?じゃあ、豆電球だけにしちゃうね?」
「うん、わかった」
家だと全部消してたけど、カーテン開けたまま昼寝とか普通だったし、何とかなるでしょ、きっと。お布団も、ちょっと昼寝では使ったけど、その時には結構合いそうな感じだったし。多分、先輩がベッドメイクしたんだろうな。だったら、こんなフカフカなのも、何となく納得がいく。
電気も消されて、豆電球の暗いオレンジの光だけ。
「じゃあ、わたしもおやすみー……」
「うん、おやすみ、先輩」
やっぱり、なんか落ち着く。もう寝ちゃおう。そう思った瞬間には、力は全部抜けてた。