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若き野原に華は舞う。  作者: しっちぃ
1.若き野原に華は舞う。
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第14話

 分からないな。ずっと。心の中にある何か。他人に興味を持つ方じゃなかったし、今だってそう。クラスメイトの顔とか半分も覚えてないし、写真部も入ったきり部室にも行ってない。今もまだ月のものが過ぎてるわけじゃないけど、ただ、単純に面倒だから。

 部屋で一人だけの時間、ちょっと珍しいや。先輩の部活もそんなにあるわけじゃないし、帰ってきたら、だいたいおんなじとこにいるから。一緒にいないときの方を探したほうが、ずっと早いや。トイレとか、先輩が飲み物作りに行くとか、洗濯物干しに行くとか、……それくらいかな、たぶん。ご飯もお風呂も一緒だし、先輩が行くからって、談話室とか買い物とかにも付いてっちゃう。めんどくさがりだから、何かきっかけがないと動けないのもいるけど、絶対、先輩も付いてくるか訊いてくるの、何でだろ。

 ……それに、あたしだって、なんなのこれ。先輩のこと、ふとした瞬間に頭に浮かんじゃって。一緒にいる時間が長いせいって言っても、じゃあ、家だと家族のことばっかり考えてるかっていうと、そんなことにはならないって。あたしの動く理由も、大体先輩のせいになっちゃってる気がするし。乱されてる、いろいろ。

 

「ただいまー、いる?」

「おかえり、今日も長かったね」


 進めなきゃって出したノートは、ペンをくるくる回してたときので、行く当てのない線がたくさんできちゃってる。今のあたしみたい。同じとこ、何度も、ぐるぐる、ぐるぐる。どうしちゃったんだろ、普段から飽き性といえばそうだけど、それにしたって今日は何かおかしくなってる。たぶん、人間でみたら大分まともな方に行ってる、とは思うんだけど。

 

「うん、あそこ楽しくてさ、下校時間になるまで帰れないよ」

「そう、……ならよかったじゃん」

「うん、一華ちゃんも、……って、ちょっと騒がしすぎるとこかも」

「じゃあいいかな、たぶん、あたしじゃノリについてけなさそうかも」

 

 そうは言うけど、いつも一緒にって誘ってるくせに、どうしてここは止めちゃうのかな。訊けないから、また無意味にノートにできた線が増えてく。何だろ、これ。知らない。わかんないや。こんなんじゃ、なんもできない。いつも、なんとなくで過ごしてる頭、今はもっとだめになっちゃってる。あたしと雰囲気似てるって思ってるけど、もっと明るいノリとか、平気でついてけるんだ。


「まぁねー、基本みんなはしゃぎがちだし」

「じゃあいっか、……茶道とか、全然触れたことないし」


 何、こんな気持ちどうしてかも、なんなのかも、つかめない。こんな気持ち、知らないから。つまみ食いした知識で、一番近いのって、……思い当たるもの、ないわけじゃない。……けど。

 ……無いない、そんなの。あたしが、誰かに恋するなんて。 

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