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若き野原に華は舞う。  作者: しっちぃ
1.若き野原に華は舞う。
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第11話

 胸の中に湧いた気持ちを押しつぶして、朝ご飯、どうしようか考える。先輩の好きなもの、……そんなの、知ってるわけないや。しょうがないか。結構前から一緒にいたような気がするけど、昨日出会ったばかりだったし。


「食材は寮の利用費に入ってるから、ある程度はあるんだけどね……」

「そんなんだ、……先輩は、なんか食べたいのあったりするの?」

「うーん、……あんまりがっつりって気分じゃないし、でも面倒なのはちょっとなぁ……」

「サンドイッチとかは?切って塗って挟むくらいでそんなに手間かからないはずだし」


 テキトーに言っただけだし、あたしが好きなものってだけ。……でも、案外よかったかも。具材なら好きに選べるから、好き嫌いあってもそんなに影響ないし。


「それもいいね、……そういうのに合う具材もあるはずだし、冷蔵庫探すね?」

「……先輩は、なんか好きな食べ物とかあったりする?パスタは聞いたけど」

「パスタ以外かぁ……、あんまり好き嫌いないんだよね、……一華ちゃんは何かある?」

「うーん、あたしもそんなに無いな。……あ、でもサンドイッチは好きかな、そんな気にしなくても食べれるし」


 スマホいじったり、テレビ見たりで、結局味とかそんなに気にしてなかったな。本当にめんどくさいときは、ゼリータイプのとかで済ませちゃうときとかもあるし。

 ……にしても、らしくないな、あたし。先輩と会ってから、ずっと。他の人に、興味とかそんなに持たなかったのに。


「そうなんだ、なら、一華ちゃんが好きな具にしよっかな。何かある?」

「うーん……、一番だとたまごサンドかな。でも作るの面倒だしやめたほうがいいよ」

「だね……、じゃあハムと……、野菜室にレタスあるし、それにしよっか」

「うん、それならいいかも」


 8枚切りのパンとマーガリンも出して、空いてる調理台に。まな板も置いて、準備は出来てる。


「一華ちゃん、お金渡すから、ミルクティー買ってきてくれない?その間に作ってるね」

「ん、分かった。……ミルクティー、好きなんだ。昨日も飲んでたけど」

「まあね、……ごめん、お願いね?」

「いいよ、それくらい。あたしも何か買ってくるし」


 探り合いしてるみたいな会話から、ポケットから出される桜色の、ちょっとだけ膨らんだ財布。小銭入れから150円を渡されて、その場から出る。

 ……本当に、あたしらしくないな。先輩といるときは。別に、一緒にいて緊張するとかじゃないし。

 でもまあ、同じ部屋で過ごす関係だし、それなりには、仲良くしたい、のかな。ギクシャクすると過ごしづらいし。……だから、たぶんそういうこと。それ以外の理由なんて、あるわけないし。

 

「ありがとー、できたけど、一華ちゃんも食べる?」

「あ……うん。」


 差し出されたサンドイッチは、なんかぐちゃっとしたような感じ。こんなとこも、ちょっと弱いんだ。そういうの、知ってくほど、なんか落ち着く。

 でも、食べると、何か、思ったよりおいしい。……昨日のお昼から、なぜかずっと。

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