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若き野原に華は舞う。  作者: しっちぃ
1.若き野原に華は舞う。
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第9話

 食堂に行くと、まだ券売機で買ってる人がいるから、いつもより早い朝ごはん、まだ体は起きてないのか、いつもより食欲はないけど、何か食べとかないと動けなくなるから。目についたハムサンドとヨーグルトがセットになってたのを頼んで、空いてた席でのんびり食べ進める。

 食堂が閉まるギリギリで食べ終わって、もうほとんど誰もいない。昨日もちょっとは見たけど、寮の中も覗いてみようかな。食堂を出てすぐに、家庭科の調理室みたいな部屋を見つける。共用キッチンって言ってたっけ。中を覗いてみると、ぽつぽつと料理を作ってる人が見える。あたしも、休みの日はここにお世話になるんだろうな。料理なんてそんな作んないし、先輩と一緒にだろうけど。

 あと一階にあるのは、昨日行ったランドリー室とお風呂くらいしかないや。各階に談話室とか給湯室もあるし、そっちにも寄ってみるかな。さすがに、自分と関係ないとこはあんまり寄りたくない。昨日会った同学年の人たちに出くわしても、あたしが気づけないし。

 給湯室はポットと流しと大きなゴミ箱くらいで、見るとこもないかな。談話室はちゃんと見たことなかったけど、テレビもあるし、自販機とかテーブルもけっこうある。基本的に部屋からはそんな出なさそうだけど、飲み物買うならこっちでもいいかな。昨日飲んだ炭酸のりんごジュースもあるし、こっちにはちょくちょく寄るかも。


 寮の中を軽く散歩してたら、結構時間が経ってた。それまでに先輩が起きてたら、それはその時、かな。書き置きを残すくらいの頭はあったけど、先輩、優しいから心配しちゃうかも。そんなこと考えながら部屋に入ると、まだ静か。……そんな心配は要らなかったな、まだ寝てる。これなら、休みの日はのんびり寝れそう。そんなレベルで寝てる先輩のほうが、逆に不安になるくらいに。どうしてるんだろう。カーテンが開いてる隙間から、こっちを向きながら寝てるのが見える。掛け布団を抱き枕みたいにして、すぅすぅと寝息を立てて。

 

「……にしても、かわいいなぁ」


 呟いた言葉に、耳を疑う。他に聞いてる人がいない事に、こんなにほっとしたことなんて無い。

 あたしより年上なのに。こんな時間でも寝てる以外は、あたしよりずっとしっかりしてて、優しいのに。なんで、こんな事、……考えちゃってたんだろう。

 まだ、寝足りないせいかな。二度寝にはもう遅いけど、さっきのメモも捨てて、ベッドにごろごろしよ。Wi-Fiも通ってるから、なんか好きな動画でも見ながら。

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