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第13話 氷の華 〜VSゲイリー〜

床でのびる二人を見て、ゲイリーの表情は歪んだ。



「ゴミの分際で四寮の俺らに楯突こうってのか?


いい度胸してんじゃねーか、レベル1のくせによ!」


「いい度胸かどうかわからせてやるよ。


さっさと来い」


「なめやがって……このクソ雑魚が!」



さっきまでの二人とは違い、ゲイリーは一瞬で俺との距離を詰めてきた。


が、この程度のスピード、【魔力感知】を持つ俺にとってはハエが止まる。


またも俺の眼前で、ゲイリーの拳がピタリと止まった。



「っ!?こいつは……っ!?」


「二回も見せてやったろ、学習しろよ」


「こ……のぉあ!?」



ゲイリーを拳ごと吹き飛ばし、寮の外へと放り出した。



「さて、ようやく寮の中がきれいになったな」


「テメー……だが、テメーの魔法はもう見切った。


その見えない魔法、近づかなければ使えねーだろ」


「へぇ、意外とよく見てたな。


で、じゃあお前はどうする?」


「こうすんだよ!」



ゲイリーの両手に魔力が集まる。


その手の中に揺らめく青い炎が現れた。


地面に霜が降りている。


氷の魔法のようだ。



「ククク……残念だったな、五寮の諸君。


おとなしく従ってりゃ月1万で許してやろうと思ってたけどな。


もうやめだ!


男どもは全員死ぬまでこき使ってやる!


女は毎日泣くまで可愛がってやんよ!


後悔しても遅ぇぞ、ゴミ共!!」



「や、やばいって!」「おい、誰かなんとかしろよ!」「もうやだ……どうして……」悲観的な声ばかりが聞こえる。



「泣き叫べ!《アイシクル・ホールド》!」



ゲイリーの足元に叩きつけられた青い炎は、地面を伝って炸裂した。


爆発的に成長した氷柱が無数に拡散し、俺はおろか寮全体を覆い尽くすほどに広がった。



「ククク……ヒャハハ!


こき使うとは言ったがな、テメーは別だレベル1!


俺に楯突いたテメーだけは、グチャグチャになるまでボコって、ボロ雑巾にしてブッ殺してやんよ!」


「それは叶わねぇよ、ゲス野郎」


「……何、だとぉ!?」



はらはらと氷塊が粉となって砕け落ちる。


この程度の魔法、俺の【魔力操作】にかかれば防ぐなんて訳もない。


多少範囲が広かろうと、魔法の一端に触れてさえいれば、その全てに干渉することは容易だ。


砕けた氷塊の魔力を解き、俺の手中へと紡ぎ寄せる。



「ど、どうやって!?


テメーの魔法は近距離で、それも物理的な干渉しかできないはずじゃ!?」


「いつ誰がそんなこと言ったんだよ、妄想たくましいな。


せめてスキルを見抜けるくらい鑑定レベルを上げとけ、雑魚」


「ざ、雑魚……!?


お、俺が、雑魚だと!?」


「お前くらいのやつは入試でもゴマンといたよ。


そいつらのほうが強かったと思うけどな」


「う、そだ……。


俺が、テメーに劣るはずがねーんだ!


テメーごとき、レベル1に!」


「レベルレベルうるせぇな」



俺は手中の魔力の一部を開放した。


それを使い、ゲイリーの体を縛り上げ、地面に叩きつける。


ただし、気絶しない程度に、強く。



「がはぁ!?


か、体が動かねーだと!?」



ゲイリーは魔法と言ったが、これは魔法じゃない。


【魔力操作】によって魔力そのものをコントロールし、物理的な干渉を起こす技術。


ちなみに名前はつけていない。


それくらい、俺にとってはありふれた技術だからだ。



「ば、馬鹿な!


お前の魔法は、至近距離に近づかないと使えないはずじゃ……」


「言ってもねぇことを盲信する。


自信があるのは結構だけどな、少しは自分の弱さを自覚しろ」


「弱くねー、俺は弱くだふぁ!?」



もう一度地面に叩きつけておいた。


うるせぇな、こいつ本当に。



「お前は弱い。


俺は親切だからな、お前に足りないもんを教えてやるよ」



俺は手中の魔力を細い氷の線へと紡ぎ上げ、解き放った。



「品がねぇ」


「く、そおおぉぉああァァ!」



ゲイリーを中心に、大地に氷の大輪が咲いた。



「《ホワイト・アスタリスク》ってところだな。


うん、絶景絶景」



掃除は終わったが、無機質な声は聞こえなかった。

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