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第11話 美少女爆誕

翌日、俺とセシルは学生寮前にいた。


他にも大勢の入寮予定者が集まっている。



「あー、聞こえるかね。


俺はダグラス。


これから君たちが暮らす学生寮の寮長を努める。


気安くダグラスさんと呼んでくれ。


よろしく」



まさかのダグラスだった。


確かに教師らしくないとは思っていたが、かと言って寮長も決して似合っていない。



「さて、早速だが君たちの部屋割を発表しよう」



順に名前が呼ばれ、部屋が伝えられた。


またここで名前が呼ばれなかったらどうしたものかと思ったが、流石に二度目はなかった。


よく聞いていると、一定数相部屋になる学生がいるようだった。


まあ、ここにいるだけでも相当な人数がいる。


全員に一部屋ずつを割り当てることはできなかったのだろう。



「部屋に着いたら各自荷物の確認をしておくように。


制服や教科書など、必要な物は支給してあるからな。


では、解散」



入寮者たちは、それぞれ自分の部屋へと散っていった。



学生寮には全部で5つの棟がある。


そのそれぞれには1から5までの番号が振られており、第一から第五学生寮と呼ぶ。


その内俺は第五学生寮に入ることになった。


セシルも同じ第五学生寮だったのだが、部屋を聞くとなんと俺と同じ部屋だった。



「また一緒だね。


よろしく、レイブン」



白鬼夜行のこともあるし、相部屋になるのは何かと都合がいい。


これはラッキーだ。



俺たちが部屋割の説明を受けたのは第一学生寮前だった。


そこから奥へ第二、第三と連なり、第五学生寮は敷地の一番奥にあった。



「こりゃあまた……」


「すごいね、ここ」



築何十年だかわからない程に古びた木造の建物があった。


これが第五学生寮……本当に寮か?


幽霊屋敷と言われても全く違和感がない。



「やあ……君たちで最後かな?


ようこそ……第五学生寮へ」


「ひっ……!ゆ、幽霊……!」



幽霊かと思うほど生命力の薄い男がぬっと現れた。


頬は痩せこけていてとても学生には見えないし、そもそも生者に見えない。


セシルは俺の袖を掴んで震えている。


こいつ幽霊とか苦手だったのか。



「驚かせてごめんよ……。


僕はこの寮の学生代表をしている高等部三年のメロウさ……。


昔から虚弱体質でこんな見た目だけど……よろしく」


「は、はい……よろしくおねがいします……」



ちゃんと生きている人間だとわかって少しは落ち着いたようだ。


まだ手を離そうとはしないが。



「しかし……君たちも五寮なのか……。


なんとなく……もっと上の寮でもおかしくなさそうな気がするけどね……。


まあ……とりあえず入りなよ。


部屋まで案内するよ」



部屋に着いたときの第一印象は



「狭っ!」



だった。


一人部屋としてもやや狭いくらいの部屋だが、ここに二人か。



「すまないね……。


五寮はどこもこの大きさの部屋しかないんだ……。


荷物は中に置いてあるから……確認しておいてくれ。


それから……新入生に話したいことがあるんだ……。


着替えたら……談話室に来てほしい……」



メロウと別れ、部屋の中を確認する。


広さは入り口から見た印象と変わりなく、中に入ってもなお狭い。


机すらなく、気持ちばかりの収納スペースと布団が二組あるだけだった。


部屋と言うより、就寝スペースって感じだな。


部屋の真ん中には俺とセシル、二人分の支給品が置かれていた。



「……嘆いてもしょうがねぇな。


とりあえず着替えて談話室に行くか」


「そうだね……。


先が思いやられる……」



荷物の中から制服を取り出して着替える。


いつ測ったのか知らないが、サイズはぴったりだった。


うん、なかなかいいんじゃないか。



「レ、レイブン、これ……僕の制服……」


「おう、制服がどうかしたか……ってお前それ、まさか……!?」



俺は目を疑った。


セシルも、自分の身に起きたことを受け止めきれず、呆然としていた。


セシルが手に持っていたそれは、なんと、



女子の制服だった。



「なんで僕の制服女子のなの!?」


「……まあ落ち着け、セシル。


慌てたところで制服が変わるわけじゃない。


制服はそれ以外にはなかったのか?」


「うん、これしかなかった」



なるほど。


ということはたまたま関係ない制服が紛れ込んだわけじゃなく、間違って女子の制服が届けられたわけか。


セシルは一見すると可愛らしい少女のようだが、少年である。


そこに届いた女子の制服。



「それしかないんじゃ仕方ない。


着るしかねぇな」


「嘘でしょ!?僕男だよ!?」


「大丈夫だ。


多分すごく似合う」


「そういうこと言ってるんじゃないんだけど!?


うぅ、しょうがないな……。


着替えるからちょっと向こう向いてて」



背を向けると、セシルが着替え始めた。


まあ、男同士だし別にそこまで気にすることでもないような気もするが、女子の服に着替えるのは流石に恥ずかしいのだろう。


俺の方は全く気にしていない。


していないのだが……今日に限ってなぜか妙に衣擦れの音が耳に残る。



「レイブン……お、終わったよ」



くりっとした大きな瞳、ふわふわとした柔らかな髪、透き通るような白い肌。


恥じらいで染まる頬、上目遣い、もじもじとする可愛らしい仕草。


セシルに促され振り向くと、そこにいたのは完全無欠の美少女だった。



「……っ、ちょっとレイブン!


黙ってないで何とか言ってよ!


恥ずかしいんだから……」


「……はっ!?」



うっかり目を奪われてしまった。


【魔力操作】を持つ俺には魅了は効かないはずだが……。


セシル、何て恐ろしいやつ。



「……セシル」


「う、うん。


どうかな?変じゃない?」



すごくいい。



「すごくいい」


「……っ!いや、そういうこと聞いてるんじゃないんだけど……」


「大丈夫、似合ってるぞ。


どこに出しても恥ずかしくない完璧な美少女だ」


「だから僕男なんだけど……っ」



恥じらいに頬を染める姿は紛れもない美少女のそれだった。

美少女(男)

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