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《 第一の射殺事件 》

      1


七月十三日 午後八時


神奈川県警箱根署では、神奈川県警捜査第一課と本部鑑識課。そして、箱根署刑事課・地域課が参加して、第一回捜査会議がはじまった。


「まず、事件の概要を箱根署刑事課の木下警部補、報告をお願いします。」

と、箱根署刑事課課長の金子慎二警部は、捜査会議の封を切った。


木下警部補は、こう報告した

「はい。本日起きました事件は次の通りになります。午後三時四十分頃、箱根を一人で旅をしていた。佐藤勝盛さん(六十七歳)が、箱根登山電車の強羅駅と彫刻の森駅の間の県道に横たわっていたのが発見されました。当初は、交通事故引き逃げ事件かと思われておりましたが、遺体の状況を確認しましたら胸の辺りに、銃弾の跡があり、射殺されたと断定しました。」


金子警部は

「銃弾は、見つかっていますか?」

「はい。現場で捜索はしましたが銃弾は発見されておりません。現在、佐藤さんのご遺体は、司法解剖に向かっている最中です。体内から発見される可能性があると考えています。司法解剖には、箱根署の清水巡査と本庄巡査が付き添っていますので、解剖が終わり次第、連絡が入る予定になっています。」


金子警部はこう質問した

「通報の状況を教えてください。」

「はい。110番通報で、近くのお店の従業員からの通報でした。」


「通報の内容はどんな感じでしたか?」

「通信指令室から、録音したデータを送ってもらってあります。これから流します。」

と、木下警部補は、言った。




録音されたデータは、こんな内容だった


―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


こちら110番、事件ですか?事故ですか?

お店の前で、人が倒れています。


倒れているのは男性ですか?女性ですか?

 男性です。


お幾つの位の男性ですか?

 60~70歳位の人です。


息はありますか?

 判りません。


救急車も要請しますので、詳しい場所を教えてください。

 はい。箱根の強羅駅と彫刻の森駅の間にある『蕎麦屋 菊水』の前です。道に倒れています。


わかりました。いますぐ、警察官と救急車の手配をしますので、このままそちらで待っていてください。

 はい。わかりました。


お名前教えてください。

 私は、若林正子です。


お蕎麦屋さんの方ですか?

 はい。そうです。


いま、周りに、どなたかいらっしゃいますか?

 観光客はいますが。


みなさんが、この状況を見ていますか?

 何人かは。大半の人は、歩いていますが。


そうですか、ありがとうございます。

手配をしましたので、そろそろ警察官が到着すると思います。警察官に状況をお話していただけますか?

 はい。わかりました。


―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


「これが、すべての内容です。」

と、木下警部補は、報告した。



つづけて、金子警部は、こう確認をした

「入電時間は、午後三時四十分で間違いはないですか?」

 「正確には、午後三時四十六分です。」

と、木下警部補は、答えた。


「初めに臨場した警察官の話は、聞いていますか?」

「はい。最初に到着した警察官の話では、先にも話をした通り、ひき逃げ事件だと思って対応していましたが、ご遺体の確認をしていたところ、銃弾の跡が見つかったため、本署に緊急通報したということです。そして、刑事課が臨場しました。」


「従業員の若林さんが、発見した際の状況を教えてください。」

「若林さんの話によると、お店が午後二時にお昼の営業を終了して、掃除と夕方の支度が一段落して休憩をはじめた頃だったそうです。」


「外に出た理由があったのですか?」

「はいそうです。いつも聞こえる音は、箱根登山電車の音と前の道路を通る自動車とバスの走行音だそうですが。その時は、甲高い音が聞こえたそうです。何かなと思って外に出たら、被害者の佐藤さんが倒れていたそうです。」


「自動車や電車の音ではない音ということですか?」

「そうです。若林さんは、このお店で働いて五年が経つそうですが。いままで聞いたことがない音だったので、外へ出たということでした。」


木下警部補が、いま判っている状況を説明しおわった時に、司法解剖に付き添っていた二人の刑事、清水巡査と本庄巡査が帰ってきた。



 清水巡査は、次のように報告をした

「司法解剖の結果です。死因は、被弾したものによる内蔵破裂と判明しました。」


 金子警部は

「それで、見つかっていない銃弾は、体内にありましたか?」

「はい。銃弾は、体内から発見されました。22口径、弾の直径は5.56mmでした。線状痕も残っていました。」


「銃弾は、何発あったんですか。」

「一発のみです。損傷の跡も一ヶ所のみです。」

  と、清水巡査は、答えた。



神奈川県警捜査第一課10係係長の田辺警部は、少し張った声で

「犯行時間は、第一発見者の若林さんの話から推測して、午後三時四十分ということで、時間を絞ることにする。」

つづけて

「明日からの捜査方針を説明する。各人、持ち場を忘れずに、的確な情報収集をお願いする。日本では稀にみる凶悪事件だ。間違いのない捜査を期待する。」

 捜査第一課10係係長の田辺警部は、自らも奮い立たせるような面持ちで声をかけた。

そして

「捜査方針と振り分けは、安田警部補から説明します。」

「はい。それでは説明します。」

と、安田警部補は、言った。



捜査方針


一、佐藤さんの足取り

       10係 新城泰治巡査部長

       箱根署 鈴木康史巡査部長

二、ご家族への聴取

       10係 酒田新平巡査部長

      箱根署 本庄泰子巡査

三、目撃者探しと鑑識作業

      鑑識課 山辺雄平警部・下田淳巡査部長

      10係 永井淳也巡査・水月菜穂子巡査

      箱根署 木下庄治警部補・清水浩司巡査

四、防犯カメラ映像回収

      10係 安田大輔警部補

      箱根署 松下正義巡査部長・長野康平巡査

          島谷進巡査・青木豊巡査





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