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SKYED7 -リオン編- 上  作者: 九綱 玖須人
戦いに挑む
122/130

戦いに臨む 2

 一年が経った。


 俺がこの国の皇帝になってからだ。


 従って来た者たちには礼を言う。


 だが貴様ら有象無象にかける言葉はない。


 貴様らは俺を独裁者だと言う。


 思いたければ思え。


 貴様らがどう思おうと俺は俺の思うままに生きる。


 だから俺はこの国の皇帝になった。


 貴様らも知っての通り俺はセイドラントの出だ。


 気の置けない風見鶏の裏切り者どもに囲まれて、分不相応にも清廉で在り続けようとした馬鹿な国の王族だった。


 一族の歴史だの、悲願だのと、くだらない。


 力のないものがどれほど正道を語っても己の惨めさを晒すだけにしかならないのだ。


 強くなければならない。


 己の望むものを手に入れるにはな。


 俺にとってセイドラントという国はただの枷にしかならなかった。


 理想を守るだけの力もないあの国では俺は俺の野望を叶えることが出来なかった。


 だから俺はこの国の皇帝になった。


 この国はセイドラントより財も、物も、人も揃っているからだ。


 俺の望みはただ一つだ。


 耳障り、目障りな屑どもが二度と俺に関わってこないようにしたい、ただそれだけだ。


 その過程でどうやら多くの者が死んだらしいが俺にはどうでもいいことだ。


 俺は俺の安寧さえ保てれば、それでいいのだ。


 だが俺一人ではその夢さえ適えることが出来ん。


 どれだけ振り払っても貴様らのように、嫌がらせをしてくる蠅が次から次へと湧いてくるからだ。


 大転進記念祭など、実にくだらないことを思いつくものだ。


 俺に恥をかかせるために死者を利用するとはな。


 弁明は聞かん。


 貴様らの思惑に乗るつもりなどない。


 俺は言いたいことを言いに来た。


 いいか貴様ら、よく聞け。


 貴様らに貴様らの行く末を選ばせてやる。


 現在島嶼へ派兵中の方面軍は撤退させる。


 だがそれは停戦の用意ではない。


 猶予期間だ。


 貴様らが帝国に永劫の忠誠を誓うかどうか、改めて問う。


 十日だけ待つ。


 恭順が早ければ早いほど優遇してやる。


 国家団体、個人問わずだ。


 力を貸せ。


 俺に蠅どもの羽音を聞かせるな。


 俺が出しゃばらずとも済むくらい働け。


 俺の下で正しくあれ。


 そうすれば貴様らの望むものをくれてやろう。


 やりたいことをやらせてやろう。


 活躍の場を与えてやる。


 地位も名誉も身分に関わらずくれてやる。


 だがな。


 忠誠を誓う気がないのであれば。


 それでもいい。


 ただし一切俺の邪魔をするな。


 邪魔さえしなければ生かしてやる。


 批判も忠言として受け入れよう。


 実があるのならな。


 それ以外は問答無用で殺す。


 俺の邪魔をするもの、敵対行動を取ったもの、撤退する兵士に追い打ちをかけたもの、兵士が撤退した後で狼藉を働いたもの。


 そういう奴は例え地の底に逃げ隠れても引きずり出して、生まれて来た事を後悔させてやる。


 尊厳の一切を奪った惨めな死を、死の間際まで噛みしめさせてやる。


 弁明、助命に耳を貸すつもりもない。


 蠅に憐みを与えれば蛆を生むかもしれないが、殺せば増えることはない。


 今後の事を話そう。


 一か月後には俺は行動を開始する。


 国内および島嶼の不穏分子は粛清していく。


 その後はラーヴァリエだ。


 俺がセイドラントに用いた魔法の力はあの蛆虫の湧く肥溜めに使用する。


 狂人どもが一掃されれば世界はいくらかましになるだろう。


 俺にはその準備が整っている。


 だからダンカレムの者どもよ。


 貴様らは改宗しておけ。


 生粋の信者は生かしてはおけないが、俺に逆らうために狂人の口車に乗った者には情けをかけてやる。


 改宗出来ないのであれば彼の地に逃げ落ちるがいい。


 そして俺に滅ぼされるまでの僅かな余生を震えて生きるがいい。


 とめはしない。


 貴様らがこの地の名を穢したことは不問にしてやる。


 異論のある者は今この場で抗うがいい。


 俺の魔法の力をその身に刻んでやろう。


 以上だ。

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