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温泉物語  作者: 蒼乃みあ
48/73

第四十八話 発熱

「う、うぅん…。」

「……!!」


 目が覚めたら、目の前にはアルベルトの姿があった。だけど、ボーっとする頭では、ハッキリと彼の顔が見えない。

 恐らく、心配したような表情をしてるだろうと、予想は付いたけども。


「アル、ベルト…様…。」

「…アイシャ殿、気が付きましたか?」

「あ…は、い…。」

「無理はしないで下さい。熱があるそうですから…。」


 私はベッドから起き上がろうとしたけど、体が上手く動かなかった。そんな私を見て、アルベルトは優しい声で、話し掛ける。


「横になったままでいて下さい。倒れたりしたら、危ないですから。」

「…申し訳、ありません…。」

「何処か、苦しい所や痛い所はありませんか?」

「だい、じょ…ぶです…。」

「怪我は魔法で治療しましたが、病気は治せませんから。何か異変があったら、直ぐに言って下さいね。」


 どうやら、痛い所が無いのは既に治療してくれていたからだった。私のした怪我と言えば、尻もちをついて打ち付けたところくらいで、ジェイクに比べたら…。

 って、そうだ、ジェイクは…!


「アルベルト様、ジェイク様は…。」

「ジェイク殿は別室で治療中です。背中に幾つも打ち身が出来ていたので、それを治しています。」

「そ、うですか…。」


 ああ、やはりジェイクの方が酷い怪我だったようだ…。私の代わりに本に打ち付けられたのだから、当たり前だが…。アレだけ勢いよく倒れて来たのだから、衝撃も相当だった筈だ。

 ジェイクには、本当に申し訳ない事をしたよね…。本当なら私がその怪我を負う筈だったんだから…。


「ジェイク殿は時間が掛かりますけど、ちゃんと治りますから。アイシャ殿は、自分の事を優先して下さい。…具合、悪かったのでしょう?」

「……ですが…。」

「ジェイク殿は魔法で防壁を張ってましたし、打ち身以外の怪我はありませんでしたから。お願いですから、今は自分の心配をして下さい。」

「…はい。」


 ちゃんと治ると聞いて安心したけど、それでも私にはジェイクに対して申し訳ない気持ちで一杯だった。魔法を使ってたと言っても、打ち所が悪ければ当然大怪我をする。そう考えると、どうしてもジェイクの事ばかり考えてしまう。


 だけど、アルベルトは私自身の事を心配してほしいと、言った。私よりもジェイクの方が酷い怪我の筈なのに…。しかし、アルベルトは怪我をしたジェイクは魔法で治るから大丈夫だけど、病気の私は魔法じゃ治せないからちょっと危険な状態だと伝える。

 確かに頭はボーっとして上手く働かないし、目も霞んでるから周りが良く見えない。ズキズキと響くよう頭痛に、胃の奥から何かが込み上げてくるような感覚もある。


 アルベルトの言う通り、私、思ってたよりもかなり具合が悪いようだ…。


「すみません、アルベルト、様…。私…。」


 迷惑や心配ばかり掛けて、私は駄目だな…。ここまでアルベルトに心配させてしまうなんて…。せめて、ちゃんと謝らないと…。

 そう思って私は、アルベルトに謝罪の言葉を掛けようと体を無理やり起こす。だけど、私が謝罪の言葉を言う事は出来なかった。


「アルベルト、様…?」


 無理やり起こした体が、グラリと揺れた。倒れそうになるところで、ふわりと優しく包み込まれる。さっきまでの布団の温かさとは違う、人の温もりに触れ、感触が伝わる。グラグラと揺れる私の頭では、今の状況を直ぐに理解する事が出来なかった。


「アイシャ殿が目を覚まして、本当に良かった…。」

「あ、あの…。」

「怪我は魔法があれば治ります。余程の事でなければ、大抵は元通りです。ですが、病気は何かあっても魔法では治せないのです。ただの風邪でも、下手をすれば死んでしまいます。」

「アル…ベ、ルト様…。」


 暫くして、この温もりがアルベルトのモノだと、理解した。私は今、アルベルトに抱き締められているのだ、と。


「どうして、私はいつも貴方の危ない時に、傍に居る事が出来ないのでしょうね。」

「あ、あの、アルベルト様…!」

「何故、私ではないのでしょうか…。」


 熱が上がりそうになる。抱き締められているせいでアルベルトの顔は見えないが、少なくとも私の顔は真っ赤だろう。相当心配してくれているのだと分かってはいる。だけど、今の私にはあれこれ考える余裕が無かった。


「私はいつも、後手に回ってしまいます。貴方を…、アイシャ殿を、誰よりも助けたいと思っているのに…。」

「アルベルト様、あの…。」

「アイシャ殿がこんなにも苦しんでいるのに、何も出来ない自分が、酷く恨めしいです…。」


 アルベルトに抱き締められているせいで、違う意味で苦しんでいます、とは言えなかった。悲痛な声で呟くアルベルトに何を言う事も出来ず、私は彼の体温を奪うかのように、どんどん熱が上がっていくのを感じる。こんなにも心配を掛けていたなんて…。


「アイシャ殿、私は貴方が…。」

「あうぅ…。」


 アルベルトの言葉の途中で、私の頭は完全にオーバーヒートした。心配掛けたのは申し訳ないんだけど、これ以上は、もう、無理…!


 私の様子を見たアルベルトは、その言葉の続きを言う事は無く、直ぐに謝罪の言葉を口にした。


「すみません、アイシャ殿。今は、早く休まないといけないのに…。」

「あぅ、うぅ…。」


 言葉にならない声が、私の口から出てくる。大丈夫だと言いたいのに、それが言えない。


「ゆっくり休んで下さい。眠るまで、傍に居ますから。」

「ア…ベル、…様。」

「お休みなさい、アイシャ殿。」


 抱き締められていた体が離れ、私をゆっくりと横たわらせる。優しく頭を撫でるその手が、とても心地良くて、安心した。

 ああ、何だか、兄さんやルドルガに撫でられた時を思い出す。皆が私の頭を撫でてくれるのが、大好きだった。温かくて、気持ち良くて、…何だかホッとする。


「ん、うぅ…。に…い、…ルド…ガ…。」

「……。」


 私は、アルベルトに撫でられるまま、深い眠りへと付いた。


「例え私がアイシャ殿の一番じゃなくても、誰かに貴方を譲る事なんて出来ません…。自分勝手だと分かっていますが、私は誰よりも貴方の傍に居たい。」

「……。」

「アイシャ殿、貴方をお慕いしています。どうか、私が傍に居続ける事を、お許し下さい。」


 アルベルトが小さく呟くと、私の手を取って軽く口付ける。そうして、私の頭を撫でながら、ずっと傍に居続けた。

 誰も居ない医務室、眠りに就いた私とアルベルトしか居ないこの部屋で。彼の言葉を聞いた者は、誰一人として居なかった。



 パチリ、と音がするような勢いで、私の目が開いた。頭はスッキリしていて、熱も大分下がって入るっぽい。体を起こせば、そこは見慣れた私の部屋だった。

 アレ、いつの間に自分の部屋に…?何だか、記憶が曖昧だ…。


「ん…、よいしょ、と…。」


 私は取り敢えずベッドから降りて、体を魔法で綺麗にした。幾ら私でも、病み上がりの体で温泉に入ろうとはしませんよ。いや、出来るなら入りたいけど、取り敢えず今はどうなったのかを確認しないと。

 学生服に着替えて、部屋の外に出る。取り敢えず軽く食事を取る為に食堂にやって来たが、誰も人が居ない。カレンダーと時計を確認すれば今は午後の二時過ぎ、どうやらあの事故があってから三日後だった。

 ちょっと寝過ぎじゃない、私?…と言うか、今授業中か。そりゃ、誰も寮の食堂にいる訳ないよね。


 私は軽食だけ取って、学校に向かう事にした。取り敢えず、先生に話を聞かないと。



「おはようございます。前等生Aクラスの、アイシャです。」

「…アイシャさん、目が覚めたのね。良かった。」

「ロベルト先生、ご心配をお掛けしました。」

「今はまだ授業中です。今日はこのまま欠席にしますから、少し話をしても良いかしら?」

「あ、はい、大丈夫です。」


 職員室のドアを開ければ、中には数人の先生が居た。私のクラスの担任でもあるロベルト先生が居たので、真っ直ぐにそちらへと近付く。

 私の姿を見たロベルト先生は、ホッと安心したような表情をする。そりゃ、自分のクラスの生徒が事故に遭って数日間目を覚まさなければ、心配しますよね。ご迷惑をお掛けしました、本当に…。


「それでは、あちらの部屋へ。教頭、少し隣の部屋を借りますね。」

「ええ、どうぞ。」


 ロベルト先生は職員室内に居た教頭先生に隣の部屋の使用許可を取ると、ゆっくりとした歩調で私を案内してくれた。病み上がりの私を気遣ってくれてるのが伝わってくる。思わず、感動してしまった…。


「アイシャさん、そこの椅子に掛けて。」

「はい。失礼します。」


 座る様に言われた椅子へ腰を落ち着けると、ロベルト先生がこの間の事故について話し始めた。


「今回の事は、ただの事故ではありませんでした。」

「えっと、それは…。」

「そもそも、学園の図書室の本棚が、急に倒れる事は有り得ないのです。」


 学校内の棚は、全て魔法によって動かない様にされているらしい。ぶつかった位では、ビクリともしない筈の本棚が、何故倒れて来たのか。答えは明白だった。


「…貴方の事を良く思わない生徒が、魔法を使って本棚を倒れさせた事がきっかけでした。」

「……。」

「本人達はちょっと驚かせるつもりだったそうです。それが思ったようにいかず、幾つもの本棚を倒してしまった、との事です。決して、怪我を負わせるつもりは無かった、と。」

「そう、ですか…。」

「本人達は既に謹慎処分になっています。学園に戻って来た時は、一番最初に謝罪しに行くよう言ってありますから、聞いてあげて下さいね。」


 恐らくは、彼女達だろう。私があまり反応しなかったせいで、カチンと頭に来たのかもしれない。…つまり、私のせいで、ジェイクが怪我をしてしまったのだ。


「その、ジェイク様は、どうなりましたか?」

「ジェイクさんに関しては、既に傷は完治しています。今まで通りの生活に戻っていますよ。」

「そっか、良かった…。」


 完治している、と聞いて、私は心底ホッとした。これでもしも一生残る傷が付いてたら、何をしてでも償わなくちゃいけないだろう。

 寧ろ、死んでお詫びするしかないかも…。


「アルベルトさんとジェイクさんは、アイシャさんの事を物凄く心配してましたよ。後で呼んでおきますから、顔だけでも合わせておきなさい。」

「すみません、ロベルト先生。ありがとうございます。」

「後は、Cクラスのメアリーさんとアンナさん、ライラさんにもお礼を言っておきなさい。」

「えっ…?」

「貴方を寮の部屋へと案内して連れて来たのは、彼女達です。時々様子を見に行ったりもしたそうですよ。」


 まさか、メアリー達がそこまでしてくれてるとは思いもよらなかった。かなり失礼な事だけど、彼女達は貴族である事に誇りを持っている様だったから。だから、平民の私に何か起きても、そこまで関心を持たないんじゃないかと思っていたんだけど…。

 私が思っているよりも、彼女達は私の事を友人と認めてくれているのだろうか…。


「さて、あの事については、コレで以上です。貴方は授業が全部終わるまで、医務室でゆっくりと休んでいなさい。」

「は、はい。分かりました。ロベルト先生、本当にありがとうございます。」

「今回の件は、防ぐ事が出来なかった学校側にも非があるのです。被害者であるアイシャさんが気負う事は、何一つありません。」

「ですが…。」

「この学園内では、身分は関係ないのです。貴方は優秀な成績を収めている生徒です。アイシャさんを誉める事はあっても、非難する事はありませんよ。」

「……ありがとうございます。」


 ロベルト先生は、優しい笑みを浮かべて、そう言った。本来、平民である私では貴族の彼女達に何をされても、黙っている事しか出来ないモノなのだ。

 学校を卒業すれば、それが当たり前となる。私は、出来れば少しでも平穏に学校生活を終わらせたい。卒業後にアレコレ難癖付けられては、何も出来なくなるから。


 彼女達が謝罪しに来た時は、直ぐに気にしていない事を伝え、今回の事は終わった事として記憶からなくしてほしいと思う。いつまでもグチグチと言われては、私も困ってしまうからね…。


「ああ、アイシャさんね。ロベルト先生から話は聞いてます。授業が終わるまで一時間以上あるから、そこのベッドで休んでなさい。」

「ありがとうございます、先生。」


 私は医務室の先生に言われた通り、ベッドへと横になる。さっき起きたばかりで全く眠気などは無いが、目を瞑ってゆったりしてるだけで大分楽に感じるのは、まだ本調子ではないからだろう。

 それから暫くして、医務室の扉がノックされた。先生が扉を開けて迎え入れたのは、やはりアルベルトとジェイクの二人だった。


「アイシャ殿…!」

「良かった、目が覚めて…。」

「アルベルト様、ジェイク様。ご迷惑をお掛け致しました。」


 二人は私の姿を確認すると、明らかにホッとした表情をする。かなり心配をさせていたようで、本当に申し訳なくなる。


「いえ、アイシャ殿が元気になって、本当に良かったです。」

「何処か辛い所はありませんか?」

「いいえ、大丈夫です。お二人共、申し訳ありません。特に、ジェイク様には…。」

「あの時も言いましたが、私がアイシャ殿を助けるのは当然の事をしただけです。どうか、気になさらないで下さい。」

「ジェイク様…。」


 ニコリと笑って、私を安心させるように優しい言葉を紡ぐジェイクは、本当に良い子だ。自分が一番痛い思いをした筈なのに、彼はいつだって私の心配をしてくれる。少し、優しすぎるのではないだろうか。


「それでも、ちゃんと言わせて下さい。助けて頂き、本当にありがとうございました。私を庇ったせいで怪我を負わせてしまい、申し訳ありません。」

「…アイシャ殿。確かに、その言葉、受け取りました。ですから、もうこの話はおしまいです。」

「……はい。ありがとうございます。」

「アイシャ殿こそ、無理をしてはいませんか?」

「まだ病み上がりですから、休んでいないと駄目ですよ。」

「ええ、承知しております。今日も戻ったら、メアリー様方にお礼を言って、直ぐに休む予定です。」

「それなら良いのです。」


 そうだ、メアリー達にお礼をしなければいけない。こんな機会じゃないと渡せないだろうし、何とか二人から許可を貰えないだろうか…。


「あの、それで、メアリー様方へのお礼なのですが…。」

「どうかしましたか?」

「一度だけで良いのです。メル酒を、差し上げる事は出来ませんか?」

「メル酒、ですか?」


 実は、メアリー達がずっとメル酒の事を気になっている、と聞いたのだ。ジェイクがとても美味しそうに飲むものだから、日本酒よりもメル酒の方が学校内ではずっと有名だ。お酒が強くない人に向けて作られているので、女生徒の間ではかなりの話題になっているのだとか。

 名前からしてメルの実を使う事は予想できても、ワインのようなお酒しかないこの世界では、漬けるという事を知らないのだ。メルの実を発酵させて作ったお酒は、当然ながら全くの別物である。


「お酒や食事が温泉旅館の目玉になる事は重々承知しております。ですが、どうか一度でいいので、メアリー様方に差し上げては駄目でしょうか?女性からの話題、と言うのも、注目度を上げる事が出来ますし、その…。」


 何とかしてあげれないかと、色々言葉を並べてはみるが、アルベルトとジェイクの表情は変わらない。やっぱり駄目だろうか…と、少ししょんぼりしていると、アルベルトが口を開いた。


「アイシャ殿がそう言うのなら、構いませんよ。」

「えっ…?」

「今回、メアリー殿達がアイシャ殿の為に、色々として下さったと聞いています。心配もしてくれたようですし。そもそも、アイシャ殿の作った物を私達が独占する権利は無いのです。」

「現に、ルドルガやあの店の者達は、私達よりもずっと前から知っていますしね。」

「私達からすれば、幾つも武器があった方がオンセンリョカンを開いた時に注目を浴びやすくなるので、出来るだけ噂になる様にしているだけです。アイシャ殿がそこまで望むのならば、それを止める事は出来ません。」

「アルベルト様、ジェイク様…。どうも、ありがとうございます!」


 勿論、二人の言い分も理解している。私だって、温泉旅館の為になるものを、そう易々とバラしたりはしない。少しでも温泉の良さを分かってもらう為に、自分の知恵を使いたい。

 だけど、世話になっている相手に関しては別だと思う。ルドルガやお店の皆は勿論、アルベルトやジェイク達が喜んでくれるなら、私は幾らでも彼等にあげるだろう。


 二人の許可を得た私は、真っ直ぐに寮に戻っていた。先に準備を済まして、帰ってきたメアリー達を確認したら、三人に声を掛ける。渡し終えたら直ぐに休むようにと、寮まで送ってくれた二人が念を押してきたので、私はシッカリと頷いた。


「……アイシャ、良くなったのね。」

「はい、メアリー様。皆様には、大変迷惑をお掛けしたと、心より感謝の言葉を申し上げます。」

「べ、別に、アイシャを心配していた訳ではなくてよ!ただ、その…、ちょっと気になってたくらいですから!」

「…それでも、本当にありがとうございました。」


 顔を赤く染めてそう言うメアリーは、本当に可愛らしい少女だ。いつもの凛とした感じではない、年相応の姿に内心クスリと微笑んでしまう。

 私は用意していたメル酒の入っている瓶を三本出すと、メアリー達の前に差し出した。


「こちらは、今回のお礼とお詫びです。」

「ねえ、アイシャ、それは…?」

「メル酒でございます。」

「……!!」


 私がその名前を出すと、三人の表情が驚きのモノに変わった。


「これに関しては、今回一度限りとなっております。自分達で飲むのも良いですし、ご友人に差し上げても構いません。どうぞ、お好きな様になさって下さい。」

「あ、アイシャ。本当に、コレ、貰ってもいいの?」

「ええ、ライラ様。アルベルト様方には、きちんと許可を得ています。一度限りではありますが、どうぞお受け取り下さい。」

「…め、メアリー様!」

「……有り難く受け取らせてもらうわ。」


 メアリーには少し大きめの、アンナとライラにはペットボトル一本分くらいの大きさの瓶を手渡した。受け取った三人は、普段とは全然違う様な表情で、破顔した。余程嬉しかったのだろう。大事そうに抱えている。


「それでは、私は直ぐに休むように言われてますので、本日はこれにて失礼致します。メアリー様。アンナ様、ライラ様。今回は、本当にありがとうございました。」

「ええ、そうね。……早く、完治させなさい。」

「アイシャが居ないと、ちょっと、寂しかったわよ。」

「ちょっとだけですからね!」

「……はい。お心遣い、ありがとうございます。」


 三人の言葉を受け、私は自分の部屋へと戻る。あんなにも喜んでくれるとは思いもよらなかったし、あそこまで私の心配をしてくれてるとは知らなかった。

 メアリー達は、やっぱり何だかんだ優しい。アルベルト達だけでなく、メアリー達にも心配を掛けない様に、早く体調を万全にしないとね…。

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