私の母
「青嵐の魔女」続編です。
二人の娘が主人公です!
レイザンの女版のつもりで書いております。
楽しんで頂ければ幸いです!
私の母は魔女でした。
とても偉大な魔女だったのです。
だけど私が小さい頃に死んでしまったので、私は母のことをはっきりとは覚えていません。
覚えているのは、母の温かな手のぬくもりと、優しい声。
そして、何より父と私を、深く愛してくれていたこと。
母が死ぬ前、父に言った言葉を、私は今も思い出します。
私が死んでも悲しむな。
私はただ、お前より少し早く次の場所へ行くだけなのだ。
誰もがいずれは行く場所へ、少し早く行くだけのことだ。
お前はお前の人生をこれから生きて、そうしていつか、また私のところへ来て、お前の人生で知ったことや感じたことを私に話してくれ。
お前の喜びに満ちた人生を、聞けることを楽しみにしている。
私の孤独だった人生は、お前が変えてくれた。
お前が一緒にいてくれたことが、私の人生で一番の喜びになった。
お前を、娘を、ずっとずっと想っている。
だからどうか、笑っていて。
父は、涙を流していたけれど、母にそう言われて笑いました。
握りしめた母の手にキスをして、優しい笑顔を浮かべていました。
母も幸せそうに微笑んで、そうして私にも言いました。
どうか、幸せに。
お前は私の宝物、何より愛しい可愛い娘。
あの時私はたった六歳だったけれど、きっとあの出来事を、私は一生忘れません。
自分の死の前ですら、父と私を想ってくれた母が、そして、そんな母を心から愛し、私を大事に守り育ててくれた父が、私は大好きです。
一生、大好きです。
次からいよいよ本編です!