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誰かこの謎を解き明かして  作者: 平石匠
1/5

部の創設 I

ミステリー。それは人の好奇心をくすぐる。

私たちはその好奇心に抗うことはしなかった。

それが、私たちに終焉をもたらすとも知らずに…



キーンコーンカーンコーン…

4限目終了の合図とともに、私,伊藤愛璃は立ち上がった。予鈴がなる前にカバンから出しておいた財布を掴み、走る。

教室のドアを勢いよく開け、目的の場所まで全力疾走。途中、先生の注意する声が聞こえたが、そんなものは気にしない。走る、走る、ただ走る。

そしてー「おばちゃん!焼きそばパンとカツサンド!」「はいよー。300円ね。」私は財布から硬貨3枚を取り出し、手渡す。

そしてパンの入った袋を受け取ろうとすると、ドタドタドタドタという音とともに、床が揺れる。

来た。腹を空かせた奴らの集団が。

彼らは教室に戻ろうとする私の横を雪崩のように走り

、いつものように争奪戦を始めた。これを避けるために、私は毎日走るのだ。授業終了の号令も無視して。

男子どもの争奪戦に巻き込まれないように、私は早足で教室に戻った。

席に着くと、隣から声がした。「お疲れ。今日も1番?「もちろん」私はそう返すと、椅子を隣に向けて座り直した。そして、今は真正面にいる友人,黒田知奈に言った。「やっぱ、号令を無視して行くのはなかなかいいね。」「もう先生も慣れちゃって何も言わないよね。」「最初はすごい怒られたけどね。」「そりゃそうだよ。」2人であははっと笑うと、私は改めて目の前の友人を見つめる。知奈とは1年生の時から同じクラスで、知り合ってすぐに仲良くなった。女子の中では背が高くスタイルのいい彼女の体型は、背が低く色々と小さい私には羨ましい。それについては悔しいので、本人には絶対に言わないが。顔も可愛く男子からもモテるが、それを鼻にかけることもない。そんな知奈のことが、私は大好きだ。「ホント尊敬するよ。」「えっいきなり何?」

しまった、つい口に出してしまった。知らないふりをしておこう。「これ美味しい〜」私が焼きそばパンをかじってそう言うと、知奈もお腹が空いたようでお弁当を食べ始めた。

「そういえばさー」「?」「文学部、本当につくるの?」「うん。昨日先生に相談して来たよ。」

そう、私には今1つの野望があった。それは、文学部をつくること。実は私も知奈も本好き。仲良くなった最初の理由は、本をよく読むという趣味の一致だった。「じゃあつくれるの?」「それが、部員を5人以上集めないとダメらしくて。」「ふ〜ん。じゃあ私も入る。」「えっいいの?バイトは?」「毎日は無いから平気だよー」「ほんと!?ありがとう!」「うん。私も本好きだしね。」「よし、じゃああと3人だね。」「誘えるとしたら、部活やってない人だよね。」「うん。本好きかどうかは置いといて、やってくれそうな人いるかな。」「う〜ん。このクラスだと…あ、梓紗とかは?」「いいじゃん!聞いてみよっ?」「りょーかい。」

話してるうちにご飯も食べ終え、早速友人に相談することにした。

「文学部?そういえばつくるとか言ってたね。いいよ。私も入る。本は嫌いじゃないしね。」「ほんと!?梓紗ありがとう!」「お安い御用だよ〜」

そう気前よく返事をくれたのは私たちの友人,岩本梓紗。髪をシュシュでポニーテールにしている少女で、彼女も去年からの友人だ。「あ、5人必要なんだよね?」「うん。私と愛璃と梓紗がいるから、あと2人だね。」知奈が応えると、梓紗はニッコリと笑って言った。「1人、当てがあるよ。」

梓紗に連れてこられたのは、3組の教室だ。私たちは1組なので、隣の隣。「ここにいるの?」知奈が梓紗に聞く。梓紗は教室を覗いて、あそこ,と指を指す。指の指す方を見ると、そこには机に伏して寝ている男子生徒がいた。







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