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黒いドレス

「やぁ、辻風。先に言っておこう。これは悪夢だ」


 その言葉を最後に、オレゴンは自分が見知らぬ街に立っている事に気付く。

 周囲に人気ひとけは無く、ただ目前に立つのは桜渦……では無くてハルシオンだった。


「なんだか眠っていたみたい」


 漏らす様に呟いたハルシオンを良く見ると、見慣れない黒いドレスを着ている。

 オレゴンがその心当たりの無い服装を怪訝に思っていると、右肩に激痛が走った。

 思わず痛みの先へ視線を移すと、そこには五寸ほどもある釘が刺さっている。

 次の瞬間、オレゴンは空から降り注ぐ大量の釘に全身を貫かれ、絶命した。

 ハルシオンはただ茫然と眺める。

 オレゴンが気が付く頃には、絶命した自分の亡骸の前で立っていた。

 鮮明過ぎる痛みがまだ脳裏に焼き付くオレゴンは、頭を抱えようと腕を上げる。

 そしてそこで手に握られている剣の存在に気付いた。


「戦え……って事か?」


 疑問に思った矢先、オレゴンはハルシオンに切りかかっていた。

 自分の意思を無視して動いた体に疑問を抱く間も無く、オレゴンはハルシオンに顔の中心を釘に貫かれ、絶命した。

 また意識が帰ってくる。そうして目前には、自分の死体を釘で地面に固定させるハルシオンがそのままこちらへ目掛けて駆け出してきていた。

 そこでまた、殺される。殺される。殺される。殺される。殺される。

 気が付けば周囲には自分の死骸だらけ。それもどれも体の一部を地面に固定されていた。

 恐怖、吐き気、動揺、絶望。それらを感じる前に、また殺される。

 ハルシオンは終わらない殺戮を楽しむように、狂気の混じった笑みを浮かべていた。

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